こんにちは、ピッコです。
「伯爵家の暴れん坊になった」を紹介させていただきます。
今回は86話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

目を開けると、そこは小説の中だった。
暴君として名高い伯爵家の令息の体に憑依してしまった樹は…!?
ケイル・ヘニトゥス:主人公。伯爵家の暴れん坊息子。前世は「キム・ロクス」
チェハン:小説の主人公。復讐心を胸に、旅に出る。
オン、ホン:猫人族の子供。姉弟。
ロン:執事長。東大陸からやってきた元暗殺者。
ビクロス:執事長ロンの息子。
ハンス:副執事長。
デルト・ヘニトゥス:伯爵家の主。ケイルの父親。
バイオラン・ヘニトゥス:伯爵夫人。継母。
バセン、リリー:ケレスの弟と妹。
ビロス:金持ちの庶子。商人。
ロザリン:暗殺者から逃れたブレック王国の王女。
ラーク:狼王の後継者。
ベニオン・ステン:侯爵家。小説の悪役。典型的な権威主義貴族。

86話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ラオンの食事
仮⾯の男、ビクロスが鞭をはじく。
鞭は空中を切り裂き、ベニオンに着陸した。
「あぁぁぁぁぁ!」
体は重く感じていたが、それでも痛みを感じとる。
鞭はベニオンの体に着地し続けた。
ローブの下の服装は裂け始め、鞭が彼の⽪膚に切り込むにつれて、⽪膚は出⾎し始める。
ガラスの⼀部が鞭から落ちて、⽪膚に突き刺さったままだ。
それは、ラオンが⽣まれたばかりのときに虐待されたのと同じ⽅法。
「ふー、ふー、ふー!」
ベニオンは何かを叫んでいたが、その⾔葉は出てこない。
奮闘して動こうとするが、彼の体は麻痺したままなのだ。
ラオンが何も出来ないまま苦しんでいたように、ベニオンには苦しむ以外の行動が出来なかった。
彼にできることは丸くなることだけ。
しかし、ラオンがしたように、ベニオンはテーブルの上にいるブラックドラゴンを睨みつけた。
自分が屈服しないことを示す意思の表れ。
その瞬間、鞭が彼の頬を切り裂く。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
痛みに震えるが、ビクロスは反応を⽰さず、安定したペースで鞭打ちを続ける。
出⾎している部分を何度も泡⽴て、⾎が空中に吹き付けられても感情を⽰さなかった。
「んん」
ケイルは呻き声の方向を見る。
⼦猫のオンとホンは隣同⼠で丸まっていた。
ホンはベニオンを⾒るのが難しいようだ。
「うーん、うーん、うーん、ああ、ああああ!」
ベニオンの頬は、完全に⾎まみれだった。
ビクロスは鞭をさらに激しくはじく。
喋るな。
じっとしていろ。
睨むな。
ベニオンがそれらの反応のいずれかを⽰したときに鞭が着陸したので、それはメッセージであるかのように思われた。
「・・・私は⾒る必要があります、それが私がしなければならないことです」
銀の⼦猫オンが言った。
彼らがどのように感じているかを理解する。
ベニオンが受けている拷問は、過去にラオンが味わった苦しみ。
家族同然の彼の苦しみを知っておきたいのだろう。
ケイルはオンとホンの頭を可愛がった。
「できなければ⾒る必要はありません」
そう⾔って頭を向けた。
ラオンがテーブルの上に⼀⼈で座っているのを⾒る。
彼は食事をしていた。
好きな⾷べ物、ステーキを⾷べている。
ラオンは⼝に⾷べ物を詰め続けていた。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!」
ベニオンの悲鳴を聞きながら。
ラオンはこの瞬間を⾮常に⻑い間何度も何度も楽しみにしてきた。
何度も頭の中でこの光景を想像していたのだ。
だからこそ、彼はこの⾷事の⼀瞬も逃すことができなかった。
半年前には想像もできなかった貴重な⾷べ物、そして健康な体と⾃由。
ラオンは今得たものをすべて味わいながら⾷べ続けた。
「ごほ」
⾷べ物を詰めすぎて⼀瞬咳をしたが、それでも⽌まらない。
ケイルはラオンの顔と⾏動を観察した。
ラオンが泣いている。
しかし、彼は⽌まらなかった。
「ゴホゴホ」
ベニオンが鞭打ちされるのを観察しながら、彼は⾷べ物を詰め続けていた。
「うーん、うーん、うーん、ああ・・・」
ベニオンの体が痙攣し始める。
彼はブラックドラゴンを⾒上げることさえできなかった。
⾃分の⾎に囲まれながらゆっくりと意識を失い、無表情だった。
⼤きな⾳で鞭がベニオンの頭を打ち、ついに意識を失う。
ラオンは別のステーキを⼝に詰めた。
⽬は開いていたが、ベニオンは⾒えていない。
彼が⾒たのは過去の自分だったから。
それが彼が⽌められなかった理由。
その瞬間だった。
「窒息するぞ」
ラオンは、背中に暖かい⼿を感じる。
その声はいつものように無関⼼だった。
ベニオンは地⾯に横たわっていた。
ラオンは意識のない彼を⾒て話し始める。
「俺様は⾒続ける」
「分かった。⼀緒に⾒ましょう」
ケイルはビクロスを⾒ながら、ラオンの背中を撫で続けた。
ビクロスは、ケイルが眉をひそめているのを⾒る。
