こんにちは、ピッコです。
「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。
今回は127話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
127話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 本当の名前
「私は・・・」
そこでダニエルの言葉が止まった。
彼は躊躇っていた。
私は布団をぎゅっとつかんだ。
何を話せばいいのか。
私が本当にミルドレッドじゃないって?
ある日目を覚ましたらミルドレッドになっていたって?
でも今、私は元々ある人がだったのかはっきりしなかった。
ミルドレッドより幼かったようだ。
もっと年を取って悔しがったのは覚えているから。
しかし、何歳だったのか、どんな人だったのか、家族はいたのかすら覚えていない。
「ミルドレッド、私は何かがあなたに起こったことだと思います」
ためらっていたダニエルが言った。
いつの間にか彼の視線が私に向かっている。
私は布団をぎゅっと握りしめ、目を見開いて彼を見た。
「アイリスに聞いたところ、あなたは持病のようなものはないと言っていました。急に倒れたり、今日のように体調が悪くなることは、今年に入って起きたことです」
ダニエルは正しいのかというように私を見たが、私は何も言えなかった。
そうだ。
私は・・・ミルドレッドは持病のようなものがなかった。
それほど元気だとは言いにくかったが、前回のように急に倒れたこともない。
「アイリスが知らないこともあります」
私の口からかすれた声がした。
私はまっすぐに腰を立ててダニエルを見ていた。
私にできることは、声が震えないように努力することだけだ。
しかし、何の役にも立たなかった。
ダニエルは私の方を向いて低い声で尋ねる。
「本当に?」
「・・・」
私は唇をかんだ。
どうして分かるのだろうか。
単純な推測でそこまで考えたというのは話にならない。
ふと彼が私が怒るだろうと言ったのを思い出した。
私は目を細めて尋ねる。
「これが私が怒ると思った話ですか?」
ダニエルの顔には苦笑いが浮かんでいた。
「いいえ」
「それでは何ですか?」
「あなたに起こったことに私の責任も一部あるという話です」
どうやって?
私は胸の前で腕を組んでベッドのヘッドにもたれかかる。
ずっと話してみて。
ダニエルは私の態度に目を落とした。
そしてまた顔を上げて言った。
「この国は英雄ジェダがベラの助けを借りて建てたのです」
私も知っている話だ。
説話や神話に近い話ではあるけれど。
英雄ジェッダの願いを聞いた妖精ベラが彼の前に現れる。
ベラは人々を助けるのを手伝ってほしいというジェダの要請を聞き入れ、2人は国を建てるに至る。
そして時間が経って年を取ったジェダは、ベラと一緒に妖精の国に旅立ったという。
去る前、ベラはこの国に妖精の加護を与えたという。
切実に祈れば妖精が現れて願いを叶えてくれると。
そのためか、歴史的に危険な瞬間に妖精が現れて願いが叶ったというエピソードもかなりある。
「その後、ベラが加護を下して妖精の国に旅立ったということもご存知でしょう?」
知っている。
私はうなずいた。
ダニエルは私が知っていることを示すと、少し安堵した表情で再び口を開く。
「その加護を守る妖精が一人ずつこの国に存在することになります」
「ちょっと待って、ベラは妖精の国に旅立ったのでは?」
「ベラが妖精の国に発つ時、ほとんどの妖精が一緒に去りました。しかし、加護を守るために妖精が一人残ったのです」
だからこの国にはベラ以外にも他の妖精たちがいたということになる。
確かに、だからその時期に伝わる話の中に妖精に助けられた話がたくさん混ざっているのだろう。
すでに死んだ恋人の遺体のそばで倒れて泣いている女性に妖精が現れ、恋人を蘇らせたという話もある。
モンスターの侵略を受けて致命傷を負った商人を妖精が治療してくれたという話もあるし。
全部、地域も時期も勝手だった。
そして最近になって妖精の話がぐんと減った理由が、すべての妖精がベラについて妖精の国に行き、一人だけが残っていると言えば理解できる。
私は分かったという意味でうなずきながら聞いた。
「その妖精がまだこの国に残っているというのですか?ベラの加護を守るために?」
「いいえ。彼女はもう去りました」
じゃあ、何?
その妖精が去ったとしたら、ベラの加護はどうなったの?
私はしかめっ面をしてダニエルを見る。
ふと彼がこの話をなぜするのか気になった。
まさか私がミルドレッドの体に入ってきたのが、妖精の力のため?
でもとうして?
私がミルドレッドになって変わったことは何があるかな?
一番最初に思い出したのはアシュリーだ。
アシュリーが妖精にミルドレッドを変えるように頼んだのかな?
それで私がミルドレッドになったの?
では、本物のミルドレッドはどうなったの?
