こんにちは、ピッコです。
今回は91話をまとめました。
ネタバレありの紹介となっております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
91話
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 抑えきれない気持ち
しばらくして、リプタンは騎士たちと一緒に城に戻り、すぐに会議室に閉じこもった。
何の話が行き交うのか知りたくてうずうずしたマックは、唇をかじりながら、今回は何があってもリプタンに詳しい説明を聞いてみせると誓う。
他の人は知らなくても、ルースだけは自分にとっても重要な人だ。
彼は自分の先生であり、最初の友人。
「不吉な挨拶はやめなさい」と言って、いらだたしく怒った姿が思い浮かぶと、涙が溢れてしまう。
危機に瀕した遠征隊も心配だったが、何よりその険しいところに向かうリプタンを考えると胸が張り裂けるようだった。
これからどれくらい長い間会えなくなるだろうか。
3ヶ月から半年くらい?
ひょっとして二度と会えなくなるのではないか。
遠征隊もどうなるか分からない.状況ではないか。
リプタンだからといって危険に晒されないということはない。
切なく窓の外を眺めていたマックは、焦りに耐え切れず、グレートホールの外に飛び出した。
灯りを持って幽霊のように城門を通過すると、歩哨に立っていた兵士たちが驚いた目で彼女を眺める。
マックは彼らに訪ねてきた用件も説明せず、すぐに会議室に向かって走った。
薄明かりがもれる建物の前に着いた瞬間、激しい叫び声が鼓膜を刺した。
「そんなに長くは待てません!明日すぐにでも出発しなければなりません!急いで行ったとしても20日はかかる距離なんですよ!」
「落ち着けよ、ニルタ卿。団長のおっしゃる通りです。国境に向かう道には村が3、4個あるだけです。まともなギルドどころか、物品の普及に値する小さな商団も見つけにくいんですよ!それさえも魔物たちの猛威に残っているのか疑わしいほどです。魔法使いなしで行くには危険です」
「ギルドの魔法使いはみんなリバドンに上がったんだ!みんなもう知ってるじゃん。猛威を振るう魔物たちのせいで、領主ごとに一人でも多くいることができず、やきもきしているが、一体何のために新しい魔法使いを手に入れてくるというんだ?」
「オシリアに要請すれば、治癒の魔法が使える高位神官を送ってくれるでしょう」
「はあ!そうだね。彼らが神官をどれだけ厳しく派遣しているのか分からないから言ってるの?少なくとも2ヶ月はかかるだろう」
「中央神殿でも追加支援軍を派兵するから、最初から彼らと一緒に移動する方法も・・・」
「神聖騎士団と合流するためには、中間地帯に会うとしても3週間以上はぐるっと回って行かなければならない!ちぇっ!余計なこと言って!魔法使いがいなくても構わない。これよりもっと危険な状況でもよく戦ったと!そうじゃないか、大将?」
マックはその場に固まって身動きもできなかった。
リプタンがヘバロンの意見に同意するのではないかと心配で心臓が縮んだ。
魔物図鑑で読んだ恐ろしい内容が頭の中を素早くよぎる。
骨が一瞬にして溶けるほど強力な毒を持った怪物たち、人間の6倍に逹する腕力を持ったという亜人種の魔物たちと強力な魔力を持ったというドラゴンの亜種の魔物・・・。
レムドラゴン騎士団がどんなに強くても、長い旅の間、傷一つなく戦うことはできなかった。
マックは息を止め、リプタンの返事を待った。
しばらくして彼の低い声が響き渡った。
「明日すぐに出発するのは無理だ。ちょっとだけ待て。4日・・・いや、3日以内に魔法使いを探す」
「時間の無駄です!これまであんなに魔法使いを救おうと努力してきたのに、やっと連れてきたのが80歳の魔法使いじゃないですか!3日のうちに・・・」
激しく叫んでいたヘバロンの声がふと静かになる。
こうやってずっと盗み聞きしていてもいいのだろうか。
そわそわして立っていたマックは、急に小さくなった声に思わずドアの前に身を傾けた。
その瞬間、突然ドアが開き、ヘバロンがむしゃむしゃとした体を突き出した。
「いったいさっきから誰が気になるようにうろうろして・・・」
威嚇的につぶやいていた騎士がマックの姿を確認して目を丸くする。
「カリプス夫人?こんな時間にここで何をしているんですか・・・?」
「わ、私は・・・」
凍りついていたマックはたじろぎながら後ずさりした。
彼の背中越しに騎士たちが頭を突き出しながら好奇心に満ちた視線を送ってきた。
