こんにちは、ピッコです。
「ある継母のメルヘン」を紹介させていただきます。
今回は103話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

鉄血の未亡人、ノイヴァンシュタイン城の魔女、貴婦人の恥……。
これらは全てシュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン侯爵夫人を指す言葉である。
夫を失くした後、世の中から後ろ指を差されながらも、姉弟ほどしか年の変わらない血のつながらない子供たちを育てあげた。
そしていよいよ長男ジェレミーの結婚式の日を迎え、今までのすべての苦労と努力が報われると思っていたが、それは大きな勘違いだった…!
結婚式に来るなと言われ、失意の中城を去り田舎へ向かう途中、彼女は事故に巻き込まれ命を失うことになり、気が付くと七年前の死んだ夫の葬儀の日に戻っていたのだ。
そして二度と以前のような後悔にまみれた人生は生きないと心に誓う!
シュリー:シュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン侯爵夫人。本作の主人公
ジェレミー:ノイヴァンシュタイン侯爵家長男
エリアス:ノイヴァンシュタイン侯爵家次男
レイチェル:ノイヴァンシュタイン侯爵家長女。レオンと双子。
レオン:ノイヴァンシュタイン侯爵家三男。レイチェルと双子。
ヨハネス:故ノイヴァンシュタイン侯爵
ノラ:ニュルンベル公爵家令息
テオバルト:第一皇太子
リシュリュー:枢機卿
レトゥラン:第二皇太子
ロベルト:ノイヴァンシュタイン侯爵家執事長
オハラ:ハインリッヒ公爵令嬢。ジェレミーの婚約者

103話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 永遠に崩れない壁
ジェレミーはしばらくの間、親しい戦友が薬に酔ったのではないかと疑わしげな表情になった。
大会前に密かに薬を吸う不正を犯す奴らがいることを彼も知っている。
まさか・・・?
しかし、首を傾げながらこちらを凝視するノラの青色の瞳は、薬に酔った人にしてはあまりにも澄んでいて鋭いものだ。
「何を言っている?」
「昨日、お前の弟が喋った事が完璧なうわ言だと思っているのか?」
この予期せぬ奇襲に、ジェレミーはらしくない一瞬その場で凍りついてしまう。
文字通り驚愕に襲われた。
パッと開いた口は、そのまま固まってしまう。
「何を・・・」
「一度くらいは確かに聞いてみたかったんだ」
もし相手が別の人間だったら、今頃彼はジェレミーによって魚の餌食にされていただろう。
しかし、今この瞬間、ジェレミーは不思議なほど身動きができなかった。
言葉さえ出ない状況。
まるで予期せぬ瞬間、虚をつかれた人のように、何かを見抜かれた人のように・・・。
『正直、兄貴は本当にあいつを母親だと思っているのか!?違うだろ!兄貴が何のために誰とも付き合わないのか、どうして婚約の考えもしないのか、どんな目つきであいつを見つめているのか全部知っているんだ!み、みんなそう騒ぐんだよ!シュリーも兄貴じゃなかったら、3年前にあんな風に結婚を破棄しようとしなかったはずだ!俺なんか重要じゃない!あいつが俺に興味がないという事実はよく知っている!』
エリアスが喋ったうわ言を思い出すと、何の影もなかったジェレミーの顔に初めて影が映った。
徐々に沸き起こる疑惑が次第に恐怖の塊に変わっていく。
「お前も・・・、そう思ってきたのか?そんなうわ言を信じて・・・」
「俺がどう思うかが重要なのではなく、お前がどう思うかが重要だ。俺はシュリーが君たちに対する心に何の疑問も持っていない。俺が気になるのはお前の気持ちなんだ」
「気持ちって、お前ふざけるなよ!?一体何を望んでそんな質問を俺にするんだ!?」
