こんにちは、ピッコです。
「メイドとして生き残ります」を紹介させていただきます。
今回は149話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

ラーメンを作っていたはずが、気がつくと読んでいた小説の脇役メイドになっていた!
国王は美しい魔性の男「ユルーゲル」に夢中で、王妃を冷遇しており、小説では病気で亡くなるまでそれが続いていた。
王妃付きの平凡なメイドの私が細く長く生き残ることができるの!?
アス・トケイン:主人公。ラーメンを作っている途中で異世界のメイドに。王子の乳母になる。
ミカエル:王子。
ユルーゲル:王に愛される若くて美しい男。
エバンス:若くて強い王。
ミナ:アスのルームメイト。
アレックス・ミュヒート:王妃が里から連れてきた護衛騎士。
ミオ・ゾディアック:幼い王子の護衛騎士。
スサ:メイド長。
セヤ・リョーミン:男爵。アスの家庭教師。スサの従姉妹。
クライン・カペラ:王の親友。国が誇る最強の武将。
シエル:大魔法使い。
セサール・カジック:伯爵。

149話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 変わらない物語
「伯爵様、愛し愛される価値は出生で決まるものではありません。伯爵様は伯爵様の出生を恥ずかしがりますが、私はそんな伯爵様も好きでした。自信を持ってください」
その瞬間、少し、いや、すごく変な気分になった。
錆びれて荒れた歯車が合わさったような。
そしてセサールの表情は恐ろしく歪んだ。
「あえて、貴様が。貴様なんかが私に!」
日本の仮面のように歪んだ顔で彼は杖を取り直した。
しかし、彼はよろめきながら、超人的な忍耐で私を杖で叩きつけたい衝動に耐える。
「消えろ!私の目の前から消えろ、アストリッド!」
近くに行って手をかざすと火傷しそうな怒りだった。
力が入り、白くなった手の中から杖が跳ね返る。
数歩離れたところまで飛んで行った杖の軌跡を反射的に目が追いかけた。
セサールが杖を拾おうと一歩を踏み出す。
その瞬間、彼の体は酷く転がった。
私は驚いて彼を見たが、彼はより形式的な目で私に怒りをぶちまける。
「私を見下ろすな!」
その時になってようやく、私はセサールの杖が小道具ではないことを知った。
彼は杖なしでは歩けない人だったのだ。
私はセサールに同情したりしない。
けれど、私のせいで酷く怒って倒れた彼を置き去りにすることはできなかった。
杖を拾おうとしたが、彼はまた叫んだ。
「今すぐ、消えろ!」
そして彼は片手で胸を掴み、不規則に息を切らした。
このまま私が目の前にいたら倒れそうだったので、彼を見ながらゆっくり後退りする。
振り向くと彼が歯軋りをする音が聞こえるようだった。
浅い茂みをかき分けて通り過ぎると、目の前に嘘のように、薄く笑うユルーゲルの姿が。
「私は本当に君が好きだよ」
胸がひんやりする。
ユルーゲルは、私を追いかけてきたのだろうか?
私の話を聞いていたのかな?
セサールとの対話だったので、特別なことがあるはずがないが、念のため対話を反芻してみた。
特別なこともなく、変なこともない。
でもユルーゲルは、いつもの笑顔と比べて考えてみてもハッキリ明るく笑っていた。
「アス、ありがとう。君のおかげだ」
ユルーゲルはその言葉を残して勝利者のように笑いながら私のそばを通り過ぎる。
変な感じがした。
さっき私がセサールに話しかけた時みたいに変な・・・。
『人が愛し愛される価値は出生で決まるものではありません。だから、カジック伯爵は自分の出生を恥じる必要はありません。私はただ伯爵が好きなだけです。だから自分を信じてください』
頭の中に誰かが文字を刻むように<脱出記>の文章が浮かんだ。
私は息を呑むような気分でユルーゲルの後ろ姿を見る。
床に座り込んだセサールにユルーゲルが日差しのような笑みと共に手を差し伸べていた。
何かが喉に引っかかったような感覚で、何も言えない。
息が詰まり始めた。
ユルーゲルが口を開いた瞬間、私は振り向いて走り出す。
見て、聞いていられなかった。
私はあまり走り出せずに立ち止まった。
喉の先まで満たされた息が口の外に荒々しく吐き出されるが、まだ喉にかかった言葉は出てこない。
息を整えていると頭の上に薄い影が生まれる。
顔を上げてみると、異形の王族が私の前に降りて翼を折っていた。
背が高く、手足が痩せて関節が目立つ姿だったが、不思議なことに以前のように怖くない。
あの時はこの世にいてはならないものを見ているように不吉で恐ろしかったが、今は少し変に見えるが、それほど不吉でも怖くもなかった。
「こんにちは」
彼は私に挨拶さえしてくる。
黒板を掻くような甲高い声ではあったが、それほど気になることはない。
その声を聞くと激昂していた感情が変なほど沈み始めた。
「こんにちは」
私が挨拶をすると、異形の王族は私を見て笑う。
確かにこの前はそれさえも怯えるほど怖かったが、今は大丈夫だった。
この状態がおかしいと思えるほどに大丈夫だった。
「この前、私に会ったことを覚えていますか?」
彼は笑いながら頷いて、折っていた翼を再び広げる。
彼の背丈にふさわしく、先端が金色に輝く白い翼。
彼が翼を軽く何度か撫でると、柔らかい風が私の顔をくすぐった。
「あの時、私に何か言っていましたが、何を言おうとしたのですか?」
風がだんだん強くなる。
最初は瞬きしながら耐えたが、だんだん目を開けることも難しくなった。
強い羽ばたきの音だけが聞こえる。
そうするうちに、すぐ耳の横で掠れた声が囁くように言葉を残した。
「交換された異界の魂」
風が次第に私から遠ざかっていく。
どれくらい経ったのだろうか。
風が薄くなった時になって、私はようやく腕を下ろして空を見上げた。
異形の王族は私は走ってきたところに飛んでいた。
ユルーゲルの元へ。
ユルーゲルが解いた髪が私の背中の後ろに流れる。
乱れた髪を掃き下ろしながら、今は見えないユルーゲルとセサールの方を振り返った。
予定通り、ユルーゲルはセサールを陥落したのだろう。
セサールはこれからも憎しみで王妃を破滅させようとするだろう。
この物語の中で、私は本当に何もできないのだろうか。
アスが何をしても、物語の結末に変化はないのでしょうか?
異形の王族の言葉も不穏ですよね・・・。




