こんにちは、ピッコです。
「悪女の皇后様に溺愛されてます」を紹介させていただきます。
今回は54話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

「この世界の未来を知っている者はどれくらいいるんだろ?」
シャルリーズのこと、シャルルはワンソールという国の未来を知っている。
というのはこの世界が彼女の読んだ本の中であるからだ。
シャルルは悪女の皇后の嫉妬を買って殺されるエキストラ役である… はずなのになぜか皇后に愛されている?!
皇后宮の侍女になったシャルルは今度は皇后様を守るために皇帝によって幽閉されている皇太子を味方につけようとする。
神獣の力を持っている皇太子こそこの本の真の主人公であるからだ。
5歳のシャルルが皇宮で生き残るために奮闘する物語。
シャルリーズ:本作の主人公。愛称はシャルル。皇后の侍女。
ローズ:皇后。シャルルを溺愛している。
ディアミド:皇太子。前皇帝の息子。
ヘイデン:皇后宮の侍女長。
ウェーバー:皇后宮の主任侍女。
ロチェスター公爵:ローズの兄。
シエナ・アンテス:原作のヒロイン。アンテス辺境伯の後継者。

54話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 庭でのティータイム
「あらまあ、このように貴賓を立たせておくのも礼儀ではないでしょう」
ニッコリ微笑んだ皇太后陛下が、まず先頭に立った。
「行きましょう。今日はとても天気がよいので、庭にティータイムの席を用意しておきました」
「・・・庭でですか?」
皇帝は少し虚を突かれた顔をする。
それはそうだろう、皆にみすぼらしい皇太后宮を見せる考えだったはずだから。
だけど、皇帝の思惑通りに流れると思って?
私は両目に刀を立てた。
遠くに、薄くて白い布を長く垂らして作った日よけが目に入る。
押し寄せる風にそよそよ揺れる日よけは、濃い緑色に染まった庭の中で一際目立った。
初夏の天気にふさわしい清涼な光景に、貴族たちはそれぞれ興味深い表情を浮かべる。
「おや、まるで遠足にでも出かけたような気分ですね」
「最近私の子供たちは庭で遊ぶのが楽しいらしくて・・・」
貴賓たちの笑い声がさざ波のように広がった。
ロチェスター公爵もそっと手伝ってくれる。
「ずっと会議室にいて息苦しかったですが、外に出たら胸の中まで涼しくなるようですね」
「そうですね。目が霞んでいましたが、青い葉っぱを見ると自然に気持ちが良くなります」
「風も涼しいし、野外でお茶を一杯飲むのにちょうどいい天気です」
幸いにも反応は好意的なようだ。
そう、実は私も一日中室内にいると外に出たくなる。
一方、皇帝は不快な表情を隠せずにいた。
華やかに飾られたティーテーブルを睨む目つきが殺伐としている。
どうして、思ったほどみすぼらしいんじゃないかって?
私は心の中で笑い声を飲み込んだ。
「あら、ティーカップを花瓶に使ったのですか?」
皇帝がそうであろうとなかろうと、皇后様は好奇心いっぱいの目つきで花飾りを眺めていた。
ティーテーブルは花がいっぱい刺さっているティーカップで飾られている。
「新鮮な考えですね。花がとても豊かに見えます」
「皇后が侍女をよく教えてくれたおかげです」
「え?」
皇太后陛下の笑い声に、皇后様は目を丸くした。
「このティーテーブルはシャルリーズが担当して飾りました」
「あ、本当ですか?」
皇后様の瞳の上に暖かい笑顔が広がる。
私は両肩に力を入れた。
花瓶も足りないし、花も足りない・・・
それなら、できるだけ花を少なく使いながら、花瓶の代わりになるものを探せばいいんじゃないか?
それで私が考え出した方法は、ティーカップを花瓶の代わりに使うことだった。
どうせティータイムだからそんなにぎこちなくもないし、ティーカップのように小さな花瓶の長所は・・・。
(少量の花だけでもティーテーブルを豊かに飾ることができることよ)
その他には透明なワイングラスを利用し、花を2種浮かせておく。
ティーカップだけでは少し退屈しそうだから。
日光を反射してキラキラ輝くワイングラスを見ていると・・・。
(私、もしかしたらインテリアの才能があるのでは?)
一人で満足していた私は、ふと自分の横顔をちくちく刺す熱烈な視線を感じた。
え?一体誰?
首を傾げると同時に、意外という目つきで私を眺めている公爵と目が合った。
(いや、なんであんなにじっと見つめてくるの?)
私と目が合うやいなや、公爵は訳もなく首を回してしまう。
いずれにせよ貴賓たちはそれぞれ席に着席した。
その後、それなりに和やかなティータイムと呼べる時間が続く。
最初はね。
「それにしても、お母さん」
「どうぞ」
「最近、引きこもりを破ってアンテス辺境伯に会ったと聞きました」
皇帝が棘のある声で口を開いた。
「お母さんが、そんなに外部活動に関心があるとは思いませんでした」
瞬間、雰囲気が冷たく凍りついた。
席に座った貴族たちがそれぞれ顔色を伺っている。
皇帝は足を組んで話を続けた。
「息子になった者の心では、無理をしないでほしいと思っていたのですが」
「いいえ、皇帝も国政遂行に苦労しているのではないですか」
しかし、皇太后陛下は快く首を横に振るだけ。
「私があの晩餐会に出席しなかったら、皇帝陛下の名誉に傷が残っていたかもしれないじゃないですか」
「・・・私のために出席された、ということですか?」
「もちろんです。当たり前のことを仰るのですね」
その穏やかな声に、皇帝の眉間がギクシャクする。
「皇居まで訪れた大領主を冷遇した皇帝なんて。この母はそんな噂が流れるような格好は見られません」
皇太后陛下は胸に手を置き、そっと頭を下げた。
「皇帝陛下の代わりに晩餐会に出席できて、大変光栄でした」
私は消化剤を飲んだようにスッキリするのを感じた。
「あら、皇太后陛下。お茶の香りがとてもいいですね」
折りしも皇后様が二人の会話に割り込む。
私は噴き出そうとする笑いを飲み込んだ。
なぜならあの茶葉、皇后様が送ってくださったのだから
皇后様の可愛らしい悪戯に、皇太后陛下は穏やかな笑みを浮かべて頷いた。
「皇后からそう言われると嬉しい限りですね」