「お前は俺の友達だから」
落ち着いて答えたノラが腕を組んで体を全体に回してジェレミーと向き合う。
これに対し、ジェレミーは親友の首筋を握りしめるように手を伸ばして止まった。
「何だよ・・・」
「そして、これからの俺の歩みがその友達の心構えにかかっている状況だからだ」
しばらく静寂があった。
ジェレミーが暗緑色の目を瞬かせながら、その言葉が一体どういう意味なのか理解しようと努力している間、ノラは比較的落ち着いた表情を青い目に収めて立っている。
しばらくの薄氷のような静寂の末、ついに鳴った言葉はまさにこれだった。
「何を言ってるんだ?」
この極めて呆然とした質問に、ノラは相手に相当な自壊感を抱かせる情けない目つきを見せ、その結果ジェレミーはかなり気分が悪くなった。
「今までそうしてきたように、シュリーさんのためなら俺は何も厭わない。けれど、途中でお前が突然の変数になってしまったら、それこそかなり頭の痛い問題なんだよ」
もう一度静寂が流れる。
今回は、より驚愕に近い静寂だった。
ノラは「惚れている」や「恋慕う」式の平易で均等な表現は一切使わなかったが、結果的にそのように話したも同然であり、ジェレミーもそのように理解した。
「お前・・・、だから俺は・・・」
「お前はシュリーさんにとって家族かもしれないけど、俺は違う。だからといって、お前がシュリーさんをぬかるみに引き摺り下ろすのをそのまま放置するわけにもいかない。だから、ここでハッキリ言ってくれ」
ここまで言われれば見抜かれてしまったのが正しいだろう。
ジェレミーは思わず呻き声を上げながら唇を噛み締めた。
これは全て愚かな弟のせいだ。
他の人でもない自分の弟があんなうわ言で自分の胸を撫でておかなかったらこんなに・・・。
こんなに揺れていなかったはずなのだから。
家族として受け入れることにした。
母として受け入れることにした。
それでもその多くの女性の中で、よりによって彼女を継母として会ったのは彼が意図したことではなかった。
彼が望んだからそうなったのではなかった。
それでも、運命は彼らの間に永遠に崩れない壁を立てた。
そして、その壁が崩れれば、両方とも下敷きになって死ぬだろう。
それでも・・・。
なぜ何の言葉も出てこないのか。
どうして反論することができないのだろうか?
何度も躊躇った末、ついに出た言葉は喉を引っ掻くように飛び出した。
ジェレミーはその痛みに息を切らして吐き出す。
「もし・・・、もし俺も彼女もお互い同じことを望んでいたらどうするつもりなんだ?」
奇異に切羽詰まった声。
これに対しノラは濃い眉毛を持ち上げて噛み締めるように答えた。
「ライオンの巣窟を守ってくれる警備犬が必要だろ?喜んで守ってやるよ。それが本当にシュリーさんが望むことなら」
「・・・」
「ただし、そうじゃなければ、その逆になるだろうな」
静寂。
また静寂だった。
剣術大会の初日の夕方、ピンク色の黄昏が垂れ下がったドナウ川の橋の上で、二人の青年はそのように互いに向き合ったまましばらく静寂に包まれていた。
まるで家に帰る道に迷った幼い少年たちのように、迎えに来てくれる誰かを限りなく待ちながら右往左往する少年たちのように。
先に口を開いたのは黒髪の騎士の方。
荒波のように揺れていた青い目がしばらく閉じていたかと思ったら、いつの間にか愉快に瞬き、友人の緑色の目を見合わせる。
「じゃ、明日の決勝戦で会おうな」
「・・・」
ジェレミーは何も言えなかった。
何も起こらなかったかのように陽気に挨拶をしながら振り向く友人の後ろ姿を見つめるだけ。
ジェレミーもシュリーへの恋心を自覚しました。
家族という強大な壁が立ち塞がっていますが、ジェレミーにも頑張ってほしい・・・!
ですが、ノラにも報われてほしいです!





