こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は38話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
38話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 母親として③
レイシスを落ち着かせたアンジェリーナは、その日息子が眠るまで一緒にいた。
アンジェリーナは目を伏せて眠っている息子を見つめる。
乱れた白い髪の毛、色素の薄い長いまつげ、血の気のない青白い顔。
12歳の息子はいつの間にか大きく育っていた。
その一方で、まだ赤ちゃんのようだった。
静かに近づいてきたシアナが言った。
「皇子殿下が今日は早く眠れましたね」
レイシスはいつもなかなか眠れなかった。
ベッドの上で寝返りを打ち、朝が近づいた夜明けになってようやく寝たりした。
アンジェリーナは眉をひそめて言った。
「ええ、すごく疲れてたみたい。何時間も文句を言い続けたから」
アンジェリーナはかわいそうな顔でレイシスの髪をかき上げる。
「何がそんなに頭にきたの?」
返事のない息子を見つめながら、アンジェリーナが話し続けた。
「実は、私はさっき駄目だと思った。レイがあんな風に怒った時はどうしても
落ち着かなかったから」
自分の励ましと声にレイシスが落ち着くとは思わなかった。
本当に。
複雑な顔でレイシスを眺めるアンジェリーナに向かってシアナが話した。
「皇子殿下が普通の人と違うとしても、お二人があまりにも長い間離れていても、きっとご存じなのです」
「・・・」
「この人が自分の母だという事実を」
「・・・そうなのかしら?」
アンジェリーナは震える声で問い返す。
確信できない声には、「そうしてほしい」いう切実な願いが込められていた。
シアナは身だしなみを整える。
アンジェリーナ皇妃宮に行くためだった。
部屋を出たシアナは目を大きく開ける。
ひらひらとする帽子をかぶったアリス、ニニとナナが慌ただしく動いていたからだ。
何事かと思って見つめるシアナに向かってアリスが鼻を高くして言った。
「宮内にあるバラ園にピクニックに行ってくるわ」
アリスの両脇に立った二ニとナナが巨大なピクニックバスケットを持って言った。
「サンドイッチと果物、クッキーをたっぷり盛ったクリニック弁当を作りました」
「芝生の上でごろごろすることができる色とりどりのごさも」
「日光の下で読むとびったりの絵本も持ってきました」
「本当に楽しいでしょう!」
シアナは歌うように言葉を交わした2人を見て笑う。
初めて皇妃宮を出入りし始めた時、シアナは2人に申し訳ない感情があった。
自分の役目をきちんと果たせなかったからだ。
しかし、そのたびに二二とナナは目を輝かせながら言った。
『全然すまないと思わなくてもいいです』
『シアナが忙しいおかげで、お姫様が私たちのものになったからです』
二人の話はいい加減な話ではない。
シアナの代わりにアリスにくっついて全てを共にする二ニとナナは本当に幸せそうだった。
「そよぐピクニック用のドレスを着たアリスお姫様とは。本当にきれいだよ」
「サンドイッチをばんと噛む姿も、小さなウサギのように可愛いでしょう」
悦惚とした顔をした二ニとナナを眺めながら、アリスは「ふぅ」とため息をつきながら首を横に振る。
「いずれにせよ、どちらも馬鹿げているわ。私が綺麗なのは事実だけど・・・」
シアナはその姿を見て笑い出した。
そんなシアナに向かってアリスが目を伏せる。
「だからといって、私がうまくやっているようだと思っているのなら、誤算だから。私今ものすごく我慢してるんだよ。皇妃を助けることさえ終われば、私と一日中遊んでくれることを忘れないでね!」
「もちろんです」
シアナがうなずくと、アリスはやっと満足したように顔をほぐした。
「それならいい。早く行ってきて」
「はい、お姫様も楽しい時間を過ごしてきてください」
シアナはアリスにあいさつし、ルビ一宮を出る。
心配は少しもならなかった。
アリスは心から二二とナナと一緒にいる時間を楽しんでいたからだ。
時にはシアナと一緒にいるより好きなように見えたりもした。
(少しも残念に思わないなら、嘘だけど幸いだよ)
シアナはアリスが強く大きくなることを望んでいたから。
少なくとも皇族なら、一介の侍女一人に振り回されてはいけないことだ。
「・・・と思うのですが」
シアナは自分の前に立っている男を驚いた顔で見た。
朝の日差しに銀色の髪をきらめく美しい男は皇太子ラシードだった。
ラシードは目を輝かせながら笑う。
「ようやく顔を見れたね、シアナ」
「・・・」
ラシードの宮殿はルビ一宮殿からかなり離れた場所にある。
ラシードがルビ一宮殿の前に立っているのは偶然ではなく必然だという話だ。
ラシードはそれを隠さずに言った。
「ルビー宮に遊びに行ったのに君が見えないし、しかも」
「・・・」
シアナもその事実を知っている。
この週、なんと3回、ラシードはルビ一宮を訪れたのだから。
二二とナナがシアナに取り憑かれたような顔で言った。
『皇太子殿下のお顔がとても美しく、目が見えなくなるところでした。さすがお姫様のお兄様でしたね!』
『ところが、その美しい方が来てすぐにおっしゃった言葉が「シアナはどこに行ったの」でした。キャー!』
そっくりな顔で言い争っていた二人を思い出し、シアナは思った。
(とにかく私に別に訪ねて来なさいという言葉は残さなかったから大したことないと思ったのに・・・)
「申し訳ありません、殿下。私におっしゃりたいことでもありましたでしょうか」
「いや」
「じゃあ、なんで・・・」
ラシードは目を優しくなびかせて言った。
「ただ、会いたくて」
「・・・」
春色のように笑うラシードと、氷のように固まってしまったシアナ。
相反する2人の間に挟まれたのは、皇太子の護衛騎士のソルだ。
ソルはどうにかしてこの荒唐無稽な状況を整理しようとするかのように大きな声で話した。
「皇太子殿下!そんな悪ふざけをすると、純真な侍女様が困ってしまいます」
「悪ふざけじゃないんだけど・・・」
上答えようとするラシードより、ソルがワンテンポ速く話し続けた。
「正直に言ってください。数日前に到着した新しい茶葉を、シアナさんに作ってほしくてお越しになったんですよ」
「そうなんですか?」
シアナの質問にラシードは微妙な顔で答える。
「まあ、それもあるよ」
「・・・」
シアナは好きなように考えることにした。
(だから私が滝れてくれたお茶が飲みたくて私に会いたがっていたの?)
それでもその方が話になる。
皇太子がたかが侍女一人に会いたくて訪ねてきたというよりは、ずっと。
(このまま別れたら、また来るよね?)
また、このようなやり方で道端で自分を待つのは遠慮だった。
それでシアナは素早く言い出す。
「少し時間に余裕があります。皇太子殿下がお望みでしたら、今お茶を一杯お出ししてもよろしいでしょうか?」
「本当に?」
ラシードの紫色の瞳が輝く。
まるで数日間狙っていた骨を取った犬のように。
アリスと双子の関係も良好ですね。
そして唐突に現れたラシード。
彼が訪れたのは、本当にシアナに会いたかっただけ?
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