こんにちは、ピッコです。
今回は79話をまとめました。
ネタバレありの紹介となっております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
79話
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 解毒魔法の特訓
翌朝、マックは着飾ってすぐに図書館に駆けつける。
昨夜帰ってきたようでルースは火鉢のそばに寝そべっていた。
彼女は死体のように垂れ下がっている男を見下ろし、顔をしかめた。
3階だけ下がれば居心地の良い寝室が散らばっているが、それが面倒で毎回石の床に横になって寝る男がかわいそうでもあり、情けないのだ。
周りを見回したマックは、壁に立てた杖を拾い上げ、彼の背中をつつく。
「ルース、朝です・・・起きてください」
「うん・・・」
彼が面倒くさそうに寝返りを打ちながら頭をよぎり、最後にはマントをかぶる。
マックはうごめく幼虫を意地悪な子供のように背中をつつき続けた。
「早く、起きてください・・・朝、目が覚めてすぐ・・・来いって言ったじゃないですか」
「う~・・・一時間だけ遅く上がってくることを願いました・・・」
彼はまぶしそうに目を細めて彼女を見上げ、突然顔をしかめた。
「今それで薪をくべるように私を突いたんですか?」
マックは素早く杖を背後に隠す。
ルースは目を覚ましたかのように目を見開いて、飛び起きてガチャガチャと音を立てた。
「前から考えていたのですが、私の扱いが酷いのではないですか?」
「ね、寝ている外間男のか、体にむやみに手を出すことはできないじゃないですか?」
「もっと丁寧な方法があるじゃないですか!」
彼は不満そうに彼女を睨みつけ、ため息をつく。
「どうでもいいです。授業の準備でもしましょう」
それから、へろへろと席から立ち上がり、床に散らばった羊皮紙と本棚を整理し始めた。
マックは少し申し訳ない気持ちになり、こっそりと彼の片付けを手伝った。
ルースが文字がぎっしりと書かれた羊皮紙を一つに集めて丸め、革紐で縛って大きな箱に投げ入れる。
「昨日お勧めした本は全部読みましたか?」
「あ、まだ半分くらいしか・・・読めませんでした」
「元素理論の勉強は終わりましたか?」
「あ、まだ・・・」
彼はあごをなでて目を細める。
「幾何学と元素理論に対する基本的な理解なしには防御魔法と攻撃魔法を身につけることが難しいです。少なくともお勧めした本はすべて読まなければなりません」
「も、もう少しで読み終わります」
マックは興味津々な顔で答えた。
「その本を読み終えたら・・・攻撃魔法を習うのですか?」
「基本的な護身魔法を身につけておいたほうがいいと思って」
ルースは肩をすくめて言った。
「この前のように危険な状況に置かれた時、自分の身を守る手段一つくらいはなければならないじゃないですか」
マックはワイバーンに襲われたことを思い出し、悲しそうにうなずく。
ルースは物思いにふけった顔で天井をじろじろ見上げ、パチンと指を弾いた。・
「いいですよ。今日はまず、これまで学んだ魔法を上逹させる訓練をすることにしましょう。見習い騎士たちに必要な材料を収集してくれと頼んでおいたんですよ」
「材料ですか?」
ルースは不思議そうな顔で聞き返すと、不吉な気分になるほど穏やかな笑みを浮かべる。
「奥様のスキルアップに多大な貢献をしてくれる特別な材料です」
マックは不安そうな顔をした。
一体何をする予定なのだろうか。
疑問で幼い覗線を送るが、ルースが机の下に置いておいた袋に何かを一つ一つ入れてすぐにドアの外に歩いて行く。
マックは不本意な足取りで彼を追いかけた。
「どこに・・・行こうとしてるんですか?」
「見習いの人たちに先ほど申し上げた材料をもらいに行きます」
「いったいその材料は何ですか?」
「見れば分かると思います」
ルースは鼻歌を歌いながら一気に城の外に出た。
マックは根掘り葉掘り問い詰めようとしてやめた。
彼の言葉どおり、直接確認してみればいいことだ。
不安感を飲み込み、彼と一緒に長い散歩道を通過すると、木材で建てた建物が姿を現す。
ニレの木2本がその古風な建物の左右に門番の,ようにそびえ立っており、その前では見習い騎士に見える少年3人とユリシオン、そしてガロウが木刀を振り回し、訓練を行っていた。
ルースは彼らに向かって大声で叫び,片手を大きく振る。
「こんにちは、皆さん 」
「魔法使いさん!」
見習い騎士たちは木刀を下ろして彼らの方を向いた。
「そうでなくても、朝の訓練を終えるやいなや、訪ねて行こうとしていたところでした。昨日お願いされた・・・」
汗に濡れた顔を拭いながら快活に叫んでいたユリシオンが、ルースの後ろに立ったマックを発見し、目を丸くする。
彼があたふたと駆けつけてうれしそうに騒ぎ出した。
