こんにちは、ピッコです。
「夫を味方にする方法」を紹介させていただきます。
今回は197話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
死ぬ前に読んでいた本の中の悪女ルードべキアに憑依してしまう。
前世では養子となった家族から虐待を受けていたけど、ルードべキアも同じような境遇だった…。
しかも父によって政略結婚させられた北部最高の冷血な騎士イースケは原作で自分を殺すことになる夫だった!
小説の内容をすでに知っているルードべキアは、生き延びるために夫を愛する演技をするが…
ルードベキア:ルードベキア・デ・ボルヒア。本作の主人公。愛称はルビ。
イースケ:イースケ・バン・オメルタ。ルビの結婚相手。愛称はイース。
エレニア:エレニア・バン・オメルア。イースケの妹。愛称はエレン。
フレイヤ:フレイヤ・バン・ピュリアーナ。イースケの幼馴染。
ボルヒア:教皇。ルビの父親。
チェシアレ:チェシアレ・デ・ボルヒア。長男
エンツォ:エンツォ・デ・ボルヒア。次男。
ローニャ:ルビの専属メイド
197話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ちび王子様の夏⑥
私もまたワナワナ震えていた。
終わった。
終わったのだろうか?
「みんな、これは一体……」
「・・・うわああ、逃げろ! 馬尻のおじさんだ!」
「何だって?!」
その瞬間、私たちは馬尻おじさんの脚の間をすり抜けて、一斉に逃げ出した。
後ろからおじさんたちの狂ったような叫び声が聞こえた。
私たちは道を背にして、ひたすら茂みの中へ駆け込んだ。
そして暗い森の中、どこに向かうでもなく走った。
巨大な木の根元を越え、岩を乗り越え、私たちの背丈ほどもある茂みや水辺をかき分けて進み・・・。
「・・・うわあああ!」
「ねえ、アリョシャ?!なんで・・・あああ!」
「ぎゃああ!」
どこから飛び出してきたのかわからない何かが、私の足首をガシッと掴み、その勢いで無様にひっくり返ってしまった!
私の悲鳴を聞いて振り返ったユリも、突然おかしな体勢でひっくり返る。
同時に後ろからダニルが叫び声を上げた。
一瞬、私たちが何かの罠や、オオカミのようなものに引っかかったのかと思ったが、違った。
「ぎゃああああああ!」
短い足を動かしながら姿を現した何かが、私たちを引っ張り始めたのだ。
その勢いで悲鳴が狂ったように飛び出した。
足をじっと見てみたが、あまりに速すぎてどうすることもできなかった。
茂みが顔をかすめるたびに熱くなり、声を上げたい気持ちと吐きそうな感覚が交互に押し寄せた。
今や私たち全員の服はめちゃくちゃになり、何かの生物にやられてしまったような状態になってしまったが、服の心配をしている余裕などどこにもなかった!
私たちの叫び声と後ろから聞こえるおじさんたちの叫び声が混じり合い、ものすごく騒がしい状況だった。
しかし、おじさんたちの声はすぐに遠ざかってしまった。
「これ、何なのああああああ!」
「わからないよおおおお・・・!」
突然、砂漠が夜になったかのように真っ暗になり、私たちを無理やりの速さで引っ張っていた何かが急に止まる。
ほんの一瞬、私が勇気を振り絞って、背中に絡みついていた奇妙な生き物に手を伸ばそうとしたが、その前にそれが再び激しく動き出した!
「うわあああああああ!」
瞬く間に周囲が再び明るくなり、今度は体が宙に放り出された。
大きな木々よりもはるかに高いところまで、青い空に向かってどんどん飛び上がった。
そして、その奇妙な生物にしがみつかれていた足がいつの間にか自由になったことに気づいた瞬間、私たちはそのまま真っ逆さまに下へと落ちていった。
とても短い時間だったが、多くの考えが渦巻く中、宙を舞っていた。
まるで湿ったチーズの塊のように・・・。
もしこのまま死んで発見されたら、大人たちは何て言うだろう?
少し悲しみながらも「いつかこうなると思ってた、あの生意気な子たち」と言いながらため息をつくかもしれない。
それとも、この前私がピョドルトたちと喧嘩したときみたいに、お母さんとお父さんが言い合うかもしれない。
そのとき、誰が最初に「あなた、一体どういう人なのよ」と叫んだかは覚えていない。
お互いに怒鳴り合いになるかもしれない。
お母さんとお父さんが喧嘩するのを見たことは一度もないけれど、それでも私のせいで二人が喧嘩すると想像すると悲しくなる。
どうか今回だけは助けてください、と神父さんに祈ろうと思ったそのとき、突然お尻がひんやりして何かにぶつかって粉々になった。
耳がどうしてこんなにぼんやりしているのかと思ったら、私たち全員が一斉に同じような悲鳴を上げていたことに気がついた。
すぐに悲鳴が止んだ。
すると今度は鼻をつままれた。
ここは一体何だ?茂みの中なの?
