こんにちは、ピッコです。
「悪女の皇后様に溺愛されてます」を紹介させていただきます。
今回は80話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

「この世界の未来を知っている者はどれくらいいるんだろ?」
シャルリーズのこと、シャルルはワンソールという国の未来を知っている。
というのはこの世界が彼女の読んだ本の中であるからだ。
シャルルは悪女の皇后の嫉妬を買って殺されるエキストラ役である… はずなのになぜか皇后に愛されている?!
皇后宮の侍女になったシャルルは今度は皇后様を守るために皇帝によって幽閉されている皇太子を味方につけようとする。
神獣の力を持っている皇太子こそこの本の真の主人公であるからだ。
5歳のシャルルが皇宮で生き残るために奮闘する物語。
シャルリーズ:本作の主人公。愛称はシャルル。皇后の侍女。
ローズ:皇后。シャルルを溺愛している。
ディアミド:皇太子。前皇帝の息子。
ヘイデン:皇后宮の侍女長。
ウェーバー:皇后宮の主任侍女。
ロチェスター公爵:ローズの兄。
シエナ・アンテス:原作のヒロイン。アンテス辺境伯の後継者。

80話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 君が好きだから
「・・・殿下」
私は救急箱を片付けながら口を開いた。
チラッと私を振り返るディアミドに、ニッコリと微笑む。
「殿下は私に迷惑をかけると仰いましたが、私はそんなこと一つも気になりません」
「それはどういう意味?」
「だって殿下が大好きですから」
「・・・え、何だって?」
瞬間、ディアミドの呼吸が不規則に。
あれ、私なにか変なこと言ったかな?
「私、殿下が好きですよ」
するとディアミドは一瞬不審そうな表情で私を見た。
「そして皇后陛下も好き?」
「もちろんです!誰が、皇后陛下を好まないわけがないでしょう!?」
拳を握りしめながら叫ぶ。
私の話を聞いたディアミドは気が抜けた表情を浮かべた。
「そうだよね・・・」
何か呟いているようだけど、一体何を言っているのかな?
「殿下が私と皇后陛下を配慮してくださるのは本当に嬉しいです。でも・・・」
私はしばらく言葉を選ぶ。
彼の思慮深い姿を見るたびに、奇特さと切なさが交差した。
なぜなら、私は彼の切迫さを知ったから。
ディアミドは私たちが自分自身を捨てるのではないかと恐れている。
「私はそれでも、殿下が痛がったり大変な姿は見たくないです」
彼の手の甲に自分の手のひらを重ねた。
ディアミドは私の手を避けず、ただじっと両目を伏せるだけ。
私は本気だ。
今までディアミドはとても痛くて、とても大変だったはず。
「だから殿下も、ご自身の身をもう少し大切にしてほしいです。分かりましたか?」
「でも、君が私と親密だから大変な目にあったら・・・」
「それがどうしましたか?殿下を好きな気持ちで、十分に勝ち抜くことができますよ」
「・・・」
ディアミドがそっと頭を下げてしまったが、耳の後ろが真っ赤になっているのが分かる。
私は陰険に笑いながら話を交わした。
「殿下」
「何?」
「殿下はそんなに私が好きなのですか?顔がよく熟したトマトみたいに真っ赤じゃないですか」
「・・・」
普段なら私の冗談一つで暴れるディアミドが、なぜか今日は静かだ。
あれ?
こっそりディアミドの顔色を伺う。
まさかこんな冗談一つに本気になったわけじゃないよね?
私、あなたの心がそこまで狭くないと信じてるから。
「当然だよ」
「え?」
「私は君のことが大好きだから」
ところがその時、ディアミドが私と視線をまっすぐ合わせながら答えた。
いつもよりずっと断固たる声に、私は少し呆然としてしまう。
うん、好きになってくれて嬉しいけど・・・。
どうしてあんなに決然としているの?
その時、乾いた唾を飲み込んだディアミドが話を続けた。
「そして、君がこれ以上私のそばにいられなくなったとしても」
え?
私は困惑した顔でディアミドに向き合う。
しばらく唇を濁していた彼が、力を入れて語る。
「それでも私は君を好きだから」
努めて平然としていたが、ディアミドの声は既に細く震えていた。
あ、もしかして。
私は目を瞬かせる。
「あの・・・。もしかして私が公爵に養子縁組の提案を受けたから、そんなことを言っているのですか?」
「・・・」
ディアミドは返事の代わりに静かに首を背ける。
しばらくして、彼は慎重に口を開いた。
「ロチェスター公爵家の一員になれるということは・・・、君にとって本当に良い機会だよ」
「うーん、殿下?」
「皇后陛下も君のことを大切にし、ロチェスター公爵もそれとなく君を可愛がっているから」
しばらく言葉を選んでいるようだったディアミドが、私の目をまっすぐ見つめる。
「行って、シャルル」
「・・・え?」
「いい服を着て、美味しいものを食べて、楽なところで寝て、綺麗なものだけ見ながら・・・」
ディアミドの言葉に先が霞んできた。
彼は血が出るまで唇を噛み締めながら囁く。
「そうやって生きてほしい」
「ですが、私、その提案は断るつもりですよ」
「何だって?」
なんでそんなに驚くの?
私が何か間違ったことを言った?
私は軽く肩をすくめて見せた。
「よく考えて出した結論です」
「ど、どうして?」
「皇后陛下には公爵様もいますし、皇后宮のご家族もいますし、そして私もいるじゃないですか」
切実な朱色の瞳。
さっきのディアミドは、まるで捨てられて諦めた子犬にようだったら、今は・・・。
(飼い主が帰ってくるかもしれないという言葉に、希望を抱いた子犬みたいじゃないか)
そんなディアミドが可愛くもあるし、可哀想でもあった。
私は苦笑いして話を続ける。
「ですが、殿下には私しかいません」
「シャルル」
「私が殿下を置いてどこへ行くというのですか?」
ディアミドの指先に包帯を巻いてあげながら、私はそっと微笑みかける。






