こんにちは、ピッコです。
「ある継母のメルヘン」を紹介させていただきます。
今回は101話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

鉄血の未亡人、ノイヴァンシュタイン城の魔女、貴婦人の恥……。
これらは全てシュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン侯爵夫人を指す言葉である。
夫を失くした後、世の中から後ろ指を差されながらも、姉弟ほどしか年の変わらない血のつながらない子供たちを育てあげた。
そしていよいよ長男ジェレミーの結婚式の日を迎え、今までのすべての苦労と努力が報われると思っていたが、それは大きな勘違いだった…!
結婚式に来るなと言われ、失意の中城を去り田舎へ向かう途中、彼女は事故に巻き込まれ命を失うことになり、気が付くと七年前の死んだ夫の葬儀の日に戻っていたのだ。
そして二度と以前のような後悔にまみれた人生は生きないと心に誓う!
シュリー:シュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン侯爵夫人。本作の主人公
ジェレミー:ノイヴァンシュタイン侯爵家長男
エリアス:ノイヴァンシュタイン侯爵家次男
レイチェル:ノイヴァンシュタイン侯爵家長女。レオンと双子。
レオン:ノイヴァンシュタイン侯爵家三男。レイチェルと双子。
ヨハネス:故ノイヴァンシュタイン侯爵
ノラ:ニュルンベル公爵家令息
テオバルト:第一皇太子
リシュリュー:枢機卿
レトゥラン:第二皇太子
ロベルト:ノイヴァンシュタイン侯爵家執事長
オハラ:ハインリッヒ公爵令嬢。ジェレミーの婚約者

101話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ただの偶然?
「シ、シュリー」
あっ、ビックリした。
いつ近づいてきたのか分からないエリアスが慎重な口調で私を呼ぶ。
成人式まではまだ少し残っているが、もう普通の青年に劣らず育った子供は落ち着きのない表情を浮かべている。
「何か必要なの、エリアス?」
「いや、そうじゃなくて・・・、ちょっと話ができるかなと思って・・・」
しょんぼりとした声は非常に聞き慣れないものだった。
普段の自信はどこへ行ったのか、だらりとした肩も気の毒に思えるほど。
だから私は頷いて、彼は私の部屋に導いた。
「それで、どうしたの?本当はどこか痛いんじゃ?」
座ってと示すにもかかわらず、エリアスは座らない。
代わりに一体何を悩んでいるのか、ぼんやりと立って充血した目をぐるぐる回している。
窓から入ってきた明るい日差しが、エリアスの尻尾のように縛られた赤い髪を染めていた。
「それで・・・、シュリー」
「うん?」
「えっと、だから・・・、俺が・・・」
一体どうしたのだろうか?
昨夜、本当に大変なことが起きたのかな?
「・・・ごめん。酷いことを言って」
その瞬間、私が耳を疑ったのは言うまでもない。
私が文字通り完全に無欠な氷の状態になっている間、エリアスは私の表情をチラリとみて、長く息を吸った。
「だから俺がお前に言ったことが・・・、馬鹿だったのは知ってる。本気じゃなかったんだ。ただ・・・、兄貴が俺より偉そうでお前といっぱい喋るから、思わず、その・・・、嫉妬していたみたいだ」
「・・・」
「それと、ええと、本当にちょっと面白半分でやってみようと始めたんだけど、こんなに深く嵌るなんて俺も思っていなかった・・・。とにかく、もう二度とギャンブルはしないと誓ったから。それに、あの賭博場の主人も夜逃げしたし・・・」
「夜逃げ?兄さんが?」
戸惑いながら信じられない気持ちで、言葉がぼんやりと流れ出た。
「うん。俺もよく分からないけど、木の葉銀行と何か関係があるらしい」
この全てはただの偶然?
ノラが言ったように?
第二皇子をはじめ、エリアスまで団結して立ち寄った賭博場の主人が他でもない私の兄だったという事実が本当に偶然であるだけなら、本当に素晴らしい偶然と言える。
けれど、その無数の偶然の中で、これほど鳥肌が立つように感じられる偶然がどれくらいあるのだろうか?
まるで巧妙に作られたような・・・。
「とにかく心配かけてごめん。お前を悲しませたのも・・・、俺は恥ずかしいけど何か試してみたかったんだと思う」
「試す?」
「その・・・、俺がどんな事故を起こしてもお前が変わらずに俺を受け入れてくれるかどうか・・・」
あら!
このような告白には一体何と答えてあげればいいのかな?
私の困惑した表情を見て、エリアスがサッと付け加える。
「情けない話だって分かってる!今になって振り返るとそうだし・・・。率直に言って俺は兄貴ほどお前の頼りにもならないし、だからと言って双子のように茶目っ気を使う年も過ぎた」
「あなたがレオンの頃も、茶目っ気とは全然縁がなかったのに」
「・・・」
言葉を失ったエリアスは顔を赤らめ、目を丸くした。
思わず微笑みが漏れてしまう。
「エリアス。私はあなたからあなたのお兄さんのような姿や双子のような姿を期待していないわ。あなたにはあなただけの長所があるのだから」
「・・・本当にそう思う?」
「もちろんよ。あなたじゃなければ、誰がこんなにも私の心をひっくり返すことができるの?私はまだ、あなたが私にくれる花を摘みに夜に家出したことを昨日のように覚えているわ」
エリアスはしばらく私をぼんやり見つめているのかと思ったら、すぐに自重気味にニヤニヤ笑い出した。
私も声を出して笑う。
「とにかく、あなたがこれ以上賭博のことを思い浮かなければ、もう望むことはないわ」
「考えもしないよ。夢で見ることもない」
「それなら良かった。ところであなた、第二皇子とはいつからそんなに親しくなったの?本当に決心してギルドを作ったの?」
過去のちょうど今年、エリアスが第二皇子を殴った事件が起きた。
ところが、今はその二人が親しくなっている。
本来は宿命のライバルだったはずなのに。
ジェレミーとノラが、この上ない親友になったのと似ていた。
「親しくなったんじゃなくて・・・、ただなんとなく話してみると、意外と気さくで優しくて。年も近いし、似たような境遇でもあるし・・・」
「似たような境遇?」
「タチの悪い兄貴がいるってことだよ」
悪戯っぽく付け加えたエリアスがにっこりと微笑んだ。
普段らしい意地悪な笑顔。
それで私はすぐ次の質問に移った。
「それで?昨夜は本当に何があったの?」
「・・・」
エリアスと仲直りできて良かったです。
レトゥラン皇子との交流も気になるところですね!





