こんにちは、ピッコです。
「悪女の皇后様に溺愛されてます」を紹介させていただきます。
今回は50話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

「この世界の未来を知っている者はどれくらいいるんだろ?」
シャルリーズのこと、シャルルはワンソールという国の未来を知っている。
というのはこの世界が彼女の読んだ本の中であるからだ。
シャルルは悪女の皇后の嫉妬を買って殺されるエキストラ役である… はずなのになぜか皇后に愛されている?!
皇后宮の侍女になったシャルルは今度は皇后様を守るために皇帝によって幽閉されている皇太子を味方につけようとする。
神獣の力を持っている皇太子こそこの本の真の主人公であるからだ。
5歳のシャルルが皇宮で生き残るために奮闘する物語。
シャルリーズ:本作の主人公。愛称はシャルル。皇后の侍女。
ローズ:皇后。シャルルを溺愛している。
ディアミド:皇太子。前皇帝の息子。
ヘイデン:皇后宮の侍女長。
ウェーバー:皇后宮の主任侍女。
ロチェスター公爵:ローズの兄。
シエナ・アンテス:原作のヒロイン。アンテス辺境伯の後継者。

50話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ケーキ作り
「ふぅ、終わった」
私は大きく息を吸ってケーキを見る。
キッチンには焼き立てのケーキ特有の甘くて香ばしい匂いが漂っていた。
皇太后陛下は好奇心いっぱいの顔で、生クリームを均一に塗ったケーキを眺めている。
「このケーキに飾り付けをすればいいの?」
「はい、果物とチョコレートの飾りです」
「・・・そう」
皇太后陛下はそれこそ慎重な顔で果物を一切れ召し上がった。
私は間違いを犯していないか、鷹の目で調べる。
ふむ、それなりに珍しい光景ではある。
生前、皇太后陛下がケーキを飾る姿を見守るとは。
「シャルル、これを見て。これくらいなら、それでもかなり大目に見てもらえるんじゃないかしら?」
「はい・・・」
ヨダレが垂れてしまう。
どうやら皇太后陛下はディアミドを大変愛しているようだ。
チョコレートや果物を無限に積み上げた姿だけを見ても分かる。
でも、私の個人的な考えでは、その愛には少し節制が必要だと思うけど・・・。
結局、私は無難な答えを選ぶことに。
「・・・皇太子殿下も大喜びですね!」
「そう?よかったわ」
皇太后陛下は幸せそうに笑い、私はその笑顔に満足した。
そうやって後片付けまで終えて。
私と皇太后陛下は残りのケーキを食べながら、仲良く会話をした。
「それにしても私、皇太子殿下の誕生日だとは全然知りませんでした」
「あら、ディアミドが言ってくれなかったの?」
「はい、どうして私に言ってくれなかったのでしょうか?」
訳もなく寂しかったので、私は少し唇を捻る。
「これでも元皇太子殿下の専任侍女なんですけどね」
「多分あなたに負担をかけたくなかったのよ」
なだめる口調で仰った皇太后陛下は、微笑ましい瞳で私を見つめた。
「それより、ディアミドが羨ましいわ」
「え?」
「あなたのように忠誠な侍女がそばにいるのだから」
忠誠な侍女。
なんとなく良心がチクチクして、私は思わず皇太后陛下の視線を避けてしまった。
だってそうじゃない?
私がその褒め言葉を純粋に受け入れるためには・・・。
(ディアミドに対する私感は持ってたらダメじゃない)
もちろんディアミドをよく育てて、ヒロインのシエナの元に優しく送ってあげるという決心は確固たるものだ。
でもそれとは別に、しきりに気になるのはどうして?
「・・・」
ええいっ、もう考えないでおこう。
「あの皇太后陛下」
「どうしたの?」
「もしかしてですね、その・・・」
もう考えないでおこうと心を引き締めたのに。
私の口はいつの間にか勝手に動いていた。
「・・・アンテス辺境伯様には娘さんが一人いらっしゃると聞いたのですが」
うぅ、私は一体こんなことをどうして聞いているの!?
自分が情けなくて、私はつい両目を閉じてしまった。
「とても幼い頃の姿を一度見たことがあるわ」
「あ、実際にお会いしたのですか?」
「そうね。アンテス辺境伯令嬢の名前は確か・・・、シエナと言ったかしら?」
シエナ。
私は落ち込んでいる気持ちを表に出さないように努力する。
「かなり可愛い子だったわ。あの険しい辺境伯とは全然違って」
記憶を辿っていた皇太后陛下が静かに言葉を継いだ。
「そういえば、ディアミドとアンテス辺境伯令嬢は一度会ったことがあるわ」
「そ、そうなのですか?」
「二人が同い年だから、お互いに顔を見せ合おうと思って会わせたのだけど・・・」
それで?
どうなったのですか?
幼い頃からお互いに火花を散らして愛情戦線を作ったのですか?
「・・・アンテス辺境伯令嬢がいきなりディアミドの前に這って行って、彼の髪の毛を掴んだのよ」
「え?」
「彼女の手の力は半端じゃなかったわ」
思いがけない展開に、私は少し戸惑った。
皇太后陛下はニヤリと笑い出す。
「ディアミドは本当に、泣き喚いて大騒ぎしたわ」
「あっ、本当ですか?そんなにひどく泣いたのですか?」
「やっぱり一歳の赤ちゃんだったから。子供をなだめるのにどれだけ苦労したことか・・・」
そっと首を横に振った皇太后陛下は、微かな声で言葉を付け加えた。
「あの時までは、私たちだけで半分冗談半分本気で二人の子供を婚約させるのはどうかと言っていたのだけど・・・」
え?婚約?
そんな話は原作にも出てないじゃん!
作家さんだけが知っている秘密設定のようなもの、私は反対です!
しばらく思い出に浸っていた皇太后陛下が不思議そうな顔で私を振り返る。
「ところで、アンテス伯爵の令嬢について急にどうして聞くの?」
「え?た、ただ気になって」
「・・・アンテス伯爵令嬢が?」
「それは・・・、こ、今回アンテス辺境伯が皇居にいらっしゃったじゃないですか?それで気になったんです!」
私は慌てて言い訳を並べ立てた。






