２３話

慌ただしく忙しい数日が過ぎ、ついに城の内部工事が全て終わった。

マックはメイドたちを率いて、見違えるほど変身したグレートホールをゆっくりと巡回する。

いつも薄暗かった中央ホールの天井には金箔を施した巨大なシャンデリアが優雅に光っていて、そのきらびやかな明かりの下には赤色と金色が華麗に入り混じったカーペットが美しさを誇っていた。

階段にはふわふわの絨毯が2階まで長く続いており、その絨毯に沿って登ると宮殿のあちら側に行くことができるほど華やかな宴会場が出てきた。

マックは広い宴会場の入り口に立ち、あたりを見回す。

石板の床は滑らかな大理石の床に変わり、アーチ型の高い天井には銀色のシャンデリア3つが光をまいていた。

「気に入りましたか？」

問題がないか確認するために訪問した商人のアデロンが慎重に尋ねる。

マックは大きく首を横に振りながらキラキラ輝く透明な窓ガラスに触れてみた。

明るい日差しがそのまま差し込まれて広い宴会場を明るく照らしていた。

「す、素敵です」

アデロンの顔は満足感で明るくなる。

マックは心から満足そうな彼の顔につられて微笑んだ。

商人は押し売り気質があっても詐欺師ではなかった。

彼は良質の品物を適切な価格で用意し、誠実な労働者を斡旋したのだ。

マックはアデロンがいろいろな面で城を変えるのを手伝ってくれたことに感謝の気持ちを込めて素敵な夕食をごちそうする。

上質なワインと料理長の自慢である鹿料理を腹一杯食べた商人は、満足そうな顔で城を離れた。

「これは、見違えるほどです。カリプス卿が帰ってきたら、びっくりするでしょうね」

商人が乗った馬車が遠ざかるのを眺めていたマックはゆっくりと首をかしげる。

ルースは灰色の髪をかきながら階段を下りていた。

彼女は一抹の火中のこもった顔で尋ねる。

「よ、喜ばれるでしょうか・・・？」

「城の作り直しを頼んだ張本人だから喜ばれるのではないでしょうか」

彼の不機嫌な返事は彼女の不安を少しも和らげなかった。

マックは下品な顔であくびをする男に向かって不満そうに睨んだ。

「ああ、素敵ですね。とても素敵で目が開かないです。きらびやかな姿に気が遠く
なるほどです」

そうしようがしまいが、すっかり無視してドアを開けて出ようとしたルースが突然立ち止まり、マックと彼女の後ろに立っていた使用人たちを振り返る。

「ふむ・・・、ちょうどいい時かな？」

彼は訳の分からないことをつぶやいて、胸から小さな薬瓶を取り出した。

「ちょうど東屋の隣の木を回復させる試薬を完成させました。今試してみますか？」

「も、もう？」

「ここ数日、一睡もせずに働きました」

ルースは明らかに寝起きの悪い顔をして厚かましく言った。

マックは呆れたが、彼が自分のために苦労してくれたのは事実だったので、どうしても指摘できずにうなずく。

ルースは向きを変えて外に出て、パビリオンのそばにある大きな木の下に立った。

マックは彼のそばに近づく。

ルースが瓶のふたを開け、正体不明の溶液を木の根に撒き散らした後、大きな声で呪文を唱えた。

「ああ、慈愛に満ちた大地の精霊よ！癒しの腕を伸ばして、この可憐な人に活力を吹き込んでください！」

力強い声にマックは目を転がす。

幼いころから父に酷い殴打を受けて神聖魔法で治療を受けることを繰り返してきたので、彼女は魔法使いたちが意外に簡単な修飾や命令語だけでも十分に魔法を広げることができるということをよく知っていた。

