こんにちは、ピッコです。
「悪女の皇后様に溺愛されてます」を紹介させていただきます。
今回は84話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

「この世界の未来を知っている者はどれくらいいるんだろ?」
シャルリーズのこと、シャルルはワンソールという国の未来を知っている。
というのはこの世界が彼女の読んだ本の中であるからだ。
シャルルは悪女の皇后の嫉妬を買って殺されるエキストラ役である… はずなのになぜか皇后に愛されている?!
皇后宮の侍女になったシャルルは今度は皇后様を守るために皇帝によって幽閉されている皇太子を味方につけようとする。
神獣の力を持っている皇太子こそこの本の真の主人公であるからだ。
5歳のシャルルが皇宮で生き残るために奮闘する物語。
シャルリーズ:本作の主人公。愛称はシャルル。皇后の侍女。
ローズ:皇后。シャルルを溺愛している。
ディアミド:皇太子。前皇帝の息子。
ヘイデン:皇后宮の侍女長。
ウェーバー:皇后宮の主任侍女。
ロチェスター公爵:ローズの兄。
シエナ・アンテス:原作のヒロイン。アンテス辺境伯の後継者。

84話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- どっちが綺麗?
その質問が落ちた瞬間、皇后様とディアミドが熱烈な目で私を見た。
二人の視線に閉じ込められた私は、胃もたれしそうな気分になってしまう。
でも私には義理がある!
「もちろん皇后陛下です!」
「お聞きになりましたか、皇太子様?」
皇后様は勝利感に満ちた目つきでディアミドを振り返った。
失望した様子がありありとするディアミドをチラリと見て、私はぎこちなく微笑んだ。
ごめんね、ディアミド。
たとえ私があなたを専任することはあっても、私は厳然な皇后様の侍女だから。
「そ、そういえば、皇后陛下!」
「うん?」
「皇居では祭祀を行うじゃないですか?外でもそうなのですか?」
しばらくして皇后様が首を横に振った。
「いいえ、外では祭祀は行わないわ」
「そうなのですか?」
「普通は収穫祭当日を含めて、全部で3日間お祭りを開くの」
「わぁ、3日もですか?」
いつの間にかディアミドも好奇心に満ちた目で皇后様を眺めている。
「美味しいものも沢山売ってるし、見どころも多いわよ」
「とても楽しそうです!それじゃあ皇后陛下は、収穫祭のお祭りにきちんと参加されましたか?」
「皇居に入るまではそうだったわね」
皇居に入るまでは?
「夜になると、人々が川の水に灯りをつけて願い事をしたりするわ。その光景を見に行ったわ」
「川の水に灯りをつけるのですか?」
「ええ。遠くからその風景を眺めると、まるで地上を流れる天の川のように美しいの」
うーん、正直想像できない。
ディアミドも精一杯想像力を総動員しているのか、眉間に深い皺ができていた。
そんな中、皇后様は可哀想な視線で私たちを交互に眺める。
「そういえば、二人とも皇居の外に出たことがないのよね」
それはまあ・・・。
私は生まれてすぐ皇居に捨てられ、ディアミドも3歳から今まで幽閉されていたから。
皇后様がそっと私の頬を撫で、一言一言、力を入れて話を結ぶ。
「いつかシャルルも皇太子殿下も祭りを見に行けると思うわ」
「あの、皇后陛下」
その時、侍女長が私たちに近づいてきた。
・・・もう出発の時間なんだ。
私は乾いた唾を飲み込む。
「時間になりましたので、もう出発しなければなりません」
「分かったわ」
私たちは体を起こした。
皇帝に再会する。
その事実を再確認すると、緊張感が首の先まで上がった。
皇居には神守アウレリアを祀る神殿がある。
私たちの目的は神殿の中央政府だった。
中庭に足を踏み入れた私は、奇妙な気持ちを感じる。
目の前に立っている神獣の祠がなんとなく見慣れたように感じられたためだ。
確かに初めて見る場所なのに、とても長い間泊まった空間のように懐かしく・・・。
胸の片隅がピリピリするこの感じ、一体何だろう?
なんで急にこんな気分になるんだろう?
(・・・いや、余計な考えはやめよう。収穫祭に集中しないと)
真っ先に目に入ったのは、列を成して並んだ数多くの貴族たち。
まだ皇帝は到着していない状況で、ディアミドが中庭に入ると貴族の目が大きく変わる。
「あの方は皇太子殿下ではないですか?」
「まさか、皇太子殿下が皇帝陛下の神童になったのですか?」
「正直に言うと、いつ廃太子になるかもしれない状態じゃないですか」
「確かに、現皇帝が皇位を継いでもう10年ですから」
カッとした私がそっちの方向を睨むと、ディアミドがそっと首を横に振る。
「大丈夫」
(大丈夫って何がいいの?)
歯を食いしばっていたその時、ひんやりとした声が響いた。
「今カルベルの名を受け継いだ唯一の皇太子を前に、それは何の妄言ですか?」
ロチェスター公爵だ。
公爵が真顔になると、貴族たちはようやく静かになる。
私をチラリと振り返った公爵が、笑顔で静かに唇を動かした。
『ちび、今日はちょっと見る価値があるね』
・・・今、公爵が私を褒めてくれたのかな?
なんとなくむず痒い気分で、私の顔は少し赤くなってしまう。
すると、ディアミドが公爵を睨んだ。
いや、ディアミドはなんであんなに怒っているの?
「・・・」
公爵も私と同じ考えだったのか、「一体彼はどうしたの?」という表情をしていた。
そんな中。
「あ」
こちらを熱烈に見つめる視線が感じられるので、顔を上げてみると・・・。
「皇太后陛下」
皇太后陛下が遠方からこちらを眺めていた。
しわの寄った目元は既にしっとりと濡れている。
そっか、収穫祭には直系の皇族がみんな参加するから・・・。
私はチラリとディアミドを見た。
「・・・」
ディアミドは辛うじて感情を抑えて、朱色の瞳が震えていた。
確かに、ほぼ5年ぶりの再会だもんね。
しばらくするとディアミドがうつむく。
皇太后陛下は小さく頭を下げることで、ディアミドの挨拶に応えた。







