こんにちは、ピッコです。
「メイドとして生き残ります」を紹介させていただきます。
今回は74話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

ラーメンを作っていたはずが、気がつくと読んでいた小説の脇役メイドになっていた!
国王は美しい魔性の男「ユルーゲル」に夢中で、王妃を冷遇しており、小説では病気で亡くなるまでそれが続いていた。
王妃付きの平凡なメイドの私が細く長く生き残ることができるの!?
アス・トケイン:主人公。ラーメンを作っている途中で異世界のメイドに。王子の乳母になる。
ミカエル:王子。
ユルーゲル:王に愛される若くて美しい男。
エバンス:若くて強い王。
ミナ:アスのルームメイト。
アレックス・ミュヒート:王妃が里から連れてきた護衛騎士。
ミオ・ゾディアック:幼い王子の護衛騎士。
スサ:メイド長。
セヤ・リョーミン:男爵。アスの家庭教師。スサの従姉妹。
クライン・カペラ:王の親友。国が誇る最強の武将。
シエル:大魔法使い。
セサール・カジック:伯爵。

74話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 欺瞞と嘘
クラインが話す言葉の中には、イディカ令嬢の話が多かった。
アス・トケインは付随的な部分であり、その物語の中に、アス・トケインが存在しないのは当然だと考えていた。
クラインが愛したのはイディカ・カジックだけなのだから。
もし彼がアス・トケインを好きだとしたら、それはクラインのレディーと過ごした時間に付随する存在として受ける好意だろうと。
実際、これは重要な問題ではない。
重要なことは別にある。
クラインが私を見るだけあって、私もクラインを見ていた。
万年筆を見せた時の苦々しかった彼の顔を今でも覚えている。
その時は、イディカ令嬢との思い出のせいだと思っていた。
けれど今の反応から察するに、彼はセサールを知っている。
まだ私に話していないことが多いのだろう。
これまで知っていることは、あまり重要ではないと考えていた。
自分の手に届かないことを知ろうとした所で、危なくなるだけなのだから知りたくもなかった。
もう少し問いただせば、辿り着いたはずなのに。
その考え方は今も変わっていない。
しかし、メテオが落ちてきた。
私は死ぬことができたのだ。
いいや違う。
「脱出記」が保障してくれたから死ななかったのだろう。
大怪我をしたまま生き続けていたかもしれない。
知らないということは、そういうことだ。
私に降り注ぐこと、抵抗できないことをそのまま迎えて、それによって始まったことを抱えて生きていかなければならないということ。
階段を上がった後、私は自分の部屋に入って、引き出しに入れておいた万年筆を取り出す。
「この万年筆は、セサール・カジック伯爵のものですか?」
「・・・はい、アス。それはセサール・カジック。彼の万年筆です」
思ったより驚くことはなかった。
「・・・アス。私はあなたに嘘をつきました」
クラインが苦しそうな表情で私に告げる。
「そんなことを考えないでください。伯爵様は私に嘘をついていません。強いて言うのなら欺瞞に近いものであり、嘘ではありません」
彼は少し妙な顔をする。
何か変なことを言ったのだろうか?
しかし、言葉は正しく使ったはず。
欺瞞と嘘は違うのだから。
「私を許すのですか?」
気分が急速に悪くなっていく。
この世界は私にとって不親切すぎる。
「脱出記」が私にとっての聖書だが、私には神がいなく、信じられる存在や真理は一つもなかった。
けれど、私にはクラインがいた。
私を傷つけないクラインがいたのだ。
この世界で私を傷つけない、おそらく唯一の人だと。
「今日じゃないと思います、伯爵様」
彼に小さくそう囁いた。
私の意思であろうとなかろうと、私は結局彼を許すことになるだろう。
けれど、それは今日ではない。
思ったよりも驚いていないが、頭の中の片隅は、誰かが雪の塊を投げて殴られたような状態だった。
彼の存在を定義し直さなければならない。
「自分勝手に」彼を「絶対的な保護者」と認識していたことを再確立すべきだ。
どこまで頼り、どこまで隠すのかを。
彼を私の庭のどこに立たせておくのかを考え直さなければならない。
・・・もう彼を信じてはいけない。
クラインが私に近寄ろうとする。
けれど、私の胸に抱かれていた王子が声を荒げた。
クラインが近づくのが嫌なようだ。
「私は怒っているわけではなく、伯爵様を許せないわけでもありません。ただ、今日ではないようです。申し訳ありませんが、お引き取りいただけますか?」
すると、クラインが私の前で片膝をつく。
その光景を見た瞬間に疲れた。
いや、そういうことじゃないのに。
しかし、彼は許してくれと哀願する代わりに、私に手を差し出した。
私は悩んだ末に、片方の手を差し出す。
「お願いがあったのですが、言い出せるほど愚かではありません。後ほどお目にかかって全て説明いたします。アス、それまでお元気で・・・」
私の爪の先にキスをして、彼はそのまま帰った。
ミカエル王子をベッドに置いて、窓枠の上に座る。
クラインに怒ったわけではなかったのに、彼に腹いせをしてしまった格好になった、
気分が悪く自分に失望し、プライドも傷ついただけ。
勝手に彼を信じてしまっていたのに。
この世界は、私にあまり優しくない。
状況は日々悪化しつつあり、私の耐久性はそろそろ底をつきそうだった。
この世界の私はあまりにも弱く、つまらない存在だから、悪意のない欺瞞と嘘でも危険に陥る場合がある。
「ミオ卿はユルーゲルを愛し、シエルはユルーゲルを愛し、クラインはイディカ・カジックを愛し・・・」
誰かを愛する男性は、私の人生の役に立たないだろう。
セヤはどうなのだろうか?
セヤは誰を愛しているのだろうか?
お金?
私もお金をたくさん愛しているのだが。
クラインが外に出るのが見えた。
彼は別荘から3歩歩いて、部屋の窓を見上げる。
私が見えているかな?
手を上げて彼に振って上げる。
私も自分が悪いという自覚はあったから。
ミカエル王子が、イルカのような声で私を呼ぶ。
思わず手を下ろして、王子を起こしに向かった。
最近、すごく手が焼けるのだ、この王子は。
机の上に万年筆が見える。
もともとは、セサール・カジックとクラインの関係を聞くつもりだった。
しかし、彼の立場を以前と同じにしてはいけないので、質問の内容や方式も変えなければいけない。
自分の人生のゲームステージの「赤信号」は消えていない。
この選択が正しかったのだろうか?
それは、今の私には分からないことだ。
クラインの心境を知っている立場からすると、彼がアスを裏切ることはないと思っています。
しかし、アスの今の状況で誰かを心から信じることは難しいでしょうね。
メテオの一件で、アスの精神はかなり消耗していると思います。
そんな状況でのセサール・カジックの発言は大きかったのでしょう・・・。
アスが心から信頼できる人物が見つかることを願っています。




