こんにちは、ピッコです。
「メイドとして生き残ります」を紹介させていただきます。
今回は80話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

ラーメンを作っていたはずが、気がつくと読んでいた小説の脇役メイドになっていた!
国王は美しい魔性の男「ユルーゲル」に夢中で、王妃を冷遇しており、小説では病気で亡くなるまでそれが続いていた。
王妃付きの平凡なメイドの私が細く長く生き残ることができるの!?
アス・トケイン:主人公。ラーメンを作っている途中で異世界のメイドに。王子の乳母になる。
ミカエル:王子。
ユルーゲル:王に愛される若くて美しい男。
エバンス:若くて強い王。
ミナ:アスのルームメイト。
アレックス・ミュヒート:王妃が里から連れてきた護衛騎士。
ミオ・ゾディアック:幼い王子の護衛騎士。
スサ:メイド長。
セヤ・リョーミン:男爵。アスの家庭教師。スサの従姉妹。
クライン・カペラ:王の親友。国が誇る最強の武将。
シエル:大魔法使い。
セサール・カジック:伯爵。

80話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- アスの手作りお菓子
今度のパーティーには王妃も出席する。
本来ならすべての儀典に参加しなかったはずの王妃が何度か王宮の行事に参加するものがあるが、その僅かなものの一つが今回の凱旋式。
王妃というと、しばらく忘れていたことを思い出す。
王子と楽しそうに過ごしているシエルには申し訳ないが、私は数日間、決意していた質問を投げかけた。
「魔法使いさん、ユルーゲル様の宮は魔法使いさんが修復してくれたんですよね?」
シエルは私の質問にうなずいた。
本当だったんだ・・・。
「ユルーゲル様の宮より王妃宮の復旧の方が急を要するのではないでしょうか?」
ユルーゲルの別荘に移ってから、私の部屋と王子の部屋は合併した。
そんな訳でアンナも頻繁に入ってくるようになり、どうしてもここにベッド二つを置けなくなったのだ。
シエルの返事如何によっては、彼には部屋の床で寝てもらうことになるかもしれない。
「私も本当はそうしたかったのですが・・・。私が大魔法使いだとしても、人の魂を扱うことは極めて慎重にならなければなりません。王妃宮では死傷者が出ましたので、その部分を触るのが極めて困難なのです。理解できますか?」
「そんな・・・」
それを理解できれば、私は今ここで侍女の仕事をしていない。
「復旧魔法は建物の時間を被害を受ける前に戻す魔法です。当時の建物の空気成分まで復元する魔法なので、非常に繊細な作業なのです。王妃宮の場合、死傷者が出て霊魂の状態と濃度が変化したので少しだけミスをしても、霊魂の魂が建物の中に閉じ込められてしまうことがあります。それは人としてできない事です」
ヒィっ!
それは地縛霊ってこと!?
自分だけが知らない常識なのか、ミオ卿も腕を組んでうなずいていた。
「大魔法使いなのに、それができないのですか?」
「そのすべてが可能ならば、私は大魔法使いではなく、神ではないでしょうか?ほぼ同じようなものですが・・・」
シエルは自分が神様に似ていると言う。
ミオ卿は今回もそれなりに真剣にうなずいた。
どの部分でもシエルの言葉が正しいようだ。
どの部分が合っているのか考えたくない。
とりあえず、王妃宮が復旧するには時間がかなりかかるようだ。
「それじゃあ、王妃宮は土台から一つ一つ建てなければならないのですか?」
「アスさん、私は繊細な作業だと申し上げたはずです。そのために何日か入ることも出来なかったのです。王妃宮には魔法陣があって、どんな働きがあるか分かりません」
シエルが頭が痛そうに首を振る。
初めてここに来た時よりも顔色の状態は良くなったが、相変わらず疲れて見える。
一体どれだけ働き続けているのだろうか?
「お腹は空いていないのですか?」
「胃腸に魔力を満たしておいたので、今は大丈夫です」
「・・・それは大丈夫なのですか?」
「もちろんです。私の魔力が持ち堪えている間は、食べなくても死にません」
シエルは笑っているが、私の耳には「死にはしない」という言葉にしか聞こえない。
「ちょっと待っててください、魔法使いさん。何か作ってきます」
「ちょっと待て、アス。君が料理をするって?」
ミオ卿がとても不振そうに尋ねた。
全てのことができる教育を目標に、侍女教育をする王妃宮も、キッチンの仕事だけは外注にしていたのだから、不安なのかもしれない。
けれど、私は自分の世界にいる時に簡単なおかずとおやつくらいは作っていた。
「できます。小麦粉と果物のようなものが少し残っていましたので」
「わざわざ作ってくださらなくても大丈夫ですよ?」
じゃあ止めようか?
しかし、口ではそう言いながらも、シエルは台所へ行く私を積極的に止めなかった。
お腹が空いているのだろう。
今できるのはスコーンぐらいだった。
形は少し難解になったが、食べる分には支障がないと感じる。
ベッドに横になって王子と遊んでいたシエルが光の速度で立ち上がった。
割れたスコーンを手にして、彼は照れ臭そうに笑う。
「私に食べ物を作ってくれた人はアスさんが初めてです」
「魔塔では何を食べて生きていたのですか?」
「共用食堂はありましたが、私だけのために作られた食べ物はこれが初めてですから。ミオ卿は?一つくらいは譲歩しますよ」
ミオ卿は何かを呟きながら、スコーンを手にした。
そして、スコーンを一口ずつ齧った二人の表情がおかしくなる。
どうしたのだろうか?
「あの、アスさん。スコーンは元々何かをつけて食べるものじゃないですか?」
「ジャムがありません」
「そうですか・・・」
シエルとミオ卿が無口になる。
ミオ卿がスコーンを素早く食べて、手を振った。
すると、すぐにシエルが立ち上がろうとするミオ卿の手首をグッと掴む。
二人はそのまましばらく睨み合いを続けて、ミオ卿が座り直して、二つ目のスコーンを手にした。
「不味いですか?」
「いいえ、アスさん。美味しいですよ」
シエルの魔法が万能過ぎます!
建物の時間を巻き戻すなんて・・・。
もしかしたら、人の魂も元に戻せるのではないでしょうか?
けれど、流石にそれは人理に反していますので、本人もする気はないでしょう。
そして、アスの手作りお菓子!
料理上手の設定なのかと思ったら、シエルとミオ卿の反応で何となく想像はつきました(笑)




