こんにちは、ピッコです。
「伯爵家の暴れん坊になった」を紹介させていただきます。
今回は87話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

目を開けると、そこは小説の中だった。
暴君として名高い伯爵家の令息の体に憑依してしまった樹は…!?
ケイル・ヘニトゥス:主人公。伯爵家の暴れん坊息子。前世は「キム・ロクス」
チェハン:小説の主人公。復讐心を胸に、旅に出る。
オン、ホン:猫人族の子供。姉弟。
ロン:執事長。東大陸からやってきた元暗殺者。
ビクロス:執事長ロンの息子。
ハンス:副執事長。
デルト・ヘニトゥス:伯爵家の主。ケイルの父親。
バイオラン・ヘニトゥス:伯爵夫人。継母。
バセン、リリー:ケレスの弟と妹。
ビロス:金持ちの庶子。商人。
ロザリン:暗殺者から逃れたブレック王国の王女。
ラーク:狼王の後継者。
ベニオン・ステン:侯爵家。小説の悪役。典型的な権威主義貴族。

87話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 終わりのない地獄
その絶望を⾒ることはラオンの喜びとなるでしょう。
ケイルはチェハンに命令を与えた。
「あの椅⼦に彼を座らせなさい」
「分かりました」
チェハンは無意識のベニオンを豪華な⾰張りの座席に投げつける。
「・・・チェハン」
「・・・申し訳ありません。この部屋を⾒回した後、さらに腹が立ってしまって」
ケイルたちは現在、路地裏にあるベニオンの秘密基地にいた。
豪華で派⼿なアイテムで溢れている。
この場所を探し出したのはケージだ。
彼女がベニオンの使用人から情報を入手したのだった。
呪いという精神的拷問を使用して。
死の神に仕えたケージは、破⾨されたにもかかわらず、まだ巫⼥の能力を持っている。
もちろん、彼⼥の能⼒は神の名の下に使われたので、自身が正しいと信じている状況でのみ呪いを使うことができる。
呪いを使うのが彼⼥より優れている⼈は他にいないだろう。
ケイルは椅⼦に腰を下ろしている無意識のベニオンを静かに観察した。
ベニオンがきちんと⾒えることを確認し、服や髪の⽑などを直す。
彼を⾒た⼈なら誰でも、ベニオンがここ数⽇怪我をしていない貴族だと思うでしょう。
背中にはまだポーションでは治せない⼩さな傷跡がいくつかあるが、体全体の怪我の⼤部分は完治している。
実際、ベニオンの顔、⼿、⽬に⾒える部分には怪我の兆候はまったく⾒られなかった。
ビクロスがチェハンを連れて、基地の裏⼝からこっそりと⽴ち去る。
ケイルは、さっきから静かにしているラオンに近づいた。
「始めましょうか?」
「はい」
オンとホンがジャンプして、ラオンとケイルの隣に座る。
そして、ラオンの⾜から⿊いマナが現れ始めた。
静かな⾳とともに、ケイルの体は⾒えなくなった。
「うう・・・」
少し後に、基地内で呻き声が聞こえる。
それはベニオンの声。
彼はまるで悪夢から⽬覚めたかのように眉をひそめている。
「ぎゃああっ!!」
悲鳴を上げて、⾃分がどこにいるかを把握しようとした。
「こ、声が・・・!」
無意識に首に触れて、自分の声が出ることに気づく。
その後、ベニオンは必死に自分の体をチェックし、腕や脚に怪我や⾎がないことを確認した。
派手な服には血の痕跡は見当たらない。
「・・・夢だったのか?」
この場所が夢なのか、それとも、あの地下室が夢だったのか分からなかった。
けれど痛みははっきりと覚えている。
「ここは夢に違いない・・・」
ゆっくりと手を伸ばし、目の前の机に触れた。
質感は間違いなく本物。
ここは現実に違いなかった。
ベニオンは眉をひそめ、今まで夢を⾒ていたかどうか疑問に思い始める。
(基地に向かう途中で誘拐されたのではなく、到着してから眠りに落ちたのでは?)
「はは・・・、ははは」
笑顔が自然と浮かぶ。
「ただの夢だったんだな」
あれは夢に違いなかった。
まだ鞭が自分の体を切り裂いているのを感じるが、拷問者の冷たい視線とドラゴンの視線はすべてただの夢。
そう考えなければ、今自分がここにいる理由が説明できない。
「はは・・・」
⾸に⼿を置いて、自身の手の温もりを感じる。
その瞬間だった。
「ミャアアアア」
見えない状態でホンが鳴き声を上げる。
ベニオンの顔は⻘⽩くなり、⼿は震え始めた。
突然何かが彼の頭に浮かぶ。
『私はあなたを生かすつもりです』
『そして、⾷欲がないときはいつでもあなたを⾒つけに行きます』
「う、嘘だろ・・・」
暗⾚⾊の霧が。蛇のようにゆっくりと⾜を這い上がっていた。
涙が自然と流れる。
「あ、あのドラゴンだ!」
すぐに霧を払いのけるが、霧は消えず、さらに上昇していく。
しかし、その瞬間、ベニオンは何かに気づいた。
前回とは異なり、体を動かすことが出来たのだ。
周りを⾒回し、すぐにドアを⾒つける。
ベニオンがドアに⽬を向けた瞬間、ケイルは時計を⾒上げた。
⼦猫の鳴き声はさらに⼤きくなる。
両足を震わせたまま、ベニオンはすぐにドアに向かう。
貴族に相応しい派⼿な服や滑らかな髪とは異なり、彼の顔は恐怖で狂ったように⾒えた。
「は、早く・・・!」
震える⼿でドアノブを掴んだ瞬間、誰かが外側からドアノブを回していることに気づく。
それは自分の使用人?
