こんにちは、ピッコです。
「ある継母のメルヘン」を紹介させていただきます。
今回は98話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

鉄血の未亡人、ノイヴァンシュタイン城の魔女、貴婦人の恥……。
これらは全てシュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン侯爵夫人を指す言葉である。
夫を失くした後、世の中から後ろ指を差されながらも、姉弟ほどしか年の変わらない血のつながらない子供たちを育てあげた。
そしていよいよ長男ジェレミーの結婚式の日を迎え、今までのすべての苦労と努力が報われると思っていたが、それは大きな勘違いだった…!
結婚式に来るなと言われ、失意の中城を去り田舎へ向かう途中、彼女は事故に巻き込まれ命を失うことになり、気が付くと七年前の死んだ夫の葬儀の日に戻っていたのだ。
そして二度と以前のような後悔にまみれた人生は生きないと心に誓う!
シュリー:シュリー・フォン・ノイヴァンシュタイン侯爵夫人。本作の主人公
ジェレミー:ノイヴァンシュタイン侯爵家長男
エリアス:ノイヴァンシュタイン侯爵家次男
レイチェル:ノイヴァンシュタイン侯爵家長女。レオンと双子。
レオン:ノイヴァンシュタイン侯爵家三男。レイチェルと双子。
ヨハネス:故ノイヴァンシュタイン侯爵
ノラ:ニュルンベル公爵家令息
テオバルト:第一皇太子
リシュリュー:枢機卿
レトゥラン:第二皇太子
ロベルト:ノイヴァンシュタイン侯爵家執事長
オハラ:ハインリッヒ公爵令嬢。ジェレミーの婚約者

98話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 真の四面楚歌
黙々と聞いていたジェレミーが突然話題を変える。
「お前のせいでシュリーが泣いた」
ノロノロと体を起こし、涙を流していたエリアスの顔が赤くなった。
「そ、それは・・・」
「それだけでも手加減が難しいのに、せっかくプレゼントされた石弓を賭博場に渡そうとするのか?」
「・・・どうせ、あいつに言っても意味がないだろ」
いっそ黙っていた方がよかったのに、エリアスは言い張ってしまう。
そして、それはあまり賢明な選択ではなかった。
サッと飛んできた金貨が額を見事に打ち負かす。
このままでは、本当に頭蓋骨が割れてしまうのではないかと思うほどだ。
「うわあ!どうせシュリーには兄貴さえいればいいじゃないか!兄貴もそう考えているんだろ!」
こいつは何を言っているんだ?
ジェレミーが呆れて気が抜けた顔で睨みつける中、エリアスは涙を流しながら悪に支えられたように叫び始める。
「正直、兄貴は本当にあいつを母親だと思っているのか!?違うだろ!兄貴が何のために誰とも付き合わないのか、どうして婚約の考えもしないのか、どんな目つきであいつを見つめているのか全部知っているんだ!み、みんなそう騒ぐんだよ!シュリーも兄貴じゃなかったら、3年前にあんな風に結婚を破棄しようとしなかったはずだ!俺なんか重要じゃない!あいつが俺に興味がないという事実はよく知っている!」
しばらく静寂があった。
レトゥラン皇子は一体何を言っているのか見当がつかないという戸惑った表情で二人の兄弟を交互に見ている。
一方、ノラは内心を掴み所のない無表情な目で友人をじっと見つめた。
ジェレミーは一瞬凍りつき、続いて徐々に内側から湧き上がる激しい炎に気がつく。
今エリアスが喋った音が鋭いヤイバのように彼の胸の片隅を掘り下げたが、同時にさらに大きな怒りがそれを全て覆ってしまった。
誰が何と騒いでも、シュリーは彼にとって「お母さん」だった。
3年前にそのように受け入れると決心した瞬間から、彼は一度も無駄な考えをしたことがない。
いや、抱かないように頑張ってきた・・・。
自分の未来を守るために彼女が何を犠牲にしようとしたのかを理解していたので、その純粋な愛情に報いるためには同じように純粋な心を抱くのが正しいということを、ジェレミーはとてもよく理解していたからだ。
ところが、この愚かな弟は、あえてその聖域に触れてきたのだ。
「エリアス、お前の目にはそんな風にしか見えないのか?」
「お、俺は・・・」
「お前が俺たちの中で最も愚かだという事実はいつも知っていたが、何とか俺たちを攻撃したいと思う馬鹿たちが騒ぐ言葉をそのまま受け入れるほど愚かだとは思っていなかった。シュリーが幼い頃に我が家に売られてくるように嫁いで今までどんな気持ちで耐えてきたのか、お前は一度でも真剣に考えたことがあるのか?」
「・・・」
「このろくでなしめ、一体何を考えていたのかと思ったら、そんな妄想してしていなかったのか?それで、一人で妄想している途中、俺たちに過分極まりない母親に八つ当たりをしたと?むしろ俺のところに来て問い詰めればよかったのに、え?」
噛み砕くジェレミーの声は、燃える暗緑色の瞳とは対照的に冷気が流れていた。
四方をギュッと押す圧倒的な殺気に、エリアスの口から自ずとしゃっくりが漏れる。
そうではないと言おうとしたが、事実かどうかだけを考えれば、そのようなことだったので何とも言えない。
自分が悪いことをしたことはあまりないと思っていたが、今考えると確かに恐ろしい過ちを犯したような気がするのだった。
「お、俺は・・・」
「エリアス、お前はこれで三つも線を超えてしまった。一つは賭博に足を踏み入れたこと、一つは母親から貰った贈り物を売ろうとしたこと、そして最後の一つは他人が母親を侮辱する声に耳を傾けたこと」
「・・・」
「今回の件に関して、何か適切な理由を挙げてみろ」
今度こそ真の四面楚歌に陥ったエリアスの切迫した視線がレトゥランに向かう。
しかし、彼もこれといった助けになる立場ではなかった。
助けどころか、気後れした目で従兄の恐ろしい表情をチラッと見ている姿が、自分と同じように思えてしまうほどだ。
エリアスの言葉は、ジェレミーの逆鱗に触れてしまったようです。
実際にジェレミーがシュリーのことをどう思っているのか垣間見えた気がしますね。
ノラはどう思っているのでしょうか?





