こんにちは、ピッコです。
「ある継母のメルヘン」を紹介させていただきます。
今回は97話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

鉄血の未亡人、ノイヴァンシュタイン城の魔女、貴婦人の恥……。
これらは全てシュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン侯爵夫人を指す言葉である。
夫を失くした後、世の中から後ろ指を差されながらも、姉弟ほどしか年の変わらない血のつながらない子供たちを育てあげた。
そしていよいよ長男ジェレミーの結婚式の日を迎え、今までのすべての苦労と努力が報われると思っていたが、それは大きな勘違いだった…!
結婚式に来るなと言われ、失意の中城を去り田舎へ向かう途中、彼女は事故に巻き込まれ命を失うことになり、気が付くと七年前の死んだ夫の葬儀の日に戻っていたのだ。
そして二度と以前のような後悔にまみれた人生は生きないと心に誓う!
シュリー:シュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン侯爵夫人。本作の主人公
ジェレミー:ノイヴァンシュタイン侯爵家長男
エリアス:ノイヴァンシュタイン侯爵家次男
レイチェル:ノイヴァンシュタイン侯爵家長女。レオンと双子。
レオン:ノイヴァンシュタイン侯爵家三男。レイチェルと双子。
ヨハネス:故ノイヴァンシュタイン侯爵
ノラ:ニュルンベル公爵家令息
テオバルト:第一皇太子
リシュリュー:枢機卿
レトゥラン:第二皇太子
ロベルト:ノイヴァンシュタイン侯爵家執事長
オハラ:ハインリッヒ公爵令嬢。ジェレミーの婚約者

97話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 世間知らずの皇子
ジェレミーは床を転がる弟から体を回して、テーブルに置かれた石弓を手に取る。
「説明しろ」
いざという時は、二人の少年を練習の的にするという不気味な口調だ。
苦痛に息を切らしていたエリアスと、世界の破滅でも目撃したような表情で中途半端に立っていたレトゥラン皇子は並んで涙ぐましい視線を交わした。
今更お互いの不注意を責めても同族愛残に過ぎないのは、いきなり乱入してテーブルをひっくり返した青年の一人はエリアスの兄であり、もう一人はレトゥランの従兄だったから。
先に口を開いたのは「レトゥラン皇子」だった。
彼は怯えていたが、そんな中、皇族としての自尊心は失わない決然とした声で口を開く。
「私の趣味生活について、いちいち卿たちに報告する必要はないでしょう・・・」
ドーンという大きな音とともに、石弓がテーブルの上に投げ出された。
勇敢に自分の立場を思い起こさせたレトゥランも、それに一抹の希望をかけていたエリアスも一斉に肩をすくめるようになったことは言うまでもない。
椅子一つを引いて座りテーブルの上に広がったベッティング表を興味深く覗いていたノラが口を開いたのはその時。
ノラはすぐにでも二人の少年を引き裂く勢いで睨んでいる親友の腕に手を上げ、この上なく落ち着いて、いや、寂しそうに言った。
「今、本人たちが置かれている状況についてきちんと認知できていないようだね。レトゥラン殿下、毎晩貴族の次男を集めて仲良くしている行為が謀反の疑いで追い込まれることもあるという事実、本当にご存じないのでしょうか?」
「謀反だなんて、そんな大げさな・・・」
「厳然たる皇太子が存在する中で、第二皇子がこのような秘密の集まりを行ったという事実を皇帝に告げた場合、どうなると思いますか?そんな事を考える脳もないのですか?」
極めて冷淡で侮辱的で現実的な指摘に、レトゥランの顔は一瞬で真っ青になる。
それはエリアスも同じだ。
一歩遅れて事態を把握したその呆れた姿に、ノラは短いため息をつく。
「今殿下にできる選択は、このまま皇居に知らせるか、それとも私によって爆発するかのどちらかです」
「そ、それは・・・」
「まず、どうしてこのような集まりを始めたのか説明してみましょうか」
懐柔というよりは脅迫に他ならないが、レトゥランは自分に洗濯の余地がないことを既に切実に悟っていた。
その上、相手は彼の従兄であるニュルンベルん公爵家。
皇室の人々の前で鷹を狩ってくるほど無造作な人間だという事実はさておき、皇子である彼さえも無闇に接することができる身分ではない。
しばらく躊躇った末、世間知らずの皇子は素直に口を開いた。
「私が何か悪い意図を抱いて始めたのではなく、彼らは私が引き入れたのです。だから・・・」
模範的なギルド長らしくギルド員の善処を求める切ない訴えに、エリアスはとても感服した表情を浮かべるが、両騎士はあまり感動した表情ではなかった。
ジェレミーがあらゆる面で眉をひそめている間、ノラはツンと舌打ちをする。
「今、友情ごっこをする状況に見えますか?」
「あ、いいえ。だから最初は単純に友達を作りたくて・・・。そのためには最近何が流行なのか知らなければならないと思って・・・」
「それで賭博場を覗かれたと」
「本当にしようとしたのではなく、ただ好奇心で何度か見物をしていたのですが・・・、そうしているうちに兄さんにバレたんですよ」
「・・・」
「ご存知のように、私は兄とあまり親しい間柄ではないが・・・、兄が母に話さないと言い、するなら安全な所でしろとここを紹介してくださったのです。だから、謀反を謀議したりするのとは全然反対なのです」
「第一皇子が、なぜ殿下に直接賭博場を紹介したかについて、何の疑いもなかったのですか?」
この極めて情けない口調の質問に、レトゥランはしばらく躊躇った末、突然千秋の恨みがこもった口調で答えた。
「どうせ私が何をしても無邪気な扱いだということは知っています。それで、どうせこうなったのなら、何か目立つ行為をしたかったのです」
「それでも王妃は殿下の主張を素直に信じると思ったのですか?」
「そ、そうじゃないけど・・・。ただ何というか恥ずかしいけど、何か試したい衝動だったみたいです」
ジェレミーは、今や非常に見苦しい表情でレトゥランを見ていた。
こんな馬鹿がいるのかという目つきをしているのはノラも同じだ。
「私には理解できませんが、テオバルト殿下ならその考えも予想していたのではないでしょうか?」
「・・・」
「それで試してみて駄目だったらどうするつもりだったのですか?ギルド員まで次々と捕まって謀反の疑いをかけられたら収拾はどうしようと思っていたのですか?」
「・・・」
「ここでこうやって遊んでいるからといって、誰かが殿下を気の毒に思って申し訳ないと思うのでしょうか?それを願って、こんな愚かな行為をしたのですか?一国の皇子という方が?」
冷酷極まりない従兄の催促に、レトゥランは何の反論もできなかった。
丸い目をピクピクしながら頭を下げる姿がとても哀れだ。
レトゥラン皇子も可哀想だと思いますが、一国の皇子がしていい行為ではないですよね。
それを計算していたテオバルトも悪質ですが・・・。