私は体勢を立て直しながら腕や脚を振った。
「おい!みんな、大丈夫か?」
「・・・あ、アリョシャ?!どこだ?!」
「ユリ?!私はここだよ、ここ!」
「ちょっと待ってて、私のライバルよ!今すぐ助けてあげるから!」
後でわかったことだが、ユリが私を助けるためにしたことというのは、地面に散らばった枝や葉を払っただけだった。
それでもユリはかなり複雑な表情をしていた。
とにかく、生き延びて良かった。
「大丈夫?」
「うん。ここは一体どこだ?」
「わからない。」
私たちは慎重に立ち上がり、周囲を見渡す。
こんな景色は本当に初めてだった。周りはまるで大きな何かにひっくり返されたかのように枝葉と地面が入り乱れていたが、そのおかげで私たちは湿ったチーズの神様に出会ったような気分だった。
頭上には崖のようなものが見え、片側にはかすかに虹がかかった水しぶきが、私たちがいる場所を通り過ぎて落ちていった。
「ダニルは?」
「向こうだ。でも、呼んでも反応がない。」
ダニルは少し離れた場所で背中を丸めて座り込んでいた。
どこか痛むのだろうか?
倒れないように必死に耐えながら近づくと、突然、すすり泣くような音が聞こえた。
どうしてこうなるのか、私たちよりたくさん食べているはずのパンはどうしてこんなに簡単に崩れるのだろう?
「おい、何があったんだ?」
「・・・なくなった。」
「何が?」
「時計がなくなった。」
すすり泣きながら振り返るダニルの顔は、しばらくの間、茫然としていた。
そこへ、ため息をつきながらユリが冷たく問いかけた。
「どんな時計?まさかお父さんの会議用の時計のこと?」
「それ以外に何があるっていうんだ、この馬鹿者!」
ダニルが怒りを込めた声で叫んだ。
ユリも負けずに冷静に応じた。
「人間だって間違えることもあるでしょう!なんでそんなにイライラしてるの?その時計ひとつ失くしたぐらいで、大ごとだと思うの?」
「どうしてこれが大ごとじゃないんだ?お前らはそんな風に言えるかもしれないけど、俺は違うんだ!」
「それでどうするの?最初からこっそり持って来るのをやめておけばよかったじゃない、この意気地なし!」
もしも、私たちの中で自分の父親の時計を盗んでしまった愚か者がユリだったら、彼女はそんなことを大ごとにしなかっただろう。
校長先生はたまに愚かに見えても、あまりそんなことで怒る人ではないからだ。
たとえそのことが明らかになったとしても、大して咎められることはなかっただろう。
お父さんお母さんは、普段は寛大だが、疲れているときはお母さんを連れ去ろうとしたりすることがある。
そんな風にいつも穏やかに対応する人ではないからだ。
正直、今、大事な荷物を一つ失くしたことよりも、私たちの冒険が台無しになった事実のほうが大きな問題だった。
馬尻のおじさんが私たちを見捨ててしまったので、ここが一体どこなのかもわからない。
服もボロボロで、喉も渇き、お腹も空いていた。
それなのに、ユリとダニルは疲れることもなくずっと言い争っていた。
「全部お前のせいだ!」
「この卑怯者め、ついて来るって言ったから連れてきたのに、今さら私たちのせいだって?もういい、お前一人で家に帰れ!これからは一緒に遊ばない!」
家に帰りたくても帰る方法を知る必要があるのではないか?
私は二人に「もういい加減にして」と叫ぼうとしたが、その時ダニルが突然ワッと泣き出した。
そのせいで、怒りに満ちていた雰囲気が少し和らいだ。
ユリはなぜかさらに腹を立てたようだった。
「なんでまた泣くの!いい加減に大人になって、恥ずかしくないの?!」
「もう、家には帰れない!いや、帰らない!」
「え?なんで?」
ダニルは涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、「どうせ誰も自分を探してくれないし、自分がいなくなればみんな喜ぶんだ」と、訳の分からないことを言い始めた。
ただ一人でいるのが怖いからそう言っているのではないかと尋ねても、返事はなかった。
代わりに、「自分がこんなに失敗したことを知れば、お父さんは自分に対して怒鳴り散らすに違いない」と言いながら、戻る気はないと主張した。
時計を少し失くしたくらいでそんなに大きな罪になるのだろうか?
私は理解が追いつかず、ユリのほうを見てみた。
ユリは腕を組み、まるで大人ぶった口調で吐き捨てた。
「あれは単なる失敗じゃなくて過ちよ。」
「盗みは過ちだろう!お前もさっき俺のことを泥棒だって言ったじゃないか!」
「あれはただの冗談だって言ったじゃん、馬鹿!それに、子供が親の物を触ることは犯罪じゃないし!」
「そう、それで全て終わり!でも、これは自分の罪になるんだ!」
とても理にかなった話のように聞こえたが、ダニルは自分の失敗が大きな罪になると思い込んでいた。
それから、みんなが自分のお父さんに告げ口すると決めつけて、そんな状況で彼が激怒するのが目に見えていると言い張った。
腕を振り回し、顔を赤くしながら、汗だくになるまで語気を荒げていた。
誰がどう告げ口をするのかはともかく、なんだか自分まで気まずい気分になった。
「いい加減にして!みんなでちゃんと話せば何の問題もないよ。だって、君の両親も僕たちの味方なんだから、違う?」
強気で言ったユリが、なんとも言えない表情で私を見た。
私は目を泳がせた。
そんな考えをするなんて、自分でも納得できるけれど、少し戸惑ってしまった。
友達の両親が自分を味方してくれるとは限らないというのが問題だった。
さらに、校長先生やダニルのお父さんがお母さんの言うこともあまり聞いていなかったようだ。
そんな話題の中で、いつもお父さんお母さんどちらかが「暴君」と呼ばれていた。
私も暴君になるべきだろうか?
正直、暴君が何を意味するのかよくわからない。