こんにちは、ピッコです。
「伯爵家の暴れん坊になった」を紹介させていただきます。
今回は78話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

目を開けると、そこは小説の中だった。
暴君として名高い伯爵家の令息の体に憑依してしまった樹は…!?
ケイル・ヘニトゥス:主人公。伯爵家の暴れん坊息子。前世は「キム・ロクス」
チェハン:小説の主人公。復讐心を胸に、旅に出る。
オン、ホン:猫人族の子供。姉弟。
ロン:執事長。東大陸からやってきた元暗殺者。
ビクロス:執事長ロンの息子。
ハンス:副執事長。
デルト・ヘニトゥス:伯爵家の主。ケイルの父親。
バイオラン・ヘニトゥス:伯爵夫人。継母。
バセン、リリー:ケレスの弟と妹。
ビロス:金持ちの庶子。商人。
ロザリン:暗殺者から逃れたブレック王国の王女。
ラーク:狼王の後継者。
ベニオン・ステン:侯爵家。小説の悪役。典型的な権威主義貴族。

78話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 優しいケイル
「ケイルさん、説明をお願いしてもいいですか?」
洞窟の壁にもたれかかっていたリタナが起き上がる。
「私は⼩さな貴族の出⾝です。そのおかげで、旅⾏するための資⾦も不⾜していません。そのため、私と⼀緒に旅⾏する仲間がいるのですが」
「仲間?」
「ええ。オンと⼀緒に⼀⼈で森に⼊ってきましたが、私を信頼して待ってくれている人たちがいるのです」
『仲間の大切さ』を重視しているリタナたちは、穏やかな表情でケイルを見ていた。
「旅をしている途中で、運命的な出会いに出くわすことができたのです」
「運命的な出会い?」
苦笑いを浮かべ、困難な記憶を思い出しているように⽬を瞑る。
「はい。私は海の渦に巻き込まれ、かろうじて抜け出すことができました。脱出した先の洞窟の中で、その運命的な出会いに遭遇したのです。その時に出会った怪我人に会うために、私は渦に巻き込まれてしまったのでしょう。ああ・・・」
恥ずかそうな笑みを浮かべる。
「申し訳ありません。話が脱線しましたね」
「ケイルさんは多くの人々を救ってきたように思えます」
リタナは穏やかな表情で、猫族の⼦供オンに⽬を向けた。
「あはは・・・、その時になんとか獲得できた⼒がありました」
「⼒ですか?」
「消⽕⽔です。あらゆる⽕災を抑えることができる水」
リタナたちは驚きを隠せなかった。
しかし、それは当然の反応だろう。
「ただし、使⽤できる量には限りがあるため、効果があるかどうかは分かりませんが」
「ああ」
リタナは呆然としていた。
「それは貴重な⼒のように聞こえます。使っても⼤丈夫なのですか?」
ケイルは笑顔が込み上げてくるのを無理矢理抑えていた。
⻄部⼤陸全体を燃やす⽕でない限り、消化するには問題のない量があるのだから。
「え〜と・・・、あなたのことを何と呼べばいいでしょうか?」
「・・・リナとお呼びください」
部下の一人が動揺するが、ケイルは見ないふりをして、リタナの偽の名前を呼ぶ。
「リナさん」
「はい」
「重要なのは、その⼒をどのように使うかだと思います。私がこの⼒を使って、⾃然、動物、植物、そして⼈々とその⽣計を救うことができれば、力を使う必要があると信じています」
リタナは無意識のうちに拳を握りしめ、彼⼥の⼼臓は激しく⿎動していた。
「もちろん、この力が私を主人として認識したので、使⽤するために近づく必要があります」
「・・・⽕の中に⼊る必要があるのですか?」
「少なくとも近づく必要はあります」
リタナが眉をひそめる。
感謝と悲しみの両⽅が彼⼥の⼼を満たした。
それは部下も同じだ。
「私の⼒が助けになることができれば、とても幸せです。皆さんを助けたいのです」
[これは俺様が知っている弱い⼈間ではない。とにかく、誰かを救うことは素晴らしい⾏いです!]
