こんにちは、ピッコです。
「悪女の皇后様に溺愛されてます」を紹介させていただきます。
今回は96話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

「この世界の未来を知っている者はどれくらいいるんだろ?」
シャルリーズのこと、シャルルはワンソールという国の未来を知っている。
というのはこの世界が彼女の読んだ本の中であるからだ。
シャルルは悪女の皇后の嫉妬を買って殺されるエキストラ役である… はずなのになぜか皇后に愛されている?!
皇后宮の侍女になったシャルルは今度は皇后様を守るために皇帝によって幽閉されている皇太子を味方につけようとする。
神獣の力を持っている皇太子こそこの本の真の主人公であるからだ。
5歳のシャルルが皇宮で生き残るために奮闘する物語。
シャルリーズ:本作の主人公。愛称はシャルル。皇后の侍女。
ローズ:皇后。シャルルを溺愛している。
ディアミド:皇太子。前皇帝の息子。
ヘイデン:皇后宮の侍女長。
ウェーバー:皇后宮の主任侍女。
ロチェスター公爵:ローズの兄。
シエナ・アンテス:原作のヒロイン。アンテス辺境伯の後継者。

96話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 明日の約束②
「約束してもらえるかな?」
一瞬、言葉が詰まった。
普段なら「皇太子殿下をどうやって名前で呼ぶことができますか?」と一歩退いたと思うけど・・・。
頭の中が真っ白に染まって、何も思い出せなかった。
心臓が張り裂けるほどドキドキしている。
ドンドンという音が彼に聴こえるのではないかと恐れるほどだ。
・・・ところで、心臓は一体どうして動くの?
私は混乱した表情を隠せなかった。
「はい、約束します」
しかし、私の唇はいつの間にか、勝手に動いていた。
しばらく迷っていた私は口を開く。
「それじゃあ、殿下も私に一つだけ約束してください」
「何を?」
「遅れるのは大丈夫です。私、待つのは上手くできる自信がありますから」
私は力を入れて話を続けた。
「代わりに・・・、怪我一つなく、健康に」
私の話を聞いていたディアミドの顔がゆっくりと歪む。
同時に私が釘を刺した。
「笑顔で戻ってこなければなりません」
その瞬間、ディアミドが私の手を引き寄せる。
子供たちがするような約束のしるし。
だがその表示は確かに、ディアミドの真心がこもっていた。
「約束するよ、シャルル」
彼の声に次第に力が入っていく。
「私は必ず、元気に生きて帰ってくるよ」
「・・・本当ですよね?約束してくれますか?」
「そうだよ。君にまた会うためにも、きっと」
そう囁きながら、ディアミドはうつむいた。
びしょ濡れの声。
これまで平気なふりをしていたが、やはりディアミドも大変だったのだ。
息を呑んだ私は、出来るだけ軽い口調で口を開く。
「実は私、殿下のために準備したプレゼントがもう一つあるんです」
「プレゼント?ハンカチ以外にも?」
「はい」
「何?」
「それは秘密です」
私はニッコリと微笑む。
じっと見つめていたディアミドも、結局私に釣られてニヤリと笑ってみせた。
ほんの少しでもいい。
私が彼のために準備したプレゼントが、去るディアミドに少しでも慰めになることを。
私は切に願う。
夜明けの星がキラキラと昇った時間。
私は小走りで暗い皇居を横切る。
遠く、朱色の提灯がゆらゆら揺れる姿が見えた。
提灯を持っているのは皇太后宮の女中。
その後ろ、皇太后陛下と侍女長が立っている。
お二人とも新党を訪問する際の礼儀を守るために、頭からベールを垂らして顔を覆った姿だった。
「皇太后陛下、お迎えに参りました」
私が頭を下げると、皇太后宮の侍女長は私に申し訳ない笑みを浮かべる。
「こんな早い時間に呼び出すことになって申し訳ないわ」
「いいえ、私が当然しなければならないことです」
皇太后は今、ディアミドの無事帰還のために新党へ夜明けの祈りに向かう途中だった。
しかし、収穫祭など特別な行事がある場合でなければ、新党は通常出入りが制限される。
もちろん原則的には皇太后陛下は出入りが制限されないのが正しいのだけど・・・。
(皇帝が皇太后陛下を目の敵にしているのに、どうして堂々と出入りできる?)
こうして皇后様が皇太后陛下のために出入りを許可してくれたのだ。
そして出入り許可を証明するために、皇后宮の侍女である私が一緒に行くことになった。
しばらくして。
私は皇太后陛下をお迎えし、新党の中に足を踏み入れる。
中は静かで、皇太后陛下は翼を広げた神授像の前に身をかがめた。
多分、皇太后陛下が新党にいらっしゃることは、すべて皇帝の耳に入っているだろう。
そこでわざわざ私と皇太后宮の侍女長は、祈りを捧げる皇太后陛下のそばについていた。
皇帝の疑いを避けるために。
「シャルル」
私を呼んだ皇太后様が、私に手を伸ばしてお見えになる。
5年前、皇太后陛下主催のティータイムがあった日。
私と皇太后宮の下女たちの間で問題が起きたことを口実に、皇太后宮では力を尽くして皇帝のスパイを選り分けた。
それ以来、5年という時間が流れている。
その間、皇太后宮は皇帝の影響力から少しだけ自由になった。
そのため、今回の出会いも実現できたのだ。
(ディアミドは無事に皇太后陛下と出会えたのかな?)
私は皇太后陛下の横顔をじっと見つめる。
長いベールの下に、皇太后陛下の顔がチラッと映った。
皇太后陛下に扮した皇后宮の侍女長を。







