こんにちは、ピッコです。
「メイドとして生き残ります」を紹介させていただきます。
今回は105話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

ラーメンを作っていたはずが、気がつくと読んでいた小説の脇役メイドになっていた!
国王は美しい魔性の男「ユルーゲル」に夢中で、王妃を冷遇しており、小説では病気で亡くなるまでそれが続いていた。
王妃付きの平凡なメイドの私が細く長く生き残ることができるの!?
アス・トケイン:主人公。ラーメンを作っている途中で異世界のメイドに。王子の乳母になる。
ミカエル:王子。
ユルーゲル:王に愛される若くて美しい男。
エバンス:若くて強い王。
ミナ:アスのルームメイト。
アレックス・ミュヒート:王妃が里から連れてきた護衛騎士。
ミオ・ゾディアック:幼い王子の護衛騎士。
スサ:メイド長。
セヤ・リョーミン:男爵。アスの家庭教師。スサの従姉妹。
クライン・カペラ:王の親友。国が誇る最強の武将。
シエル:大魔法使い。
セサール・カジック:伯爵。

105話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 異邦人の感覚
足が痛い。
誰かが私を引っ張っている。
誰?
ようやく曇っていた頭に空気が入ってきたような気がした。
「アス、アス」
声の主はクライン。
彼はそれ以上私が歩けないように、私を後ろから抱きしめて静止していた。
「伯爵様・・・、いいえ、公爵様」
「アス、怪我をしています」
怪我?
何が?
私のメンタル?
自尊心?
心?
クランは私を「アス」と呼び続けた。
喘いでいた体を後ろから締め付けられるように抱きしめられて、私は次第に落ち着いていった。
足が痛むのが感じられる。
走っている途中、ある瞬間、靴を両方脱ぎ捨てたような気がした。
木の枝や石のようなものを踏んだのか、足がとても痛い、
不思議だね。
心の怪我はすぐ分かるのに、どうして怪我をしたのか確認するまでは痛いことも気づかないのだから。
「足が痛いで___」
話が終わる前に、クラインが私をお姫様抱っこする。
裏返ったドレスの裾から乱れた自分の足が見えた。
疲れていなかったら、クラインに降ろしてほしいと言ったはず・・・。
だけど、このままでいたいから、彼を抱きしめた。
「リョミン男爵と何があったのですか?」
「・・・お酒が飲みたいです」
「アス」
「本当です。お酒が飲みたいのです」
クラインがため息をつく。
言い訳ではなく、本当にお酒が飲みたい。
「持ってきますね」
「ありがとうございます、公爵様」
それでもクラインは、私が月を取ってきて欲しいと頼めば、月を取りに行くための旅にも行ってくれる人だった。
たとえ私を先に水から救い出さないとしても、彼なら私が望む全てのものを与えてくれるだろう。
誰かと絶えず話をしたい日なのに、誰とも話したくない日だった。
時々、自分が何を望んでいるのか分からない時がある。
今のように誰かがそばにいないと寂しい時もあれば、誰かがそばにいると辛い日もある。
ユルーゲルの別荘には今まで一度も登ったことのない、屋上に行く階段があった。
別荘のドアを開けてすぐに、私はクラインの目の前で階段を上った。
明日になれば、私は再び平気な顔をするだろうが、この夜だけはそうするわけにはいかない。
膝を抱えて、そこに頭を埋める。
真っ暗だ。
このまま夜が明けないでほしい。
セヤ卿が王妃を気に入ってくれて良かった。
王妃が孤独で不幸な時も、彼女を愛する人がいたのだから。
だから幸いだ。
幸いだと思いながらも、とても寂しくて胸が痛い。
私の世界にも私を愛する人がいなかったのに、この世界で私を愛する人がいることを願うのは厚かましいことだけれど。
「アス」
うずくまっていると、まったく期待していなかった声が私を呼んだ。
「・・・ミオ卿」
「クラインがくれた」
酒瓶を二本持ったミオ卿が、屋上によじ登ってきた。
「君を慰めてくれと言われたが、何か問題でもあったのか?」
「問題・・・。問題というのであれば、私がここで息をしているのが問題というか」
「自虐とは、お前らしくないと思うが」
「私らしい」って何?
これは自虐のようなものではない。
首を上げて左の手首に巻かれた黒いリボンに触れる。
私が自分の世界ではなく、この世界でアス・トケインという名前でいること自体が根本的な問題なのだから、絶対に自虐ではなかった。
ミオ卿は、私の前に酒瓶を置いて、その前に座る。
「話してみろ。そうすれば癒されるはずだ」
「カペラ公爵様がそう言ったのですか?慰めてあげろって?」
「お前を一人にしないでほしいと言われた」
「そんな公爵様は、なぜ来なかったのでしょうか?」
ミオ卿は私に酒を一本渡して、もう一本を口に咥えた。
「今は自分の顔をあまり見たくないだろうと仰っていた」
クラインはかなり早く気づいたのだろう。
決して、クラインの顔を見たくなかったわけではない。
今この瞬間、私も、アス・トケインも知らない人と一緒にいたかっただけ。
天気はどうですか?
月が明るいですよね?
この家はどうですか?
ただこんな話をして、今を忘れたかっただけ。
どうせ夜が明けたら、私たちは慌ただしい現実に戻るのだから。
「サムさんと別れたんですが、これがソムだったのかどうかも分かりません」
「アス」
「はい」
「サムって?」
私は酒瓶をそのまま咥えて飲んだ。
ワインのように甘くてほろ苦い。
甘いくせに度数は高そうだった。
酔いつぶれてから一気に飲みやすいお酒。
「異邦人になった感覚が分かりますか?ミオ卿?」
「知ってるさ。多くの人が、自分一人の弱者だと感じているわけではない」
違う。
あなたは知らない。
私が何を言っても聞き取れる人のいない感覚。
私の言語とあなたの言語が違う感覚を、あなたは知らない。
対話するために私の言語ではなく、他人の言語をずっと考えて話していかなければならない感覚が、異邦人の感覚だ。
この世界に「サム」という単語を理解する人はいない。
決してセヤ卿に振られたわけではないのですが、彼が王妃を好きなのは明白。
この世界に順応し始めた頃に、それに気づくのは苦しいですよね・・・。
アスが話す「サム」という言葉はちょっと解読できませんでしたm(_ _)m
ですので、元の世界の単語と捉えていただければ幸いです♪