「公子様、どうされましたか?」
「なぜ今ポーションを使っているのですか?」
ケイルはビクロスの⼿にあるポーションをあごで指さした。
「彼を癒す必要がないのですか?」
「泣き声を上げようとしているように⾒えるときにそれを使⽤してください」
ベニオンは気を失ったがが、それでも呻き声を上げていた。
彼の全⾝は⾎で覆われ、⽪膚は⾚い。
「彼はまだ死ぬことはありません。あなたの鞭捌きは素晴らしいですね」
ケイルはため息をついた後、ラオンを抱き上げる。
そして、彼は眉をひそめた。
ラオンがとても重かったからだ。
しかし、彼をここに残すことは出来ない。
オンとホンは⼼配そうに、ケイルとラオンの周りを歩いていた。
腕が⿇痺するのを感じ、すぐに話し始める。
「少し休憩しましょう」
誰も反対しなかった。
しかし、ビクロスには質問があった。
「彼が⽬を覚ましたとき、私は何をすべきですか?」
ラオンが答えた。
「続けます」
「彼が言ったように」
「分かりました」
ケイルがドアを押すと、⼩さな⾳でドアが開く。
チェハンは怒りと悲しみの両⽅を表現した表情で⽴っていた。
「この場所には未開封のワインがあります。それをグラスと⼀緒に持ってきてください」
今夜は飲む必要があると決心する。
そして、2階の住居に向かった。
「あなたは⼤きくなりましたか?前回より重いですよ」
「⼈間が弱くて、腕の⼒がないだけだ」
「それについては何も⾔えないな」
ラオンが頭を上げると、住居の外の景⾊を⾒ることができた。
霧が上がり、朝が近づいている。
「まあ、あなたが成⻑しているのは良いことです。⼤きくなるのは良い仕事ですね」
ラオンはそれを聞いた後、ケイルの肩に顔を向けた。
ケイルの腕は震えていたが、ラオンは知らないふりをする。
3⽇後の夜遅く。
ラオンはテーブルから⾶び上がり、ベニオンの前に着陸する。
「ハッハッハッ・・・」
ベニオンは激しく呼吸していた。
最初は、誰かが自分を救うために来るだろうと思っていたが、どれだけの時間が経過したか分からなかったので、疲れ果てていたのだ。
自分が苦しんでいるのを、ラオンが⾒ながら⾷事を続けていることを彼は知っていた。
「ベニオン・ステン」
ラオンは静かにベニオンを⾒下ろす。
彼は自分を虐待した他の⼈たちも覚えていた。
もちろん、ケイルはすでにそれらの⼈々を罰する計画を持っている。
これには侯爵も含まれていた。
侯爵は個⼈的に虐待していないが、そもそも彼がこれらすべての責任者なのだから。
「私はあなたを生かすつもりです」
そのため、ラオンはベニオンを⽣かすことを計画している。
「イライラしているとき、ろくでなしのドラゴンの⾎を⾒るのは本当に最⾼です。いつも気分良くしてくれる」
穏やかな声がベニオンの⽿に届く。
その台詞は、過去に彼が言った言葉。
「そして、⾷欲がないときはいつでもあなたを⾒つけに来ます」
ラオンはベニオンがしたのと同じことをすることを計画していた。
ベニオンの体が震え始める。
暗⾚⾊の霧が、再び彼の体を取り囲んだ。
意識を失わないように努めるが、結局、彼は意識を失った。
3⽇間で、ビクロスはベニオンの⼼に恐怖を植え付けた。
全⾝が怪我をしたのは当然のことでしたが、意志を失うほどの恐怖を頻繁に与えていた。
「ケージの拷問の必要はないようだな」
ケイルでさえ拷問を見るのが困難な光景が何度もあった。
しかし、彼は⾒るとラオンに約束したのだ。
チェハンはベニオンを⾒下ろしながらケイルの隣に⽴つ。
「彼は侯爵が来ることを望んでいたようでした。残念ですね」
ベニオンを動かし続けた唯⼀のことは、侯爵が自分を救うために来ることを望んでいたという事実。
「それはどういう意味ですか?」
「いいえ」
チェハンは⾸を横に振った。
「私たちは彼をもっと拷問する必要があるように感じますが、これはラオンの仕事なので、私は控えています」
「その通りだ」
「ラオンが彼を殺さないと⾔ったという事実は、おそらく彼の⼼にいくらかの希望を与えたのでは?」
ベニオンが考えていたように、侯爵は現在必死に彼を捜索している。
彼の2⼈の付き人は、テイラーの友⼈のケージに捕まり、ベニオンがステン家領⼟の裏社会と協⼒してあらゆる種類の違法⾏為を⾏ったことを明らかにした。
その告白は、市⺠を混乱状態に陥らせたのだ。
侯爵家は暴君的だったが、少なくとも直⽴した貴族であると信じていたから。
もちろん、これら全てを実行したのはテイラー・ステンなのだが。
ビクろすとチェハンに命令する。
「準備を」
ビクロスは新しい⽩の⼿袋をはめた。
ポーションが彼の⼿にある。
ベニオン・ステンは、体を傷つけることなく、路地裏の秘密基地に巻き込まれることになるだろう。
彼が⽣きている間、絶望を感じる時が来たのだった。
ラオンの心情が切ないですね・・・。
ベニオンが傷つく姿は、過去の自分自身を思い出させるのですから。
それでも、自分の復讐を止めることは出来ないジレンマに陥っています。
ケイルの存在がなければ、ラオンは復讐だけに生きるドラゴンになっていたでしょう。




