こんにちは、ピッコです。
「ある継母のメルヘン」を紹介させていただきます。
今回は96話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

鉄血の未亡人、ノイヴァンシュタイン城の魔女、貴婦人の恥……。
これらは全てシュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン侯爵夫人を指す言葉である。
夫を失くした後、世の中から後ろ指を差されながらも、姉弟ほどしか年の変わらない血のつながらない子供たちを育てあげた。
そしていよいよ長男ジェレミーの結婚式の日を迎え、今までのすべての苦労と努力が報われると思っていたが、それは大きな勘違いだった…!
結婚式に来るなと言われ、失意の中城を去り田舎へ向かう途中、彼女は事故に巻き込まれ命を失うことになり、気が付くと七年前の死んだ夫の葬儀の日に戻っていたのだ。
そして二度と以前のような後悔にまみれた人生は生きないと心に誓う!
シュリー:シュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン侯爵夫人。本作の主人公
ジェレミー:ノイヴァンシュタイン侯爵家長男
エリアス:ノイヴァンシュタイン侯爵家次男
レイチェル:ノイヴァンシュタイン侯爵家長女。レオンと双子。
レオン:ノイヴァンシュタイン侯爵家三男。レイチェルと双子。
ヨハネス:故ノイヴァンシュタイン侯爵
ノラ:ニュルンベル公爵家令息
テオバルト:第一皇太子
リシュリュー:枢機卿
レトゥラン:第二皇太子
ロベルト:ノイヴァンシュタイン侯爵家執事長
オハラ:ハインリッヒ公爵令嬢。ジェレミーの婚約者

96話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 殺伐とした静寂
「あ、あの、何かありましたか?何の誤解があったのか分かりませんが、私は何も悪いことはしていません。ご希望のものがあれば、いくらでも差し上げます」
瞬く間に謙遜に態度を覆したルーカスの切ない発言に、先ほど見せた暴力性とは全くかけ離れたゆったりとした姿で剣を触っていた男が首を回さずに答える。
「続けて話せ」
「・・・え?」
「その後も続けて話せと言った」
男の声は物静か極まりなかったが、沈んだ青い目つきは鳥肌が立つほどゾッとするような気勢を漂わせていた。
そしてルーカスは瞬間、理由が分からない既視感に捉われた自分を発見することに。
何か変だった。
この狂った奴を確かに前にどこかで見たようだが、どこで見たのか思い出せない。
どこで見ただろうか?
そのようにルーカスはしばらく原因不明の既視感に陥ったことが、彼にとって全く良くない結果をもたらした。
剣についた血を綺麗に拭き取った男が、血に濡れたハンカチを机の角に注意深く置いたかと思ったら、次の瞬間、いきなり長い足を上げてルーカスの腹部を蹴ったのだ。
お腹の中の臓器が逆流するような苦痛と共に、ルーカスはようやく自分が背を向けてしまった黒豹のような男をどこで見たのか悟ることになった。
苦痛の悲鳴とともに、ほぼ絶叫に近い断末魔が彼の口から噴き出す。
「うわぁ!お、お前はあの時の小僧・・・!」
「二度と顔を見せるなと言ったはずだけど。もう一度見せたらどうすると言ったっけ?」
しばらく静寂が流れる。
ルーカスが約3年前の悪夢を思い浮かべながら凍りついている間、もう子供とは言えない男は綺麗に輝く剣を片方の肩に乗せて、じっと彼を見下ろしていた。
ルーカスは何の感情も込めない真っ青な視線の下で体をすくめ、冷や汗が背筋を伝って流れるのを感じた。
肉食動物の前で本能的に凍りついてしまった草食動物のように。
「続けろって。どうしてギクシャクしてる?」
優しく吐き出す青年の顔は、ゾッとするほど落ち着いていた。
少し前まで活気に満ちていた賭博場の中は、今や中央聖堂の告解性事実に匹敵するほど厳粛でもの悲しい雰囲気に包まれている。
誰かが注意深く出した乾いた唾を飲み込む音だけが薄氷のような静寂の真ん中で微かに響いた。
エリアスは自分を見ないでほしいと思いながら、どうしようもなく揺れる瞳孔で自分の兄をぼんやりと眺める。
それに対して、そんな弟と真剣に向き合うジェレミーの瞳は霜よりも冷たかった。
「それを賭けようとしたんじゃないのか?よく見慣れた石弓だが」
「・・・あいつが兄貴に言ったのか?」
暴風前夜のような殺伐とした静寂がどれくらい流れただろうか。
エリアスが思わず吐き出した馬鹿極まりない質問に、ただ無表情な顔で見守っていたジェレミーがついに行動を開始した。
正確に言えば、何の警告もなく、いきなり手を上げて弟の頭を殴ったのだ。
騒がしい音とともにエリアスが椅子から落ちたことを合図に、あちこちから抑えられていた悲鳴が上がる。
踊り子たちは悲鳴を上げて飛び出し、残りの少年たちは素早く立ち上がり、中途半端に片方の壁に後退した。
頭蓋骨が陥没したのではないかと思うほどの苦痛に捕らえられたエリアスは、涙を少し絞り出して体を起こす。
いいや、起こそうとした。
こちらに近づいてきたジェレミーが、もう一度予告もなく彼を蹴らなければ成功していただろう。
その結果、エリアスは人間の言語で表現することも難しい激痛に襲われたまま床を転がることに。
半分開いた口から魂の抜けた呻き声が流れた。
「うゲェぇえぇっ」
「早く座れ。座らないと蹴る」
無茶苦茶な発言。
エリアスは、自分の兄がこのような言動不一致な面貌を見せる時が一番危険だという事実を非常によく認知していた。
このままでは、おそらく明日の朝登る太陽を見れないかもしれない。
半分ほど開いていたドアが突然押し出され、また別の誰かが入ってきたのはその時だった。
壁の方にぼんやりと退き、ただソワソワしていたレトゥラン皇子が頭を上げてどんな救援者が現れたのかという表情で周りを眺める。
続いて淡い青みがかった金色の瞳が驚愕によって皿ほどの大きさに広がった。
「ノラ兄さん?兄さんがどうしてそこから出てくるのですか?」
そのとんでもない質問にノラは答えない。
その代わりに、片隅に追い詰められている残りの3人の少年に向かって手振りした。
生きたければ早く消えろという意味だ。
3人の貴族の令息は、お尻に火がついたように先を争って門の方へ飛び出す。
レトゥラン皇子は自分も含まれているように中途半端に歩こうとしたが、やるならやってみろという従兄の悪鬼のような表情を見て、その場に大人しく留まってしまった。
ジェレミーが本気で怒っていますね。
レトゥランも留まり二人が残されることになりましたが、ジェレミーとノラはどうするつもりなのでしょうか?