このように大げさに呪文を唱えることはほとんどなかった。

ルースが変わったいるのだろうか？

マックは、後ろから畏敬の念を抱いて視線を送る使用人たちの姿を見て、ようやく彼の意図に気づく。

彼は木を蘇らせるためにそれなりの努力をしているということを見せようという考えなのだ。

彼が雄大な姿勢で両腕を空に向かって伸ばし、元気を集めるふりをして両手をじっと集めて目を閉じた。

その大げさな行動にひそかに笑いを堪えていたマックは、彼の周りので、かすかな光が揺れ始めるのを見て、目を大きく開ける。

彼の体の周りに小さな光の塊が集まり始めた。

マックは自ずと嘆声をもらした。

自分が治癒魔法の対象になった時を除いては、これほど近くで魔法を見たことがない。

彼の手から柔らかい光がゆっくりと木を取り囲んだ。

凶物に死んだ木がその光を吸い込んだ。

その美しい光景をぼんやりと眺めていたマックは、暖かそうな光の塊をそっと指先で刺してみた。

すると、光の塊が手のひらの中に石鹸水のように染み込んできた。

びっくりして手を離すと、それを見守っていたルースが驚いたように目を大きく開けた。

「意外ですね」

彼は腕を下げて言った。

光の塊は木の中に全部流れ込んだ後だ。

ルースは何かを確認するかのように荒れた木の幹に触れ、マックの方を振り返った。

「奥様はほんの少しですが、マナをお持ちのようですね」

「マ、マナ・・・、そ、それって何ですか？」

「魔法を身につけるための基本的な資質です」

意外な言葉にマックは目を見開いた。

自分に魔法使いとしての資質があるということか。

ぼんやりと目をばちばちさせながら私の手を注意深く見下ろすと、彼が気乗りしない口調で付け加えた。

「基本的な資質に過ぎません。剣術を身につけるのに有利なことになるのと同じです。単純にそれだけで魔法使いになることはできません」

「そ、そうですか・・・」

続く言葉にマックは肩を落とす。

そうだよね、自分に何か大した能力があるはずがない。

彼女の落胆した顔を見た男はかすかに微笑んだ。

「それでも珍しい体質であることは確かです。奥様には意外な一面が多いですね」

「い、意外ない、一面って・・・」

「意外とよくカッとなるとか、ほら吹きが酷いとか、負けず嫌いとか、マナ親和力を持っているとか・・・」

マックは顔を赤く染めた。

「最初にお目にかかった時は、ただ内向的で気弱な方だと思っていました。でも、知れば知るほどかなり面白い一面が多いです」

「・・・ほ、ほ、褒め言葉のように聞こえません」

「褒め言葉です」

ルースは生意気な表情で言った。

この男はほめ言葉を言いながら、なぜ皮肉を言うような態度を取るのだろうか。

唇をとがらせながら、マックは木の根に足で触った。

「と、とにかく・・・、もうこの木はた、助かったんですか？」

「知りません」

「し、知らないなんて・・・」

あんなに大げさな呪文を唱えておいて何を言っているんだ。

細く開いた目で見上げると、彼は平然と肩をすくめる。

「私がしたことは大地のマナを注入してあげたことだけです。結果は春になってみないとわかりません。若葉が生えると魔力で生命力を回復したわけで、そうでなければ完全に死んだ木ということです。その時は切り取らなければならないでしょう」

彼女はやせ細ったオークの木を見上げ、うなずいた。

どうせ庭の造園は来年の春になってから始めることができた。

彼女は造園家との事前の計画を思い出し、荒涼とした庭を見回す。

春まで生き返らないなら誰が何と言おうとこの汚い木を片づけて、色とりどりの花とさわやかな苗木でこの庭園を美しく飾るつもりだった。

びっくりして手を離すと、それを見守っていたルースが驚いたように目を大きく開けた。

「意外ですね」

彼は腕を下げて言った。

光の塊は木の中に全部流れ込んだ後だ。

ルースは何かを確認するかのように荒れた木の幹に触れ、マックの方を振り返った。

「奥様はほんの少しですが、マナをお持ちのようですね」

「マ、マナ・・・、そ、それって何ですか？」

「魔法を身につけるための基本的な資質です」

意外な言葉にマックは目を見開いた。

自分に魔法使いとしての資質があるということか。

ぼんやりと目をばちばちさせながら私の手を注意深く見下ろすと、彼が気乗りしない口調で付け加えた。

「基本的な資質に過ぎません。剣術を身につけるのに有利なことになるのと同じです。単純にそれだけで魔法使いになることはできません」

「そ、そうですか・・・」

続く言葉にマックは肩を落とす。

そうだよね、自分に何か大した能力があるはずがない。

彼女の落胆した顔を見た男はかすかに微笑んだ。

「それでも珍しい体質であることは確かです。奥様には意外な一面が多いですね」

「い、意外ない、一面って・・・」

「意外とよくカッとなるとか、ほら吹きが酷いとか、負けず嫌いとか、マナ親和力を持っているとか・・・」

マックは顔を赤く染めた。

「最初にお目にかかった時は、ただ内向的で気弱な方だと思っていました。でも、知れば知るほどかなり面白い一面が多いです」

「・・・ほ、ほ、褒め言葉のように聞こえません」

「褒め言葉です」

ルースは生意気な表情で言った。

この男はほめ言葉を言いながら、なぜ皮肉を言うような態度を取るのだろうか。

唇をとがらせながら、マックは木の根に足で触った。

「と、とにかく・・・、もうこの木はた、助かったんですか？」

「知りません」

「し、知らないなんて・・・」

あんなに大げさな呪文を唱えておいて何を言っているんだ。

細く開いた目で見上げると、彼は平然と肩をすくめる。

「私がしたことは大地のマナを注入してあげたことだけです。結果は春になってみないとわかりません。若葉が生えると魔力で生命力を回復したわけで、そうでなければ完全に死んだ木ということです。その時は切り取らなければならないでしょう」

彼女はやせ細ったオークの木を見上げ、うなずいた。

どうせ庭の造園は来年の春になってから始めることができた。

彼女は造園家との事前の計画を思い出し、荒涼とした庭を見回す。

春まで生き返らないなら誰が何と言おうとこの汚い木を片づけて、色とりどりの花とさわやかな苗木でこの庭園を美しく飾るつもりだった。