こんにちは、ピッコです。
「メイドとして生き残ります」を紹介させていただきます。
今回は162話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

ラーメンを作っていたはずが、気がつくと読んでいた小説の脇役メイドになっていた!
国王は美しい魔性の男「ユルーゲル」に夢中で、王妃を冷遇しており、小説では病気で亡くなるまでそれが続いていた。
王妃付きの平凡なメイドの私が細く長く生き残ることができるの!?
アス・トケイン:主人公。ラーメンを作っている途中で異世界のメイドに。王子の乳母になる。
ミカエル:王子。
ユルーゲル:王に愛される若くて美しい男。
エバンス:若くて強い王。
ミナ:アスのルームメイト。
アレックス・ミュヒート:王妃が里から連れてきた護衛騎士。
ミオ・ゾディアック:幼い王子の護衛騎士。
スサ:メイド長。
セヤ・リョーミン:男爵。アスの家庭教師。スサの従姉妹。
クライン・カペラ:王の親友。国が誇る最強の武将。
シエル:大魔法使い。
セサール・カジック:伯爵。

162話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ゆりかごの中
また寝て起きた時は、体がかなり軽くなっていた。
行き来していた悪寒も治まり、手足が冷えたり熱くもない。
そっと体を起こしたが、眩暈や怠さも感じなかった。
よく寝て起きたにしては軽すぎる。
私の自然回復力がこれほどのはずがないのだけど?
さっきミオ卿に反対したシエルが結局魔法をかけてくれたのかな?
シエルを探すために首を回すと、ゆりかごの前に立っている王妃を発見した。
黒く長い髪が垂れ下がっている。
ヒラヒラとした白いドレスが床にも長く垂れ下がっていて、まるでベールをかぶっているように感じられた。
クリスタルのように見えるイヤリングが日光で輝いている。
アンナはどこに行ったのだろうか。
王妃が来たのに私を起こしてくれなかったアンナはこの部屋にいない。
王妃と私、そしてゆりかごの中にいる王子だけ。
王妃が入ってきてアンナを退出させたのだろうか。
とにかく、私はソファから降りて王妃に近づく。
「王妃様」
王妃様は私の方を見ていない。
どうやって腰を下げて挨拶をすればいいのか悩んだ末、そのまま王妃を呼んだ。
彼女はゆりかごの欄下の上に手を当てて王子を見下ろすだけで、私の方を振り返らない。
答えはしなかったが、私の声は届いたはずだ。
あまりにも静かで太陽の光が地面に広がる音まで聞こえそうな日だった。
王子は今どんな表情で王妃を見ているのだろうか。
こっそり首を引いてみたが、王妃の白い肩に隠れて見えない。
「王子様、大きくなりましたよね?」
王妃が最後に王子に会ってから、かなり経った気がする。
メテオが落ちた日に王妃は王子と一緒にいたが、王妃はあえて王子を見ようとしなかったし、私もあえて王子を王妃の胸に抱かせようとしなかった。
王子が乳離れして以来、王妃が自発的に王子を見に来たのは今回が初めてのことだ。
「そうね、よく分からないわ」
見えないが王子は寝ているようだ。
起きていれば指や足の指をバタバタさせる音も出すはずなのに、ただ静かだった。
「抱いてみてもいいのですよ、王妃様」
寝起きで抱いてあたふたしている時なら、ぐずぐずせずにキャハハと笑う王子を信じて提案してみる。
「いいえ、大丈夫」
「残念ではありませんか?」
「大丈夫。私はただ・・・、私が産んだように思えなくて」
王妃はいつも幸せそうに見えなかったが、今は不幸そうにも見えない。
水に濡れた人のように沈んで少し憂鬱に見えたが、私が知っているとても普通の人のようだった。
きっかけさえあれば、もしかしたら笑うこともできるそんな人。
たまには王妃に彼女の望み通りに「そうです、王妃様が産んでいません」と言ってあげたい。
その一言で王妃が今のように苦しまないのなら。
しかし残念なことに、私は王妃が赤ちゃんを産む過程を見てしまった。
「大丈夫ですよ、王妃様。私の友達の中に幼い頃に赤ちゃんを産んだ友達がいますが、何年経っても自分が産んだように思えないと言っていましたから」
その言葉に王妃が初めて私の方を振り返る。
相変わらず青白い顔だ。
「それでどうなったの?」
「ただ今は人並みに豊かに暮らしています。普通に」
「そうなんだ・・・」
王妃が永遠に王子に情を結ばない可能性もあるだろう。
それとも私の友達のように日常が混ざって時間が加わって情が生まれることもあるかもしれない。
そのすべては王妃の選択であり、王妃の選択でもない。
私は王妃が強要のように感じないように気を付けながらもう一度勧めた。
「王子様を一度抱きしめてみてください。赤ちゃんの匂いはすごく暖かくて、赤ちゃんにしか感じられない匂いがするんですよ」
王妃は動かなかった。
だからといって私の言葉を断ったり、席を離れる気配もなかったので、私も勇気を出して王妃とゆりかごの方に少し近づく。
王妃に王子を抱かせることができればいいし、そうでなくても王妃と王子が些細な接触でもあればいいと思ったからだ。
私が近づくと王妃は黒い瞳で私の方を振り返った。
私は彼女の肩越しにゆりかごを見る。
ゆりかごはがらんとしていた。
これはアスの夢?
それにしては現実感のある夢のような気が・・・。