複雑な考え方のせいか、頭が痛くなってきた。
私は額を指しながらダニエルに聞いた。
「妖精が去ったとしたら、今この国には妖精がないってことですか?」
「いいえ。彼女の子供が残っています」
「妖精の子のことですね」
この前、アシュリーも話した。
金髪に金の瞳を持っていると。
私はそれがただの妖精ではないかと言った。
ふと金髪と金眼のダニエルが思い浮かんだ。
そういえば、彼が金髪の金眼の姿をしているのを見たことがある。
数ヶ月前に城で開かれた仮面舞踏会で。
まさか・・・。
私は頭の中に浮かんだ考えにびっくりしてダニエルを振り返った。
彼は私の秘密を知っていると言った。
この家に何かが起こったことも知っていた。
それがフレッドの遺体を発見したという手紙が到着した後だということも知っていた。
私をミルドレッドに変えたのがダニエルなの?
彼がそんなことができるだろうか?
「まさか」
ダニエルにあなたがそうしたのかと聞こうとした瞬間、ウィンという幻聴が耳元に聞こえ始める。
私は両手で頭をついて目を閉じた。
「ミルドレッド」
ダニエルが私に近づいてくるのを感じた。
私は呻き声をあげる。
耳元に響く幻聴がますますひどくなった。
彼は私の手を取って切迫して言った。
「あなたの本当の名前は何ですか?」
その瞬間、私の手が彼の手を振り払おうとした。
私の意志ではない。
しかし、幸いダニエルは私の手をしっかり握っていた。
幻聴が,彼の声を遮ろうとしているかのように酷くなる。
「ミルドレッド、お願いします」
耳元に響く音の向こうからダニエルの声がちらほら聞こえてきた。
頭を何かがちくちく剌すような苦痛も加わり、私は布団の上にうつぶせになって息を切らした。
私の名前?私の名前は何だっけ?
思い出せなかった。
私はうめき声を上げながらダニエルの手をぎゅっと握る。
何が起こったの?
急に怖くなった。
同時に手に持ったダニエルの手がひんやりと感じられる。
「ミルドレッド」
「わ、私はミルドレッドではありません」
息を吐きながらそう言った瞬間、頭痛が消えた。
私は驚いてダニエルを見た。
耳元に響く「ウイン」という音は相変わらずだったが、刺すような頭痛はまるでなかったかのように消えた。
「あなたの名前は?」
ダニエルは輝いているように見えた。
明るいのではなく、何か危なげに輝いていたというのが問題だけど。
いつの間にか彼の茶色い髪と茶色の瞳は金髪と金眼に変わっていた。
私は彼の手を握ってダニエルをじっと見つめる。
「名前です。お名前をおっしゃってください」
ダニエルがそう言った瞬間、私は自分の名前を思い出そうと努力した。
しかし、覚えていなかった。
私の名前は何だっけ?
私って元々どんな人だったっけ?
名前はもちろん、見た目すら覚えていなかった。
確かに携帯電話の自撮りモードで顔を何度も見たことを思い出す。
しかし、そこでも私の顔だけは覚えていなかった。
「わ、分かりません」
私がそう言った瞬間、ダニエルの顔が暗くなる。
彼はため息をついて頭を下げ、再び私を見た。
そして罪悪感がこもった表情で話した。
「ごめんなさい」
「何がですか?」
「私にできることはこれだけです」
何を言っているのか分からない。
私が眉をひそめると、ダニエルは再びため息をつき、エンドテーブルの上に置いた空のコップを手に取る。
そして、コップを私に差し出しながら言った。
「飲んでください」
これは薬が効いたものじゃん。
それにあなたがさっき窓の外に空けてしまったし。
そう思った瞬間、私はコップの中に澄んだ水が入っていることに気づいた。
これはどういうこと?
戸惑いながらコップに口を当てると、冷たい水が口の中に入ってきた。
「もう少し早く気づくべきでした。私の間違いです」
ダニエルは水を飲んだ後、私からコップを受け取りながらそう言った。
一体彼が何を言っているのか分からない。
私は目を細めて尋ねる。
「何を言ってるんですか?私をミルドレッドにしたのはあなたではありませんか?」
「いいえ」
いつの間にか耳元で嗚っていた「ウイン」という幻聴が小さくなっていた。
少し気になったが、ダニエルの声が聞こえないほとではない。
そしてダニエルの髪色と目の色も元に戻った。
私は彼の外見の変化に驚き、口を開いた。
そういえば、仮面舞踏会の時も金髪の金眼が本物かもしれないと話していた。
「あなたが妖精だというのではないですか?」
私は少しほんやりと聞いた。
今、これはどういうことだろう。
現実感が感じられなかった。
幻聴や頭痛のためでもあり、あまりにも話にならない話を聞いたためでもある。
ダニエルが妖精の子供だなんて。
一番最初に思い出したのは、本当に似合わないということだった。
妖精というのは美しくてか細いそういうものじゃなかったの?
もちろんダニエルは美しいけど。
ますます謎は深まるばかり。
主人公をミルドレッドに憑依させたのはダニエルではない。
けれど、ダニエルは自分の過ちだという。
真実は?
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