「貴婦人もいらっしゃったんですね!その間、お元気でしたか?健康を回復されて本当に良かったです!その間とれだけ心配していたかわかりません。私がもっとよく仕えておけばよかったのに・・・もう大丈夫ですよね?」
「ユリ、落ち着いて。奥様が慌てているじゃないか」
少年のガロウは上品な口調で彼女を叱るように丁寧に彼女にほほえんだ。
「こんにちは、カリプス夫人」
「あ、こんにちは。二人とも・・・・お、お久しぶりです」
「ところで、ここはとうしたんですか?もし私たちに何かお願いすることでも?」
ユリシオンは目をきらきらと輝かせて聞いた。
困っている彼女の代わりに、ルースが訪ねてきた用件を話す。
「昨日お願いした品物を取りに来たのです。奥様の魔法の修練に使う材料なんです」
「あ!あれが貴婦人に必要なものだったんですね!少々お待ちください。すぐにお持ちします!」
ユリシオンは急いで別棟に飛び込んだ。
マックはぼんやりと建物の入り口をぼんやりと見つめる。
しばらくしてユリシオンが片手に大きな水筒を持って外に出た。
それを受け取ったルースはふたを開けて満足そうな表情でうなずいた。
一体何であんなことをしているんだろう。
好奇心を持ったマックはルースの肩越しにそっと水筒の中をのぞき込んだ。
大きな筒の中には赤々とした肉の塊のようなものがいっぱい入っている。
彼女はびっくりしてさっさと後ろに下がった。
「そ、それは一体何ですか!?」
「奥様の解毒魔法の訓練を手伝う特別な助っ人です」
ルースはニャリと笑って、手桶の中に手を入れて手のひらほどの大きさのものを取り出した。
背中に黒い斑点ができた赤褐色の大きなヒキガエルだ。
死んだヒキガエルの黒い手足がくねくねと下に垂れ下がるのを見たマックは身震いした。
「それで・・・一体何をするというんですか?」
「いわゆる『解毒魔法特訓』です。この「黒い斑点沼ヒキガエル」は、非常に強力な毒を持っています。こいつを使って練習をしていると、大抵の毒は一気に解毒できるようになるでしょう」
彼はこれ見よがしに死んだヒキガエルを振る。
ぬるぬるした長い手足がゆらゆら揺れる姿に胸がむかむかした。
マックはのろのろと来た道に向かって後ずさりする。
そのまま振り返って逃げ出したかったが、ユリシオンとガロウが好奇心に満ちた視線を送っていて抜け出すのが容易ではなかった。
この前、彼らの前で大胆なふりをして、あらゆるほらを吹いたじゃないか。
マックは乾いた唾を飲み込みながら平気な顔で尋ねた。
「そ、そのヒキガエルで・・・一体、ど、どんな訓練をするというんですか?ま、まさか・・・他の人に毒を中毒させるつもりですか?」
「まさか。そんな無知な訓練方法に誰が協力してくれるというのですか」
彼は鼻を軽く鳴らし、見習いたちの方に顔を向けた。
「誰か水の入った水筒を持ってきてくれますか。水筒でなくても構いません。たらいや真鍮の器、鍋・・・何でもかまいませんので、水をいっぱい入れて持ってきてください」
「私がやります」
興味津々な目で眺めていたガロウが前に出る。
彼が水筒を持ってくるために別棟に入った間、ルースは切られた木の根元の上にヒキガエルを乗せて数字を数えた。
全部で31匹。
マックは吐く寸前だった。
しかし、ルースは感嘆の声を上げた。
「何の手を使って、一日でこんなにたくさん獲ってきたのですか?」
「死んだウサギを餌に使いました。沼の近くにウサギや鳥を置くと必ずこいつらが死体の周りに群がるんですよ」
ユリシオンが誇らしさのある声で説明する。
「沼のヒキガエルが適当に絡まったら、その時にあらかじめ張っておいた網を引き上げて一度に捕まえるのです」
「いい方法ですね!」
ルースはユリシオンに対して熱烈な称賛を浴びせた。
マックは沼のヒキガエルを捕まえる方法などあまり知りたくなかったと心の中でつぶやく。
「これくらいで十分ですか?」
ヒキガエルやサンショウウオなどの毒虫の採集方法について彼らは盛んに騒いでいるするとき、ガロウが水がさぶさぶと流れる水筒を持って帰ってきた。
ルースは水筒を受け取り、満足そうにうなずく。
「ちょうどいいです」
マックは疑いの目で彼の行動を観察する。
ルースはバケツを木の根元のそばに置き、ヒキガエルを手に取った。
そして、かばんから小さなナイフを取り出し、ヒキガエルの背中に深く差し込んだ。
割れたヒキガエルの体から黒いエキスがさらさらと流れ落ちて澄んだ水の上に落ちた。
「さて、この水を浄化してみてください」
「ここに・・・げ、解毒魔法をかけるということですか?」
「そうですね。解毒魔法を上逹させるために、術師たちがよく使う方法です」
魔法訓練のスタートですね!
以前のマックだったら、ヒキガエルを見ただけで気絶していたのでは?
解毒魔法の訓練は成功するのでしょうか?