こんにちは、ピッコです。
「メイドとして生き残ります」を紹介させていただきます。
今回は95話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
ラーメンを作っていたはずが、気がつくと読んでいた小説の脇役メイドになっていた!
国王は美しい魔性の男「ユルーゲル」に夢中で、王妃を冷遇しており、小説では病気で亡くなるまでそれが続いていた。
王妃付きの平凡なメイドの私が細く長く生き残ることができるの!?
アス・トケイン:主人公。ラーメンを作っている途中で異世界のメイドに。王子の乳母になる。
ミカエル:王子。
ユルーゲル:王に愛される若くて美しい男。
エバンス:若くて強い王。
ミナ:アスのルームメイト。
アレックス・ミュヒート:王妃が里から連れてきた護衛騎士。
ミオ・ゾディアック:幼い王子の護衛騎士。
スサ:メイド長。
セヤ・リョーミン:男爵。アスの家庭教師。スサの従姉妹。
クライン・カペラ:王の親友。国が誇る最強の武将。
シエル:大魔法使い。
セサール・カジック:伯爵。
95話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 大魔法使い
「同じ大魔法使いですか?」
シエルがミカエル王子の手を取ると、王子がイルカのように高い声を出して笑った。
少し王子の目が黒く見えたように思えたが、ハッキリ見るとカボチャ色のまま。
私は疲れて見間違えたようだ。
「・・・どうやって話を切り出そうか悩んでいたのですが」
今回を逃したら永遠に聞けないかもしれないという不吉な予感がする。
「分かりにくいのですが、一番最初に描かれた魔法陣とその後に描かれたいくつかは、大魔法使いの作品です」
「それは大魔法使いを作る魔法陣だと話していませんでしたか?大魔法使いを作る魔法陣を大魔法使いが作り、またそれを大魔法使いが破壊するのは変に聞こえます」
「アスは大魔法使いについてご存知ないのですね」
シエルはため息のように話しながら、王子の丸いお腹をくすぐる。
「大魔法使いは生まれるのであって作られるのではありませんが、非常に遠い古代の人々は大魔法使いを作りたがっていました。そして代々、大魔法使いはそれを望んでいなかったのです」
「なぜですか?」
「本当はですね、アス・・・」
王子を抱いたままシエルが私の方に頭を下げた。
彼は私の耳に口を当てて小声で囁く。
「大魔法使いは不死だそうです」
そう言って、シエルは首を傾げて私の顔を見た。
私が今、どんな表情をしているのか私も分からない。
シエルが期待していた表情をしていればいいのだが、表情の収拾がつかない。
すごく興味深いという表情をしていたいけれど、自分でも自分の顔に確信が持てなかった。
お前、死なないのか。
じゃあユルーゲルから貰ったお茶と薬からシエルを守らなくても大丈夫ってこと?
私の表情が凄かったようだ。
シエルは慌てた表情で手を振る。
「いや、自然死しないという意味です。毒を飲んだり、ナイフで刺されたり、後頭部を鉄の棒で殴られたりしたら、私も死にます」
「・・・そう仰られると、私が魔法使いさんにそんなことをしているように聞こえるじゃないですか?」
「違いますよね?ありがとうございます」
これがどうして感謝すべきことなのか分からない。
そう言われると、私がまるで実行しようとするのを止めた人みたいじゃないか。
「大魔法使いは今は一代に一人だけですが、古代にはもっと多くの大魔法使いがいたそうです。しかし、彼らは長生きを喜ばなかったので、だんだん数が減っていったのです。あの魔法陣は、減少する大魔法使いの数を人為的に維持するための一種の保険だったようです」
「ですが、大魔法使いは生まれつきだと仰ったじゃないですか。どうやって人為的に作ることができるのですか?」
「大魔法使いには代々竜の心臓が相続されます。歴代の大魔法使いたちの魔力が込められていて、大魔法使いでない人は竜の心臓を受け入れることができません。それで大魔法使いの魂は循環すると言われています」
じゃあ今シエルの心臓は竜の心臓ということ?
無意識に手を上げてからまた下ろした。
それを見たシエルは笑顔を浮かべて、私の手を取って自分の心臓の上に置く。
正直よく分からない。
微かに心臓の鼓動が感じられるけど、私とそんなに変わらないようだった。
「しかし、肉体と魂で重要なのは魂です。魂は、それ相応の肉体に宿るしかないのです。なので、本来あの魔法陣は大魔法使いたちの死霊を捕らえて、再び肉体の器に入れる役割のために作られたものなのです。今はそこまで機能しませんが」
万能、全能、神級の魔法使いたちの魂と肉体を作るための魔法陣が、不妊治療に使われるまで小さくなった光景を一度想像してみる。
とても長い時間だったと思う。
そして、万能に、全能に、神級という三種の称号を全て達成した大魔法使いたちの軍団が存在していた古代を想像してみた。
自分と同等な仲間がいる彼らも寂しさを感じて恋をしたかったのだろうか?
私は今、一代に一人だけだという大魔法使いシエル・カッパーフィールドを見た。
誰かが殺したり自殺をしないのなら結婚もできずに一人で永遠を生き抜く。
「寂しいでしょうね。こんなに良い親になりそうな方が」
そして、何よりもあのハンサムな顔が遺伝子を残してはいけないというのだから、全人類の損失のようにも思える。
シエルは小さく笑った。
「とにかく、それで魔法陣の処理が長くかかっていますが、すぐに帰れるでしょう」
「期待しています」
シエルが本当に魔法でしっかり寝かせたのか、ミオ卿は微動だにせず、音もなく眠り続けていた。
寝顔さえハンサムなこの美男は、さっきどこから見ていたのだろう?
私が薬をあげるのも見たのかな?
彼が見たものと真実は多分かなり違うだろうが、ミオ卿がどう思っているかが少し気になった。
「でも魔法使いさん、そのお茶は飲まない方がいいと思いますよ。さっき昼に見たらちょっと傷んでいるようでしたから」
冷めかけたお茶を飲みかけようとしたシエルは手を止めた。
「アス、大丈夫ですよ」
「でも」
白髪に月光を宿したシエルは優しく、まるで不完全な月のように笑っていた。
「大丈夫ですよ。私は大魔法使いですから」
うーん、大魔法使いの存在はかなりややこしいですね・・・。
不死を望まずに命を落とした大魔法使いはどうやって自らの命を落としたのでしょうか?
自殺?
それとも他殺?
シエルが永遠を望めば、次代の大魔法使いは生まれないということ?