話を盗み間きしていたことがバレたのが気まずくて、マックは顔を赤らめる。
「お、お邪魔してごめんなさい。これから、どうするのか・・・とてもき、気になって・・・」
忍び寄る声でつぶやいていると、リプタンがヘバロンを抜いてドアの外に出てきた。
激しくこわばった彼の顔を見て、マックは肩をすくめる。
夜遅くに城を一人で歩き回ったからと怒っているのだろうか。
怒った覗線で彼女を睨んでいたリプタンが肩越しに命令を下した。
「ガベル、部屋まで送ってくれ」
「リ、リプタン・・・邪魔するつもりはありませんでした。ただ・・・え、遠征隊がどうなったのかも心配だし・・・これから騎士団がどうするつもりなのかも気になって・・・」
「そんなことを君が知ってどうするの?」
リプタンは猛烈に発砲した。
彼女は傷ついた目で彼をじっと見上げ、躊躇いながら答える。
「わ、私が、で、できることがあるかも・・・」
「ガベル!」
リプタンは彼女の言葉を遮るように後ろを向いて叫んだ。
「私の話が聞こえないのか?早くグレートホールに連れて行かないで何をしているんだ!」
マックは口元をゆがめた。
彼の後ろに立っている騎士たちが妙な目つきで自分を眺めるのが感じられる。
ためらっていたガベルが会議室から出てきて彼女のそばに近づいた。
リプタンはドアノブをつかみ、無愛想な声で言った。
「私を待たずに寝なさい」
そうしては、それ以上言葉もつけられないようにドアを閉めてしまった。
マックはしぶしぶ振り向いた。
ぎこちなく立っていたガベルは、マックの手からランプを受け取る。
「良くない知らせに神経が鋭敏になった状態だからです。荒々しくおっしゃっても理解してください。みんな、真っ逆さまに立っていて・・・」
マックは自分の気持ちを察しているガベルに苦笑いした。
しかし、自らが感じるにも硬直した笑みだ。
「ええ、大丈夫です。それより、私のせいで・・・面倒をかけてごめんなさい。到底じっと待って、い、いられないから・・・」
彼は階段が見えるようにランプを高く持ち上げて、少し沈んだ表情をした。
「奥様は魔法使いと親しかったですよね。心配するのも無理はありません」
彼らは階段を上ってしばらく沈黙する。
マックは頭の中が複雑だった。
リプタンの過敏な反応と盗み聞きした話が頭の中にぷかぷか浮かんでいた。
庭の真ん中に着くと彼女は慎重に口を開いた。
「え、遠征に行くには・・・魔法使いが必ず必要なんですか?この前に首都に行く時は・・・ルースなしで行ったじゃないですか」
ガベルの歩みはしばらく止まった。
彼は気まずい笑みを浮かべる。
「ドラキウムに行く経路には商団も多い大きい都市が多いです。途中でいくらでもギルドに立ち寄って治療を受けることもできるし、都市の傭兵団で魔法使いを短期雇用することもできます。しかし、アナトールからリバドンヘのルートには大きな都市はありません。怪我をしても途中で治療を受けるようなところがないので、魔法使いなしで移動するのはどうしても負担がかかってしまうのです」
「私が・・・」
マックは階段の端まで来てやっと勇気を絞り出した。
「私が・・・い、一緒に行くのはどうですか?」
騎士の慎重な視線が闇の中で自分を几帳面に見ているのが感じられた。
マックは自信満々に見えたかったが、手の震えを隠すのが大変だった。
ガベルはようやく答えた。
「団長が許可してくださらないはずです」
マックはあまりにも明白な事実に口をつぐんだ。
しかし、部屋に戻ってからも、その考えは頭の中から消えなかった。
マックはベッドにうずくまって、どうすればリプタンを説得できるか、じっくり考え込んだ。
騎士たちもどうしても自分の名前を口にすることができなかったが、内心では彼女が一緒に行くのはどうか、考えたことが明らかだ。
自分を見つめていた目つきを見れば分かる。
胸が不安そうにざわめいた。
魔物がうじゃうじゃしている場所にリプタンを無防備に送ることはできない。
完璧にしっかりと防備を整えて離れても血が乾くところだが、有事の際に彼らを世話する治療術師一人なしに行かせることはできない。
彼女は唇をかみしめながらリプタンがドアを開けて入ってくるのを待った。
彼がどんなに断固たる態度を取っても、今回だけは絶対に曲げないつもりだ。
夫を危険の中で無防備に送り出すことはできない。
しかし、夜が明けるまで、リフタンは部屋に戻らなかった。
遠征に連れていく魔法使いがいない状況。
マックはリフタンを説得して遠征に同行することができるのでしょうか?