こんにちは、ピッコです。
「ある継母のメルヘン」を紹介させていただきます。
今回は107話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

鉄血の未亡人、ノイヴァンシュタイン城の魔女、貴婦人の恥……。
これらは全てシュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン侯爵夫人を指す言葉である。
夫を失くした後、世の中から後ろ指を差されながらも、姉弟ほどしか年の変わらない血のつながらない子供たちを育てあげた。
そしていよいよ長男ジェレミーの結婚式の日を迎え、今までのすべての苦労と努力が報われると思っていたが、それは大きな勘違いだった…!
結婚式に来るなと言われ、失意の中城を去り田舎へ向かう途中、彼女は事故に巻き込まれ命を失うことになり、気が付くと七年前の死んだ夫の葬儀の日に戻っていたのだ。
そして二度と以前のような後悔にまみれた人生は生きないと心に誓う!
シュリー:シュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン侯爵夫人。本作の主人公
ジェレミー:ノイヴァンシュタイン侯爵家長男
エリアス:ノイヴァンシュタイン侯爵家次男
レイチェル:ノイヴァンシュタイン侯爵家長女。レオンと双子。
レオン:ノイヴァンシュタイン侯爵家三男。レイチェルと双子。
ヨハネス:故ノイヴァンシュタイン侯爵
ノラ:ニュルンベル公爵家令息
テオバルト:第一皇太子
リシュリュー:枢機卿
レトゥラン:第二皇太子
ロベルト:ノイヴァンシュタイン侯爵家執事長
オハラ:ハインリッヒ公爵令嬢。ジェレミーの婚約者

107話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 試合開始
目を輝かせてアリ王子の言葉に耳を傾けていたレイチェルが微笑んだ。
「サファビ国の戦士たちも全然遅れを取っていると言えないと思います。王子様が戦う姿もぜひ見たいですね」
「それはありがたいお言葉ですね。とにかく今は私たち側の素養がかなり足りない状況なので、どうせなら令嬢のお兄さんになる方の優勝を祝ってみたいと思います」
私の記憶通りなら、4年後の剣術大会にアリ王子は参加できないだろう。
なぜなら、その頃サファビ国と我が帝国が冷戦状態に突入するのだから・・・。
「皇族が先を争って参加していた昔が懐かしい」
私は顔を背けて皇室側の客席をチラリと見る。
上段に謹厳に座っている皇帝が実に残念そうに吐いた発言に、すぐそばに座っていたテオバルト皇太子は照れくさそうな笑みを浮かべて見せていた。
それに対して皇后の隣に座ったレトゥラン皇子は、その言葉を聞かなかったのか、それとも気にしないのか、鼻をすすりながらも両目をキラキラ輝かせている。
「ノラさんが勝ちます。そうじゃないですか、お母様?」
「静かにしてください、皇子。この母親は、生意気な甥っ子であれ傲慢なライオンであれ、あまり応援したくありません」
「私もいつかノラ兄さんのようにあそこに参加できるでしょうか?これからもっと努力すれば」
「そのようなタイプの審美眼は、この母より、あそこに傲慢に座っているライオンたちの母親の方が優れているはずですが、どう思いますか、レディ・ノイヴァンシュタイン?」
さすが皇后様だ。
待っていたかのように私に矢を向ける姿が、この程度なら日常に感じられるほどだった。
私は自分に目を向けるエリザベートに向かい、目を向けて答える。
「できないこともないじゃないのでは?レトゥラン皇子はまだ幼くて潜在力に優れた方ですから」
「ああ、本当にそう思いますか?ノイヴァンシュタイン夫人はレトゥランに潜在力があると言っていますが、どう思いますか、陛下?」
気分よく酒を飲んでいた皇帝は、どうして急に自分に矢が回ってくるのかさっぱり分からないという表情を浮かべるが、それでもとても慈悲深く応酬した。
「皇子が望むなら、新しい剣術師をつけることもできるだろう。途中で投げ捨てないという前提条件の下に」
レトゥラン皇子がニッコリ笑っている間、エリザベートは何も言わなかった。
代わりに扇子で口元を隠して私にそっと微笑んだ。
私も自分をじっと見つめるテオバルトの視線を知らないふりをしようと努力し、一緒に微笑む。
その間、休憩時間の終結を知らせる角笛の音が力強く鳴り、ものすごい歓声と共に、ついに待ち望んでいた最終決勝戦の幕が開かれた。
競技場の真ん中に位置する最大の壇上にある二つの旗が同時に立ち上がる。
二人とも正式の軍装姿だったが、曇った空の下で向かい合う二人が今日に限って特に対照的に見えた。
眩しい金髪に銀色の軍装のせいか、普段よりもっと明るく感じられるジェレミー。
そして黒髪に紺色の軍装が普段よりさらに暗く感じられるノラ。
とにかく誰を応援すればいいのか分からない状況ではないので、私はかなり穏やかな気分を維持していた。
どうせ引き分けで終わる試合なのだから。
もし変数が生じたとしても、二人の仲の良い友達がぶつかり合い互角を競うことだから愉快なことではないけれど・・・。
「何だあの二人、何をコソコソ言ってるんだ?今が友情ごっこをする状況に見えるのか?」
エリアスが疑問を口にする。
審判が試合開始を知らせるや否や、二人は即決闘に臨むのではなく何か話していた。
正確にはジェレミーがノラに何かを話しているようだ。
しばらくして、黙々と立って聞いているようだったノラが突然ものすごい勢いで剣を振り回すと同時に雷が鳴った。
文字通り四方が一瞬明るくなるかと思ったら、空からゴロゴロと雷が鳴る!
あちこちから短い悲鳴が沸き起こった。
「きゃあ・・・!」
私がじっと見つめる中、うっかりレイチェルを抱きしめてしまったアリ王子が素早く身を落とす。
思わず悲鳴を上げて他国の王子に抱かれたレイチェルもぎこちなく姿勢を正した。
幸いジェレミーはノラが振り回した剣に当たらなかった。
両騎士は、もはや天が泣き叫ぶかどうかは気にせず、激しい勢いで大剣をぶつかり始める。
私の記憶の中の姿のように、いや、もしかしたら私の記憶よりもっと激しく。
ジェレミーの剣技には強烈と同時に、他人には決して真似できない優雅で美麗な趣が。
それに対してノラの剣技は貴族騎士のそれらしくなかった。
猪突的と評されるほど。
彼にニュルンベルンのオオカミでもない飢えたオオカミというニックネームが付けられたのは、この試合で見せた姿が大きく寄与しただろう。
今のところ、二人はほぼ互角に見えた。
「凄いね」
我々の小さな知識人が呻き声を上げるように呟く。
なるほど、その通りだった。
7回。
もう7回目。
二人の騎士が繰り広げる負けず劣らずの決闘が7回続いている。
最初は熱気を帯びた歓呼で大騒ぎだった観客席は、もはやこの上ない静けさの領土になっていた。
皆息の音一つも大きく出さずに汗に濡れた手をギュッと握っている。
お互いの首に剣を向けて7回目の引き分け判決を下している審判もかなり困惑しているようだった。
そして私も戸惑っている。
本来なら、この辺で4度目の引き分けになってから決着がつかなければならなかった。
だからこの辺で皇帝が判定を下さなければならないのに。
しかし、皇帝はあの狂ったように激しい決闘に取り憑かれたのか、なぜか他の人たちと変わらない緊張した表情で競技場をじっと見つめているだけ。
決勝戦の開始。
開始直後の会話が気になりますね。
皇帝が判定しない限り、お互いに勝負がつかない状況。
このままでは危険ではないでしょうか?





