こんにちは、ピッコです。
「メイドとして生き残ります」を紹介させていただきます。
今回は88話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

ラーメンを作っていたはずが、気がつくと読んでいた小説の脇役メイドになっていた!
国王は美しい魔性の男「ユルーゲル」に夢中で、王妃を冷遇しており、小説では病気で亡くなるまでそれが続いていた。
王妃付きの平凡なメイドの私が細く長く生き残ることができるの!?
アス・トケイン:主人公。ラーメンを作っている途中で異世界のメイドに。王子の乳母になる。
ミカエル:王子。
ユルーゲル:王に愛される若くて美しい男。
エバンス:若くて強い王。
ミナ:アスのルームメイト。
アレックス・ミュヒート:王妃が里から連れてきた護衛騎士。
ミオ・ゾディアック:幼い王子の護衛騎士。
スサ:メイド長。
セヤ・リョーミン:男爵。アスの家庭教師。スサの従姉妹。
クライン・カペラ:王の親友。国が誇る最強の武将。
シエル:大魔法使い。
セサール・カジック:伯爵。

88話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 夜明け前の訪問
1日が長い長い。
夜が明ける前に、別荘に攻め寄せてきたクラインを見た途端、そう思いつく。
昨日ユルーゲルと会ったのが最後だと思ったが、長いクールタイムを巡ってクラインが来た。
普通1日のハードさはその日の朝から分かるけれど、今日もハードなのだろうか?
本当に嫌になる。
私の夢は無為徒食、不労所得だよ。
昨日がまだ終わっていない感覚だ。
寝室を出るや否や私が見たのは、階段を上がってくるクラインと彼の背後で驚いているアンナの姿。
私はミオ卿とシエルが飛び出るかと思って、部屋のドアを体で塞ぐ。
「失礼いたしました」
慎重にだが、強く引き止めるアンナを引き連れて2階に上がってきたクラインは、私を見つけるや否や足を止めた。
彼は自分の制服のコートを脱いで肩にかける。
クラインの持ってきた数多くの花に隠れている彼自身の仄かな香りがした。
セサール・カジックのドッシリとした香りとは、やや種類が違う香り。
もう少し軽くて爽やかな。
「朝早くから来られたのですね」
「ええ、あなたがお呼びになりましたから」
笑わせるわ、それならば一昨日に来ないと。
ミオ卿に手紙を貰ってすぐに読んでなかったり、その手紙がミオ卿が書いた決闘状だと思ったのではない限り、憎たらしい嘘だろう。
それでも彼が来るたび持ってくる花を一つも持って来なかったのを見れば、急いで来たに違いないようだ。
花に慣れたのか、いつか彼に「花はあまり好きじゃない」と言うつもりだったのに、いざ彼が花なしで来たのを見ると、何かが残念に思える。
多分、私は彼の花の香りが私に漂ってくるその瞬間が好きだったのだろう。
「伯爵様、着替えて参りますので、下で待っていてください。アンナ、悪いけど王子様をちょっと見てくれる?」
クラインは項垂れて私に礼を述べて、アンナは猛烈にうなずいた。
早く着替えるふりをして、ミオ卿とシエルを私の部屋の外に処理しよう。
「さあ、そういう訳で。魔法使いさん、ミオ卿としばらく席を離れてください」
「行く場所がありません・・・」
「お隣の部屋でもいいから、魔法でなんとかなりませんか?もうすぐアンナが王子様を連れて行くんだけど、お二人が見つかったら私は失敗するわ。そうでしょ?」
シエルは苦々しい顔つきで、ミオ卿と一緒にいなくなる。
私は素早く着替えて、バトンタッチした。
クラインの手をとって、外に出てしばらく歩く。
別荘と鯉のいる池の間に、私たちが話せる空き地があった。
そこで彼の手を離す。
「すぐにいらっしゃると思っていました」
「すみません」
ミオ卿はどうやら、大人しく私の決闘状を渡していないらしい。
「アス、あなたは怒っていますか?」
無条件で理由のない保護と信頼を自分勝手に彼に期待して、蹴られて気分が悪かった。
存在しないユートピアを彼に求めていたから、クラインの過ちではないだろう。
しかし、彼はなぜ私が勘違いするように放っておいたのだろうか?
「怒っていません。だからもう説明してください」
クラインが長くため息をつくので、私は待っていた。
彼は私の目を避けて、手のひらに顔を埋めて、息の足りない人のように再び息を吸い込む。
私はずっと待っていた、クラインの用意が整うまで。
空気は徐々に色が薄くなり、真昼のような透明を取り戻しつつあった。
空の端には赤い光が広がるのも見える。
すべてが美しく平和に見える時間帯。
空気の色が薄くなるほど、クラインは息遣いが難しい金魚のように荒い息だけを繰り返した。
私は首を長くして彼を待つ。
「・・・前に私が申し上げた事実には何の偽りもありません」
「伯爵様が嘘をついたとは思いません。話さなかったことを話してくれることを願うだけです」
顔を覆っているクラインの両手首を掴んで下ろす。
澄んだ空気の中で、彼の顔は蒼白で無邪気に見えた。
彼も気苦労が酷かったからか、数日で痩せたようだ。
はあ・・・、元気だったかって?
元気だったよ、昨日までは。
私の手が触れるとクラインは大きくため息をついた。
青灰色の瞳が私を見下ろしている。
「どうしてその万年筆がセサール伯爵様のものだということを隠したのですか?」
「アス」
何度も彼に名前を呼ばれてきたが、今回初めて彼に名前を呼ばれたような気がした。
「アス・トケイン」
クラインは懐かしい苦痛を呼ぶように私を呼ぶ。
変な気分だ。
まだ彼の手首を掴んでいる手をすぐに放して、彼から離れたい。
怖いものとは違うドッシリした感じの身の毛とともに背筋の産毛が立ち上がった。
「私があなたをどれほど大切に思っているか知っていますか?」
「分かっています」
「いいえ、何も分かっていません」
「承知しています。伯爵様は、私に言ってくださらなかった部分はあっても、嘘はついていません」
無言のままクラインは笑う。
これまでクラインとセサール・カジックが似ていないと思っていたが、今目の前のクラインはセサール・カジックと非常に似ている表情で笑っていた。
心臓が警告であるかのように、別の理由でドキドキし始める。
ミオ卿がどんな風に手紙を渡したのか気になりますね(笑)
それが原因で、クラインが訪れる日が1日遅かったのでしょう。
クラインがここまで緊張する理由は、彼がアスを大事に思っているからでしょう。
それはクラインの心情で分かっていますから。





