こんにちは、ピッコです。
「メイドとして生き残ります」を紹介させていただきます。
今回は32話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

ラーメンを作っていたはずが、気がつくと読んでいた小説の脇役メイドになっていた!
国王は美しい魔性の男「ユルーゲル」に夢中で、王妃を冷遇しており、小説では病気で亡くなるまでそれが続いていた。
王妃付きの平凡なメイドの私が細く長く生き残ることができるの!?
アス・トケイン:主人公。ラーメンを作っている途中で異世界のメイドに。王子の乳母になる。
ミカエル:王子。
ユルーゲル:王に愛される若くて美しい男。
エバンス:若くて強い王。
ミナ:アスのルームメイト。
アレックス・ミュヒート:王妃が里から連れてきた護衛騎士。
ミオ・ゾディアック:幼い王子の護衛騎士。
スサ:メイド長。
セヤ・リョーミン:男爵。アスの家庭教師。スサの従姉妹。
クライン・カペラ:王の親友。国が誇る最強の武将。
シエル:大魔法使い。
セサル・カジック:伯爵。

32話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 私の名前は?
シエルは震える手で顔を隠し、何かをぶつぶつ呟いている。
何を言っているか分からないけれど、すごく調子が悪く見える。
道であんな人に会ったら、絶対に視線を合わさずに迂回する。
気づけば彼は呟くのを止めて、私の方をぼうっと見つめている。
「名前を教えてもらえますか?」
もちろん、私は彼の名前を知っている。
知ってはいるが、彼から直接教えてもらったわけではない。
「私の名前はシエル・カッパーフィールドです。今回のことは本当に申し訳なく思います。しかし、私は今ちょっと体の具合が悪くて・・・。後で必ず補償します」
彼は言葉巧みに話す人だった。
青白い顔をした彼は、そのまま逃げるように再び図書館を抜け出した。
「私の名前を知らないくせに補償?」
図書館に「黒い髪の毛の侍女を探しています」という張り紙でも掲示するつもりなのだろうか?
その条件であれば、百人くらい訪ねてくるよ。
限られた時間よりずっと多くの時間を使ってしまった。
急いで王妃宮に戻る。
エリーは泣いている王子を抱きしめながら私を歓迎する。
手が焼けるのかな?
抱いてあげている時間は私よりエリーの方が多いはずなのだが、最近は特に私だけを探してくる。
王子は体重が増えたので、抱けばあちこち痛くなる。
まだ100日も経っていないのに、このまま一歳になる事を考えると恐ろしい・・・。
- カジック伯爵夫人
次の日も私は図書館に向かった。
シエル・カッパーフィールドは私に名前を残したが、私の名前は知らないから。
しかし、その日彼を見つけることは出来なかった。
それから何日間も図書館に出入りしたが、シエルの痕跡は見つからなかった。
司書にも聞いてみるが、「よく分からない」という答えだけ。
きっと王宮の中にいるのだろう。
大魔法使いは王宮の中でユルーゲルに出会ったのだから。
その部分をよく読んでおけばよかったなぁ・・・。
私は怒りを込めて、王子の足を伸び伸びした。
遊んでくれていることを知ってか、王子は気持ちよさそうに聞こえる声を出す。
私の人生は全てが悲しすぎて、今はこんなことを聞いているのも悲しくなる。
「アス、どうしてそれをするの?」
「脚が長くなるんだって」
「根拠はあるの?」
「うーん、一応『脚長王子』のために全てを試した方がいいんじゃないかな?」
その後も、私はアンナの疑問に答え続けた。
コンコン。
ノック音が聞こえて、ドアが開いた。
「カジック伯爵夫人がお見えになりました」
今日訪問が予定されている人はユルーゲルだけ。
それなのに、こうやって前触れもなく訪ねてきていいのだろうか?
アンナとエリーはすでに後ろに下がって頭を下げていたので、私もゆりかごのそばに半歩下がった。
「王子様のお顔を見に来ただけです。すぐに帰りますので」
艶やかな栗色の髪を結った女性。
とても優しそうな印象だが、この女性も水に濡れた花のように、あまり幸せそうな印象はない。
カジック伯爵夫人は王子をじっと見つめて、「どちらにも似てないですね」と話す。
この人は誰も言っていないことを、こんな奇襲的に言うなんて。
国王と王妃ともに黒髪に黒い目をしているが、王子は金髪に琥珀色の目をしている。
- ユルーゲルの訪問
「ユルーゲル様がいらっしゃいました」
声を聞くと、今日の担当はぺぺのようだ。
いつも綺麗なユルーゲルは、今日も綺麗。
部屋に入ってきた彼は伯爵夫人を見て首を傾げる。
ここはいつから王宮の話題のスポットになったのだろうか?
今回は、以前の王妃との対峙よりも早く、伯爵夫人がユルーゲルに挨拶した。
「お元気そうですね、ユルーゲル様。私はもう行きますね」
「私はお邪魔だったかもしれないね」
ユルーゲルは大人しい顔でそう言ったが、本心ではないことが明らかだった。
伯爵夫人が立ち去ろうとする背中に、ユルーゲルが話す。
「王子様もおばさんに会って嬉しかったでしょう。たくさん会いに来てください」
ここは私の職場だけど、誰かが見たらユルーゲルの宮殿だと思うでしょう。
彼女は何も言わずに部屋を立ち去る。
再び部屋は平和になったのに、何故かちょっと胸が痛い。
おばさんという事は、伯爵夫人は王妃の姉か妹なのだろうか?
王妃が赤ちゃんを産み、3ヶ月後になると実家の家族が訪ねてくる。
王妃の不幸で憂鬱そうな顔には、もしかしたら実家と疎遠な部分も影響があるのかもしれない。
「アス」
王子と指で遊んでいたユルーゲルが私を呼んで反射的に笑う。
「王子にミルクを飲ませてやりたいんだけど、大丈夫かな?」
「ついさっきミルクを飲んだばかりですので・・・」
「そうだね。じゃあ、次に来る時を楽しみにしているよ」
彼はそこまで出しゃばる人じゃなかったので納得してくれた。
もしかして、次はいつ来るか分からないユルーゲルのために王子を飢えさせなければいけないのか、それとも王子がミルクを飲む時間を大まかに教えなければいけないのか。
もう知らない。
この席にミオ卿がいないのが幸いなのか、残念なのか、私にも分からない。
彼ならユルーゲルの全ての瞬間が喜びであり、楽しみなのだろうが、彼は最近、新しい騎士の教育や、自分の訓練で忙しかった。




