ジャンル、変えさせて頂きます！【９６話】ネタバレ

事情を知ったジョゼフィンとヴィクトリアがシャルロットを座らせて繰り返し説得したという話が伝えられた。

シャルロットのことがずっと気になっていたので、やっと安心することができた。

私はジョゼフィンに頼んだことに対する答えが来るのを待つことに。

そんな中、突然訪ねてきたローラが突然顔色をうかがわせた。

「奥様、散歩の時間です！」

ちょっと、これは・・・！

見慣れた合図だ。

私は散歩という言葉が出るや否や席から飛び起きる。

そして、口ーラと私は空中で覗線を交わした。

私の視線が言いたいことを読んだのだろうか、口ーラは決然とうなずく。

私はやっとのことで体面を保ったまま、その道へ矢のように王宮の捨てられた庭園に駆けつけた。

息がどん底まで上がってくる。

靴のかかとが床を蹴って、私は庭に到逹するその瞬間まで休まず走った。

さすが、予想が当たった。

ひっそりとした王宮の庭園の片隅にぽつんと立って私を待っている見慣れた後ろ姿。

リューディガーだ。

「リューデイガーさん！」

私は庭木の外に逃げずにひたすらリューディガーにしか聞こえないくらいの声で彼を呼ぶ。

リューディガーは振り返った。

まるで犬が一ヶ月間出張に出て帰ってきた主人を迎えるように、彼の顔に愛情が広がっていく。

前回のような古い作業服の身なりではなかった。

もちろん、普段の将校服でもない。

今回は平凡な制服姿で存在感を殺そうとしたようだが、やはり失敗だ。

誰よりも目立つ男が私に向かって近づいてきて言った。

「会いたかったです、ユディットさん」

「私もです。ところで、何かあったんですか？」

「はい。ユディトさんにとても会いたかったです」

あ・・・私に会いたかったんだ。

そ、それで終わり？

リューディガーは、馬小屋の視線で私を見つめ、少しも躊躇せず答える。

あまりにも堂々としていたのか、思わず「そうなんだ」と思うところだった。

「いや、会いたい時に来てどうするんですか。これでも秘密通路なのに・・・」

「だから私も数百回我慢して来たのです」

数百回我慢したなんて言うことがないね。

私はリューディガーを気の毒そうに眺めた。

まあ、どうせ来たんだから、余計なことでいざこざをして時間を無駄にするのは嫌だ。

私は満面の笑みで彼を歓迎する。

「でも、お会いできて嬉しいです」

折しも視界にベンチが見えた。

そういえば、元々ここにベンチがなかったと思うんだけど、気のせいかな？

私が走ってきたせいで遅れて追いかけてきたローラが、遠くから私たちを発見する。

私と目が合ったローラはベンチと私たちを交互に見て目をしかめた。

まさかローラが持ってきたのかな？

十分可能性がある。

（やっばりローラだ）

私はローラに親指を立て、リューディガーの腕をつかんでベンチに向かった。

リューディガーはこそこそ私に従う。

私が椅子に座る前に、リューディガーは急いでハンカチを取り出し、私が座る場所に置いた。

こういうのを見ると、本当に礼儀正しく常識的なのに、どうして・・・あんな前後を見ない直進電車男になってしまったのだろうか。

本当に分からなかった。

リューディガーはハンカチだけを敷いて、ぼんやりと私の前に立っている。

私は彼を引っぱって言った。

「一緒に座りましょう」

私の許可が下りると、リューディガーは私のすぐ隣に静かに座る。

ところで、微妙に距離が近い？

あの大きな体が腕が届きそうで届かない距離まで近づいているので、知らないわけがなかった。

「ごほん・・・」

リューディガーも自分があまりにも露骨に行動したと思ったのか、きまり悪そうに咳払いをする。

斜めに回した表情は緊張したように硬かった。

困ったな、こんな姿を見たら虐めたくなってしまう。

茶目っ気のある私はこっそりと、リューディガーの腕に頭をもたげた。

リューディガーの腕はすぐに固くなった。

力が入ったからといって、腕の筋肉が緊張するなんて。

感嘆するほどだ。

私はそっと手を伸ばしてリューディガーの太ももを軽くたたいた。

別に陰険な本音があったわけではない。

ただ私の手が届く一番近いところが太ももだっただけ！

しかし、頭を上げるだけでも緊張していたリューディガーが太ももの接触をそのまま見過ごすはずがなかった。

私は知らないふりをして話を続ける。

「こうして会えて嬉しいですね。そういえばプロポーズ以来初めて会うんですよね？」