⼀⽅、オンは欠伸をして、ケイルから⽬を逸らした。
「ケイルさん、本当にありがとう」
それに応えて優しい笑顔を浮かべる。
リタナたちにとって、ケイルは伝説のドラゴンと何ら変わりはなかった。
「どうすれば、この感謝の気持ちをお返しすることができますか?」
「感謝?いいえ、私はまだ何もしていません。まさにこの理由で森に引き込まれたような気がします」
リタナは、貪欲さえも⽰さなかった彼を賞賛する。
「ケイルさん、あなたは私たちを導き、限られた⼒を使うために⽕に近づくのです。何も返さずにすべてを受け⼊れることはできません」
「いいえ、本当に⼤丈夫ですから」
ケイルはぎこちない表情を浮かべた後、何かを思い出したかのように手を叩く。
「そうだ!私はジャングルのある光景を読んだのですが、活気に満ちたジャングルと澄んだ海岸線の組み合わせがとても美しいと書いてありました。そこの⼣⽇は凄かったそうです。それを読んで、その場所に別荘ができたらいいなと思ったのを覚えています」
その東岸は、⾦のような希少な物質で満たされていた。
それは鉱⼭ではなく、最⾼品質の魔法⽯が埋められた⼭だった。
「⽕が消えたら、その場所で⼣⽇を眺めてもいいですか?」
リタナは⾔葉を失った。
美しい海岸線の夕焼け。
しかし、その場所も⽕事に見舞われている。
彼もその事実は知っているはずだ。
それにもかかわらず、彼は土地やお金を要求せず、ただ景色を見たいというだけだった。
「見るだけではお返しになりません」
「え?」
「ケイルさん、私はあなたのためにそこに別荘を建てます。そこで満⾜できない場合は、ジャングルのどこにでも建てます」
「い。いいえ!その必要はありません。本当に⼤丈夫ですから」
笑顔を抑えて、申し訳ない表情を作る。
「いいえ、私はあなたのために別荘を建てます」
「ええと・・・、まあ、あなたが主張するなら」
「はい、必ずそうします」
ケイルはリタナの性格をよく把握していた。
オンの含みのある視線を受けながら、ケイルは魔法のバッグを開ける。
「何か⾷べませんか?皆さん、お腹が空いていると思って」
ビクロスの作った⾷べ物をバッグから取り出した。
「⼀緒に⾷事を分け合って、明⽇移動しましょう」
カジュアルな雰囲気から、とてもフレンドリーな雰囲気に変化する。
リタナはまだ新鮮で暖かい⾷べ物に⽬を向け、ケイルが彼⼥に⼿渡したフォークを掴んだ。
「伝説はそれほど遠くなかった・・・」
「え?」
すべて聞こえていたが、ケイルは聞こえないふりをする。
「いいえ、別に。これは美味しいですね、ケイルさん」
「それは良かった」
リタナたちは、2週間ぶりにリラックスして⼀晩を過ごすことができた。
「ケイルさん、これは凄いですね」
「そうでしょう?オンは素晴らしいですから」
ケイルは、彼の後ろを追っていたリタナたちの方に振り返る。
「リナ夫人、もうすぐホイク村に到着します」
リタナは⿊い髪を隠していた。
王室は真っ⿊な髪をしているので、正体がバレないようにしていたのだ。
正体を隠すために⼀⽣懸命働いていたので、リタナが強い戦⼠であると⾔うのは難しいだろう。
しかし、ケイルは真実を知っていた。
(彼女は、チェハンの少し下)
リタナはトゥーンカよりずっと強かった。
彼⼥がブラックパンサーに乗って槍を使うと、誰も彼⼥を捕まえることができない。
暗いジャングルの中を動き回っていたリタナは、敵から⽩昼でも死神のように思われていた。
彼が再び前進する。
オンは彼らのための道を開くために霧を制御していた。
「ああ・・・」
リタナの部下が喘ぎを吐き出す。
彼らはついに「ノーリターンの道」を抜け出すことが出来たのだから。
霧が上がり、ホイク村の⼊り⼝が⾒えた。
オンとホンはお互いにぶつかり、頬を互いにこすり始める。
「なぜ⾬の中で待っているのですか?」
ハンス、チェハン、ロザリンが待っていた。
誰も応答しない代わりに、彼らは皆、ケイルの言葉を聞こえていないかのようなふりをする。
「戻ってきました」
彼らの笑顔を⾒たくなかったので、振り返った。
そしてケイルの視線は、彼を⾒つめていた⼈々に向けられる。
入っていった家族を待っていた人々。
⽼⼈の⽅へ向かう。
森に⼊ることについて警告した老人。
彼の⽬は信じられないほど震えていた。
「⽼⼈」
ケイル、いや、キム・ロックスは、⼆度と戻ってこない何かを待つことがどんなものかを知っていた。
「ドラゴンはいない」
伝説はなかったのだ。
⽼⼈の⽬がゆっくりと涙を流し始める。
その⽼⼈は静かに地⾯を⾒下ろしてから、何度も何度もうなずいた。
「森の中で服や骸⾻を⾒ました。よろしければお持ちします」
それが彼らのためにできる唯⼀のこと。
そう告げた後、チェハンの元に向かう。
「私たちはジャングルに向かいます」
ジャングル全体を覆った⽕。
ケイルが⾃分でその⽕を抑える時が来たのだ。
ケイルは将来を楽に過ごしたいから活動すると言っていますが、老人たちへの気配りなどから、彼の優しい性格が分かりますよね♪
だからこそ、チェハンたちもケイルに心を開いているのでしょうから。
リタナの強さがトゥーンカよりも上なのは驚きですね。
彼女の活躍も見られるのでしょうか?





