こんにちは、ピッコです。
「メイドとして生き残ります」を紹介させていただきます。
今回は84話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

ラーメンを作っていたはずが、気がつくと読んでいた小説の脇役メイドになっていた!
国王は美しい魔性の男「ユルーゲル」に夢中で、王妃を冷遇しており、小説では病気で亡くなるまでそれが続いていた。
王妃付きの平凡なメイドの私が細く長く生き残ることができるの!?
アス・トケイン:主人公。ラーメンを作っている途中で異世界のメイドに。王子の乳母になる。
ミカエル:王子。
ユルーゲル:王に愛される若くて美しい男。
エバンス:若くて強い王。
ミナ:アスのルームメイト。
アレックス・ミュヒート:王妃が里から連れてきた護衛騎士。
ミオ・ゾディアック:幼い王子の護衛騎士。
スサ:メイド長。
セヤ・リョーミン:男爵。アスの家庭教師。スサの従姉妹。
クライン・カペラ:王の親友。国が誇る最強の武将。
シエル:大魔法使い。
セサール・カジック:伯爵。

84話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 大魔法使い
空中に手を出す。
まるで水中で手を動かすように、手に空気が絡みついた。
前にセヤと来た時はもっと軽い雰囲気だったが、数日で森が変化したのか、それとも同行者の違いがこのような変化をもたらしたのか、見分けがつかない。
セヤもここが好きだと言っていたが、シエルもここを見せたかったということは、もしかしたらこの場所は魔法使いや魔法使い志望のホットプレイスなのかも。
・・・ちょっと待って。
私は今、シエルにもっと驚くべきリアクションをしないといけないのかな?
初めて見た驚異的な光景に出会ったように、もっと驚いたふりをした方がいい?
今からでも振る舞おうか。
驚いたふりをしようとすると、シエルが先に優しく声をかけてきた。
「言葉で説明しても理解できないような気がしたので、こちらにお迎えしました」
シエルは不満そうな表情でニッコリ笑っている。
「はい・・・。言葉で説明すると難しい美しさですね」
「王妃宮の魔法陣の規模が大きくて、復旧が大変だと話したことを覚えていますか?」
「はい。隠された地下室に行くまでの道は、幾度も閉ざされているんですよね?」
「それと、平凡な魔法使いたちは、読むことの出来ない複雑で古い魔法陣だとも言いました」
「そうでしたか」
私の答えが誠意なく聞こえたのか、シエルは苦笑いを浮かべて、胸に手を当てて、私の宮廷式で丁寧に頭を下げる。
「当時から魔法使いだった私には当然のことだったので、アスさんを配慮出来ませんでした。申し訳ありません」
あれ?
私、今ディスられているような気が・・・。
「この森全体が王妃宮と繋がっている魔法陣なのです」
そうなんだ。
「この森が王宮と繋がっているという言い伝えがあったとはいえ、本宮でテストをしたところ、反応がなかったようですが、能力の差でしょうか?」
一応、知っていることを話してみたら、シエルの表情が少し明るくなる。
「そうだと思います。普通の魔法使いなら、この魔法陣の規模もまともに分からないはずですから。私程度でなければ、魔法陣を完全に読み取ることも出来ないでしょう」
「そう言えば魔法使いさん、私は魔法使いさんが「アスさん」より「アス」と呼んでくれた方が助かります」
毎日のようにアスとアスさんを混ぜて呼ばれると、もう我慢できなくなったのだ。
私の世界にそんな人がいた、尊敬語とタメ口を混ぜて使った人が。
シエルの顔が赤くなる。
彼は銀色の煌めく空を見て、うん、と咳払いをして、それとなく赤くなった顔で私の目を避けたまま話した。
「それじゃあ、・・・私も名前で呼んでください、アス」
万能で全能で神級の大魔法使いの名前を呼べと?
「じゃあ、私たちだけがいるときにそう呼びます」
「呼んでみて」
「え?」
「今は、私たちだけですので」
変だな・・・、シエルはシエルで、実は呼べと言われれば呼べないこともない名前なのに、変に口が開かない。
「・・・魔法使いさんと呼んだ方が、少女っぽいし、ロマンチックだと思います」
「そうですか・・・」
良かった。
私が聞いても戯言だが、シエルは少し微妙な表情をしているものの、納得してくれたように見逃してくれた。
「説明の途中でしたね。魔法陣の連結テストをしたのなら反応がないのは当然です」
「何故ですか?」
「先ほど王宮でテストをしたと仰いましたが、この森と繋がっているのは王妃宮だからです。この森自体が魔法陣で、あの木が魔法陣の核なのです。そして、これが王妃宮の地下室に繋がっています。本宮ではありません。ですから、テストをするとしたら王妃宮ですよ」
初めて王妃宮の地下室で、血で描かれていた魔法陣を見た時の感じは今でも生々しく思い出される。
あの時、部屋を埋め尽くした血の魔法陣を見て圧倒されるほど威圧感を感じたが、二つの魔法陣が繋がっているとしたら、森単位のスケールだとどうなるのか?
魔法陣の核と言われる大木。
これがなぜ王妃宮と繋がっているのか、まだ理解できないのだが・・・。
「それじゃあ、魔法使いさん」
私はその質問をする前に、セヤと来た時から気になっていたことを質問した。
「あの木の脇腹に散りばめられている岩は、この魔法陣でどのような役割を果たしているのですか?」
その瞬間、シエルは私が見たことのない冷笑で冷たい表情を浮かべて、嘲るような微笑みに似た表情を作り出す。
しかし、断言できるが、あれを微笑みと呼ぶのなら・・・。
今、シエルが作った表情を微笑みと呼ぶのなら、王妃やミオ卿は毎日満面の笑みを浮かべていると言われるだろう。
「あれが存在するから魔法陣が機能するのです。別の大魔法使いの業績ですね」
私が知る限りでは、<脱出記>の世界観では大魔法使いは一世代に一人なのに。
「大魔法使いが別にいるのですか?」
「ずっと上の大魔法使いですよ」
「その方はなぜ・・・、これほど大きな魔法陣を?単に肉体を作り出すための魔法陣なのですか?以前に魔法使いさんが肉体くらいは簡単に作れると話していませんでしたか?」
バベルの塔は空に着きたいという欲望もあったが、この魔法陣は本当に意味が分からない。
「この魔法陣は、大魔法使いの肉体を作るための魔法陣です」
シエルがアスを連れてきたのは、魔法陣の話だったのですね。
王妃宮の魔法陣は謎だらけです・・・。
シエル以外の大魔法使いが関わっているという事実。
シエルの表情から察するに、その大魔法使いとシエルは何か因縁がありそうですね。
大魔法使いの肉体を作る魔法陣とは?





