こんにちは、ピッコです。
「メイドとして生き残ります」を紹介させていただきます。
今回は106話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

ラーメンを作っていたはずが、気がつくと読んでいた小説の脇役メイドになっていた!
国王は美しい魔性の男「ユルーゲル」に夢中で、王妃を冷遇しており、小説では病気で亡くなるまでそれが続いていた。
王妃付きの平凡なメイドの私が細く長く生き残ることができるの!?
アス・トケイン:主人公。ラーメンを作っている途中で異世界のメイドに。王子の乳母になる。
ミカエル:王子。
ユルーゲル:王に愛される若くて美しい男。
エバンス:若くて強い王。
ミナ:アスのルームメイト。
アレックス・ミュヒート:王妃が里から連れてきた護衛騎士。
ミオ・ゾディアック:幼い王子の護衛騎士。
スサ:メイド長。
セヤ・リョーミン:男爵。アスの家庭教師。スサの従姉妹。
クライン・カペラ:王の親友。国が誇る最強の武将。
シエル:大魔法使い。
セサール・カジック:伯爵。

106話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 手首のリボン
私はもう一口飲んだ。
クラインが手に入れたお酒だからだろうか、決して安くない味。
「多分、振られたんだと思います」
「違うと思うが」
「振られたんです、セヤ卿に。失恋しちゃいました」
お酒を飲もうとしていたミオ卿の手が止まる。
「・・・君は彼を愛していないだろう?」
「好きだったんですよ。いつでも最善を尽くすと言ったでしょう?」
ミオ卿の言葉に少しドギマギしたが、私は本当にセヤが大好きだった。
この無礼な世界には中々馴染めなかったし、私がこの世界を彷徨う異邦人だと感じていたときに、彼は私の手首にリボンを結んで、この世界に適応させてくれたのだから。
セヤがいたからこそ私は現実に足を踏み入れることができた。
(クラインが私の聖書なら、セヤは私の灯台だった)
それが愛かどうか分からないが、彼は私にとって唯一の人。
「恋って、何でしょうか?」
「それを私に聞いているのか?」
「ミオ卿は、まだ愛していますか?」
ミオ卿は黙って酒瓶を振る。
リボンを括った手首を掴む。
「アス、前にも言ったが君の服に、そのリボンは似合わない」
「分かっています」
今すぐにこのリボンを外してしまいたかったが、朝、目が覚めた時の恐怖に耐えきれそうになかったので、手をつけることができなかった。
このリボンがある前は毎朝目を開けて向き合うのが恐怖だった。
私は誰で、ここは何処って。
「もしも、ミオ卿」
望まない禁欲中だったミオ卿も、久しぶりに飲むお酒が嬉しいのか、私より飲む速度がずっと速い。
「私と他の人が水に落ちたら、どちらを助けますか?」
「私たちは運命共同体だ。君が溺れたら、私は真っ先に君を救う」
意外にも、彼は大した悩みもなく答えた。
彼が比較しなければならない他人が、クラインと違って本当に他人だから答えられるのだろう。
質問の難易度を高めてみた。
「王子様と私だったら?」
「当然、王子様を救わなければならない。私の任務なのだから」
「やっぱりそうですよね」
「しかし、君は王子様の乳母だから一緒にいる可能性が大きい。私は出来るだけ二人とも手に入れようとするだろう。王子様を君が抱いているはずだから、君の懐から王子様だけを奪っていくことはしない。その答えではダメだろうか?」
ミオ卿の言葉はクラインの言葉とほとんど違わないのに、なぜか慰めになった。
「王子様が羨ましいです。みんな、王子様を愛していますから」
私も私を愛してくれる人がいたら良かったのに。
私の世界を変えるほど愛せる人が、私が自分の全ての世界だと言ってほしい。
それなら私も・・・。
「みんな?誰のことだ?」
「そうですね。まずミオ卿とシエルとセヤ卿と。その他にももっといるでしょう」
「私は王子様を愛しているわけではない。任務だ」
「はいはい」
酒瓶がほとんど空っぽになっている。
「アス」
そろそろ酔いそうな瞬間に、ミオ卿が私を呼んだ。
私はある程度笑えるようになっていた。
振り返ると、彼は私に手を差し出している。
ほんの数時間前に、私にダンスを求めていた「セヤ」のような姿で。
笑顔を浮かべながら、ミオ卿の手の上に自分の手を乗せる。
彼は手首のリボンをゆっくりと解いた。
「あ、そ・・・」
れを解けば、また毎朝恐怖と向き合うことになるんだけど。
果てしなく地面に墜落する感じとともに目を開けなければならないのに・・・。
私には、もうその絶望に耐えることはできないだろう。
ミオ卿は私が止める間もなくリボンを私の手首から外す。
リボンが手首を抜ける瞬間は、まるでナイフで手首を切るような感覚。
久しぶりに風に触れた肌がヒヤリとした。
ミオ卿は解き放ったリボンを床に放り投げるように下ろして、胸から何かを取り出した。
「これは何ですか?」
「こんな見苦しいリボンよりかは、ましな物だ」
箱を開けてみると、少し雑だが、綺麗な腕輪が出てきた。
それは記憶にある物。
数ヶ月前、クラインが王城に戻ってきた時だった。
ミオ卿と夜市に行った時、彼が買った腕輪。
ユルーゲルに伝えられなかった恋心で買ったと思ったのに・・・。
「これ・・・、ずいぶん前に買ったものじゃないですか」
「あの時、君にあげようと買ったんだ。あのリボンは見栄えが悪かったからな」
「・・・どうして今くれるのですか?」
「君以外はみんな、あのリボンがイマイチだと言っていたが、君は気に入っていたじゃないか」
「王妃宮は全焼したのに、どうしてこれは無事なのですか?」
「いつも持っていたから」
私は箱を閉じて、ミオ卿に返した。
「気に食わなかったか?」
私は酒瓶を下ろして、笑顔を浮かべて手を差し出す。
「ミオ卿がつけてください」
風が手首に冷たく巻かれていた。
その手首からは、さらに冷たい金属が落ちてくる。
ブレスレットは箱の中にあった時より、私の手首に巻かれた時の方がずっと見栄えが良くて、綺麗だった。
・・・最高です。
ミオ卿が好きな相手がアスであってほしいと思うのは私だけでしょうか?
まさか、前回ミオ卿が購入した腕輪がここで登場するなんて予想外です。
そろそろミオ卿の心情も知りたいところですね♪