ベニオンは、この恐ろしい状況に直⾯する必要はもうないと考え安堵した。
誰かがドアを外から開く。
⾜の周りの霧は既に消えていた。
ドアの向こう側から見える光に夢中になっていたから。
「ようやく⾒つけました」
ベニオンに挨拶したのは、過去に足を⿇痺した兄のテイラー・ステンだった。
「ど、どうしたのですか?」
テイラーは、ベニオンに怪我がないことを確認し、彼の表情が恐怖に満ちていることに気づく。
肩越しに基地内を見るが、中には誰もいない。
しかし、テイラーはケイルが中にいることを知っていた。
「こ、これも夢ですか・・・?」
ベニオンはぼんやりと呟く。
「あなたは⻑い悪夢を見ていたようですね」
テイラーは振り返り、騎⼠たちに命令を下した。
「彼を逮捕しなさい」
これは、ベニオンの悪夢の始まりに過ぎない。
彼は後継者から外されただけでなく、これまでの全ての違法⾏為の代償を払わなければならなかったでしょう。
「ドラゴンの仕業だ・・・。ドラゴンが・・・」
テイラーはベニオンの呟きを無視して、隣にいるケージの声を聞く。
「今晩よ」
テイラーは今夜、再び彼の恩⼈に会うことが出来るのだった。
「公子様、今すぐ基地を捜索しますか?」
騎士の質問に首を横に振る。
「今最も重要なことは、ベニオンをに城に移動することです」
「了解しました!」
騎⼠が真剣な表情で応えた。
「その後は、基地の検索に集中しましょう。⼊り⼝を守るために兵⼠の何⼈かをここに残しておきます」
⾵の音を使用したケイルは、基地からそれほど遠くないところに⽤意した⾺⾞に乗る。
オデウスが⾺⾞のドアを閉め、運転席に座った。
⾺⾞はゆっくりと住居に向かう。
膝の上に横たわっていたラオンと目を合わせると、彼は笑顔を浮かべた。
「復讐は成功した。やはり、俺様は素晴らしくて⼒強いドラゴンだな!」
「ええ。彼らの地獄はまだ始まったばかりです」
「その通り!」
その日の夜。
「ケイル公子、お久しぶりです」
ケイルの元を訪れたのは、テイラー・ステンと狂った巫女のケージ。
⼆⼈はアルコールとコップを持っていた。
「今⽇から忙しくなりますね」
ケイルはテイラーの⾔葉にうなずき、ケージに⽬を向ける。
そして、テイラーにベニオンの秘密基地と関係者に関するファイルを渡した。
ベニオンはステン侯爵からブラックドラゴンを拷問するよう命令を受けていたことが分かる。
彼らは最低でも終⾝刑を言い渡されるだろう。
3⼈は交代でお互いのグラスを満たし、ボトルを空にした。
「明⽇出発するのですか?」
「はい」
「あなたは⾸都への⻄のルートを使うと聞きました。⾸都が最終⽬的地ですか?」
ケイルは質問に答えるのではなく、ただ微笑んだ。
テイラーはそれ以上尋ねるのをやめる。
「前回だけでなく、今回のあなたの助力に対して、私は必ずあなたに恩返しをさせていただきますね」
「楽しみにしています」
ケイルは、この北⻄地域で得た新しい繋がりについて考える。
それは、テイラーとオデウスとの繋がり。
翌朝早くにすべての準備を終え、ラオンにある事を尋ねた。
「皇太⼦の魔法を理解しましたか?」
「俺様はそれが何であるかを知っています、⼈間。俺様は素晴らしくて⼒強いのだから」
ラオンの言葉を聞いて、ケイルは笑顔を浮かべたのだった。
一度肉体的に受けた拷問は、傷が癒されても心まで治ることは決してないでしょう。
テイラーはこれから、ラオンの存在に怯えながら生き続けるしかありません。
彼のこれまでの罪を考えると処刑の可能性もありますが、終身刑の方が精神的には苦しいでしょうね・・・。
そして、次の目的地は首都。
アルベルの正体が判明するのでしょうか?