「そ、そうです」

リューディガーは言葉を濁した。

「そういえば、プロポーズに関する話もここで一番最初に出たのですが、感慨深いですね」

「そ、そうです」

普段はきちんと返事をしていたリューディガーが故障したかのように同じ言葉だけを繰り返した。

不思議だった私は続けて言葉をかける。

その間何をして過ごしたのか、一体あんなプロポーズはどう思ったのか、他の人たちが手伝ってくれたのか・・・・

最初はずっと「そうです」と一貫していたが、しばらくすると一言ずつ何ともない返事が流れ始めた。

「ユディットさんを思うと、自然と思い浮かんだだけです。すべての人があなたが私のプロポーズを受けたということを知らせたかったんです。そして、ユディットさん、あなたには紫色が本当によく似合います。高貴で優雅な色ですよね」

近況に関して欲しい答えをもらったのに、どうしてこんなに不満足なのだろう？

人の心というのが本当に意地悪で、リューディガーが元気になると、彼を再び慌てさせたいという欲が出たようだ。

久しぶりに恋人に会った人がしそうな考えではないけど。

いいや、リューディガーが慌てたって！すごく珍しいことなんだから！

私はリューディガーをまた当惑させることができるかどうか途方に暮れた。

その時、いい考えが一つ浮かんだ。

「久しぶりに会ったので、お互いに望むことを話してみるのはどうですか？」

「望むことですか？」

「簡単なことでもいいです。お互いについてもっと詳しく知る機会になるのではないでしょうか」

「いいですよ。ただ望むことを言えばいいんですか？」

「う一ん・・・」

私はわざと蒸らした。

そうして思い出したかのように、にっこり笑って提案する。

「これはどうですか？聞いてもらえたらパス。聞いてあげられなかったら、罰ゲームと一緒にゲーム終了！ということです」

「ところで、これは賭けに含まれないのですか？」

私が賭けと言えば、必死になって止めていたことを思い出したのか、リューディガーが尋ねた。

あれは幼いルカが賭けに興味を持って、ギャンブルにハマるんじゃないかと思って。

これは状況が違うって！

自分の合理化を終えた私はずうずうしく答えた。

「もともと恋人同士には賭けのようなものはありません」

「いいですよ。私からやりましょうか」

「恋人」という言葉に浮かれたリューディガーは、素直に私の提案を受け入れる。

私が何の企みを隠しているのか全く気づいていないようだった。

彼は厳粛に話した。

「ユディットさんの服は、今までそうしてきたように、これからも私が選ばせてください」

少しの遅れもないことがまるで準備された言葉のようだ。

いや、私のファッションセンスがそんなに悪いの？

しかし、すでに状況を諦めることはできない。

遠大な欲望があった私は、苦尽甘来を称え、かろうじて答えた。

「いいですよ」

しかし、私だけ困るわけにはいかない。

「私にプレゼントを買ってくる時、両手に持てるだけのものを買ってくる」

今までは使用人たちに頼んで次々と箱ごと蓮んできたが、今度からはそうはできないだろう。

プレゼントの限度が大幅に減ったせいだろうか、リューディガーの顔がくしゃくしゃになった。

リューディガーはしばらくしてうめき声を上げながらうなずいた。

「いいですね」

これで諦めるのは彼もまた早いと思ったのだろう。

どんどん賭け、いや、ゲームの様相はブラッピング戦に変わっていった。

「ユディットさんは私がプレゼントを差し上げた時、問い詰めないように」

「いいですよ。リューディガーさんはプレゼントを買ってくる時、理由を一つずつ教えてください」

「いいですよ。ユディットさんは私と一緒に週末ごとにボール遊びをしてくれる」

「いいですよ」

そのようにしばらくの対話がピンポンしながら進行された。

その間にあまりにも多くの約束が積もり、後には紙にいちいち書いておかなければならないほどだ。

私は引き続き様子をうかがって、時期が熟すのを待った。

ここまで来たら、もういいと思うと、私は意気揚々とした会心の一手を投げた。

「いいですよ。それでは口づけは月に一度だけしてください」

「いいです・・・はい？」

習慣のように「はい」と言いそうになったリューディガーは、後になって私の提案を噛み締めてびっくりした。

「く、口づけをしていいのですか？ところで、月に一度ですか？いや、もちろんキスだけでももったいないけど、でも・・・」