こんにちは、ピッコです。
「ある継母のメルヘン」を紹介させていただきます。
今回は108話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

鉄血の未亡人、ノイヴァンシュタイン城の魔女、貴婦人の恥……。
これらは全てシュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン侯爵夫人を指す言葉である。
夫を失くした後、世の中から後ろ指を差されながらも、姉弟ほどしか年の変わらない血のつながらない子供たちを育てあげた。
そしていよいよ長男ジェレミーの結婚式の日を迎え、今までのすべての苦労と努力が報われると思っていたが、それは大きな勘違いだった…!
結婚式に来るなと言われ、失意の中城を去り田舎へ向かう途中、彼女は事故に巻き込まれ命を失うことになり、気が付くと七年前の死んだ夫の葬儀の日に戻っていたのだ。
そして二度と以前のような後悔にまみれた人生は生きないと心に誓う!
シュリー:シュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン侯爵夫人。本作の主人公
ジェレミー:ノイヴァンシュタイン侯爵家長男
エリアス:ノイヴァンシュタイン侯爵家次男
レイチェル:ノイヴァンシュタイン侯爵家長女。レオンと双子。
レオン:ノイヴァンシュタイン侯爵家三男。レイチェルと双子。
ヨハネス:故ノイヴァンシュタイン侯爵
ノラ:ニュルンベル公爵家令息
テオバルト:第一皇太子
リシュリュー:枢機卿
レトゥラン:第二皇太子
ロベルト:ノイヴァンシュタイン侯爵家執事長
オハラ:ハインリッヒ公爵令嬢。ジェレミーの婚約者

108話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- やめて・・・
確かに凄いショーではあった。
この大会で自分のすべてを賭けて戦う参加者は多い。
しかし、これほど後々話者になってもおかしくないほど殺伐すると同時に、負けず劣らずの対決を繰り広げる実力の持ち主は極めて少なかった。
もう7度も勝負を競っても疲れていないのか、審判が白い銅板を持ち上げるや否や、二人は再び激しく剣をぶつかり始める。
今は二人とも双手で剣を握っていて、剣が動く姿がまともに見えない。
ジェレミーの剣が素早く下の落ちると同時に、ノラは剣を持ってそれを防いだ。
短い駆け引きが過ぎるかと思ったら、再び対峙姿勢がとられた。
あんな風にして二人のうち一人が怪我でもしたら・・・。
私の心配そうな目がニュルンベルン公爵家客席に向かう。
公爵夫人は白くなった顔で両手をギュッと合わせて握っている間、公爵は片方の拳を膝の上に乗せたまま焦燥感溢れる目で競技場を注視していた。
ゴロゴロ!
雷が再び鳴ると同時に、誰かが短い悲鳴を上げる。
私はもう一度前を見た。
いつの間にか雨粒が落ちている。
この辺で判定が下さらなければならないのに・・・。
「ふあ・・・」
エリアスがため息をついて私の手を握るのが感じられた。
彼の手も私の手に劣らず湿っている。
並んで広がった私たちの視野に鳥肌が立つほど早くて荒々しい剣を振るうノラと、侮れない圧倒的な勢いで打ち返すジェレミーの姿が入ってきた。
本物の猛獣たちの生死を分ける対決、本当にライオンとオオカミの決闘に見える!
「お願いだからやめて・・・」
私の口から呻き声が流れると同時に、荒々しい轟音が響いた。
それと同時に1、2滴ずつ落ちていた雨が激しい夕立に変わり、地上の群衆の上に降り始めた。
雨水が雪の中に流れ込み、視界がぼやけてきた。
私は目を見開いて立ち上がる。
うっかり私に続いて立ち上がったエリアスが何か呟きながら私の頭の上に手のひらを広げた。
壇上の端に押し出されたジェレミーは片手で剣を握ったまま肩を揺らしている。
その向かい側に立ったノラが床に落ちた兜を足で蹴って片付けるのかと思ったら、突然首を回して客席の方をじっと見つめ始めた。
雨があまりにも激しく降っていたため、青く輝く視線が正確に誰を見ているのかよく分からない。
見えるのは、ひたすら湿った黒髪の青年と、その青年に近づく兜をかぶった金髪の青年だけ。
刹那の瞬間、ぐらっと落ちるジェレミーの剣をノラが阻んだ。
もう一度轟音が鳴り、今度はジェレミーの兜が壇上の床に落ちた。
息子が一瞬よろめきながら腰をかがめているのが見えた。
次の瞬間、剣を握った両腕を空中に上げたノラがそのまま一抹の迷いもなく素早く叩きつける。
親友の腕に向かって。
ゴロゴロ!
私以外に誰が悲鳴を上げても空を裂くような雷鳴に埋もれてしまったのだろう。
剣が床に落ちる音も同時だった。
私たちは皆、今起こったことを正しく認識するのにかなり時間がかかった。
床に片膝を当てているジェレミーも、その反対側に立っているノラも、もう剣を持っていなかった。
ノラはジェレミーの手首を叩いたわけではなかった。
ジェレミーが握っている剣の取っ手の上部を叩き落としただけ。
そして、自分も剣を振り下ろすと同時に取っ手を置いてしまったのだ。
「・・・勝・・・負・・・は!引き分けです!両方とも同時に剣を落としました!」
この多くの人が集まったとは信じられないほど堅固で息詰まる静寂の真ん中で、審判の混沌とした叫び声がかすかに響いた。
みんな徐々に、とてもゆっくりと気がつき、そして・・・。
わあああああ!
息が詰まるほどもの凄い歓声が大気を揺がし始めた。
激しく降り注ぐ土砂降りにびしょ濡れの人々は皆老若男女問わず熱狂している。
仕組んだとしてもこれほどのショーはないだろう。
本当に息が止まるかと思った!
「チャンピオン!チャンピオン!」
「ニュルンベル!ニュルンベル!」
「ノイヴァンシュタイン!ノイヴァンシュタイン!」
雷がもう一度鳴ったが、今は地上の人々が叫ぶ狂気の叫び声とは比べものにならなかった。
気弱な何人かの女性は気絶している。
同じように膝の力が抜けていき、どっかり座り込んだ私の目に壇上を歩いて降りてくる二人の姿の風景が入ってきた。
疲れてもいないかのように、競技場を駆け抜けた二人の騎士が階段を上り、客席に上がって皇帝の足元に並んでひざまずいた。
高く垂れ下がった日除けのカーテンのおかげで、少しも濡れていない皇帝は、実に嬉しそうな笑みを満面に浮かべたまま、びしょ濡れになった二人の青年を眺めている。
「私にも君たちのような息子がいたらどんなに良かっただろうか。長さを覚えて記録しておくほどの素晴らしい試合だったね。こんなに緊張したのはいつぶりか分からない。ただ残念ながら引き分けなので公正さを称えるために誰にもトロフィーを下賜できなくなったね」
やや渋い目つきで二人の騎士を注視していたエリザベートが突然割り込んだのはその時だった。
「子供が抱かせてくれる栄光の証を受け持つ母の喜びを奪わないでください、陛下。トロフィーなしの大会に意味があるのですか?」
大会の結果は、過去と同じ引き分けに終わりました。
過程がかなり違いますが、とりあえず二人とも無事で良かったです。





