こんにちは、ピッコです。
「ジャンル、変えさせて頂きます!」を紹介させていただきます。
今回は136話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
136話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 新婚生活
床に砂利が少し積もった程度の規模で壮大な結婚式が終わり、ついに初夜を迎えることとなった。
この初夜をどこで過ごすのかについても議論が絶えなかった。
新婚夫婦の宿泊地はリラニベルなのか?
それともヴィンターヴァルト家のタウンハウスか?
それでもなければ王宮か?
しかし、先王が強く反発した。
「いやいや、結婚しておいて次の日に挨拶もなしで文句を言わせるつもりか?おい?まるで盗賊みたいに連れ去る気かよ?」
選択肢は一つずつ絞られていった。
それならば結婚式を王宮で行ったのだから、ヴィンターヴァルト家のタウンハウスを初夜の場所に選ぶのが良いのではないかという意見が出た。
当然ながら先王はこれにも反対した。
「王宮が何だっていうんだ!それでもレンバート王宮の別館は他国でも美しいと有名なんだぞ。そこに新居を構えればいいだろう!」
先王は自分が多くのことを譲歩してきたと主張し、リューディガーを容赦のない強情な男だと批判しながらその場を去った。
もちろん、リューディガーは全く気にしていなかったが、私は気を使わざるを得なかった。
どうせなら夫として嫌われるよりも、好かれるほうが良いに決まっている!
そう結論付けられる話だから。
(新婚旅行が生まれた理由がよく分かったわ。)
結局、私たちは王宮で初夜を過ごすことになり、先王が自慢していた別館へと向かうことに。
白い大理石の柱は月光を受けてキラキラと輝き、部屋にはほのかな花の香りが漂っていた。
(ベッドが大きすぎるのよね、本当に。)
私は部屋に置かれたベッドをちらりと眺めた。
それは単に眠るための場所というより、何か広大な舞台のようにさえ見えた。
端から端まで一巡するだけでも、途方もない広さを感じてしまう。
その非現実的なスケールに圧倒されて、私は思わず息を呑んだ。
さらに、照明は妙に控えめで、大きな板を倒すような音が響きそうなほど重厚だった。
私はその場の雰囲気に圧倒されて、落ち着かず部屋の中を見渡している間、リューディガーは部屋の片隅で不安そうに突っ立っていた。
どうしたらいいのか分からないような、不器用な様子だ。
そしてその表情にほんの少しの緊張が滲んでいて、彼の普段の無表情さが少しだけ崩れているのが分かった。
私の服を選んだり、装飾品を選ぶようなことには驚くほど慣れているリューディガーだったが、こういった状況においては途端にぎこちなくなり、私を戸惑わせた。
私はそんな彼の態度に少し微笑みを浮かべながら、最大限自然に見えるよう努めてベッドに近づいた。
ベッドのそばに立った私は、リューディガーに向けて軽く笑顔を見せた。
「それで・・・私に見せるために運動してきたんですか?」
「・・・はい。」
リューディガーは何かに夢中になったようにぼんやりとした表情で、少し口ごもりながら答えた。
その素直な態度に、思わず心が温かくなった。
私は自然体を装いながらも、どこかからかうような調子で言った。
「準備ができたなら見せてください。」
「え、今ですか?」
「ええ、今でなければいつです?」
「分かりました。ただちにお見せします。」
私の目尻がわずかに上がったのを察知したのか、リューディガーは慌てて立ち上がり、ジャケットのボタンに手をかけた。
勢いよくジャケットを脱ぎ、そのままシャツのボタンにも手を伸ばし、次々に脱ぎ始めた。
そして・・・薄暗い雰囲気の中、リューディガーの引き締まった体つきが浮かび上がった。
もともと整った顔立ちも手伝っているのだろうか。
影が彼の表情に深みを与え、その姿をより一層際立たせて見せていた。
まるで白黒写真のモデルのような雰囲気に、一瞬だけ見惚れてしまった自分に気づいた。
だめ、だめよ。
私は急いで冷静さを取り戻し、少し強めの声でリューディガーに言った。
「暗くてよく見えませんね・・・もう少し近くに来ていただけますか?」
「もう少し・・・本当ですか?」
「ええ、もう少し。」
そうして一歩一歩近づいてきたリューディガーは、すぐ目の前までやってきた。
私はまだ服をしっかりと着込んだまま、リューディガーだけをしっかりと観察していた。
その様子が、自分があまりにも傲慢で横暴に見えるのではないかと思ったほどだった。
(でも、まあいいじゃない!こういうのは最初に勝手気ままに振る舞う人が勝者なんだから!)
私はそんな言い訳にもならない理由を自分に言い聞かせながら、リューディガーを見つめ続けた。
腰を引き寄せられて、リューディガーの体が目の前に迫った。
彼の胸板がまさに私の鼻先にあり、その逞しい背中が視界いっぱいに広がっていた。
(下から見上げると、本当に・・・胸板が広いわね。)
私は呆然と彼の胸を見つめた。
張り詰めた胸の筋肉からはっきりと浮き出た筋が、腹筋へと続いている。
いつもその体に抱きしめられるときに感じるその硬さを想像していたけれど、想像以上のものがそこにあった。
私は思わず身を乗り出し、知らぬ間に口を開いた。
「触っても・・・いいですか?」
「ユディットさんのものなので、もちろんです。」
リューディガーの返事には少し困惑したような色が混じっていた。
それも当然だ。
この体は、ただ運動したくらいでは手に入らないものだったからだ。
前世ではこんな体を得るためには、副作用に苦しみながらステロイドを投与するような努力が必要だったのに、この世界にはそんな薬すら存在しなかった!
(そうよ。副作用もない、実直な鍛錬で作り上げられた体が一番よね。)
私は感嘆せずにはいられず、慎重に彼の体に触れた。
私は腹筋に向かって手を伸ばす。
私の手は彼の腹部を滑り、その見事に割れた腹筋の筋をなぞり、やがて彼の胸に触れた。
胸筋は想像通り硬く、どんなに力を入れて押しても少しも沈む気配がなかった。
私はしばらくその胸筋を撫でながら感嘆していると、リューディガーがそっと息をつき、目を逸らした。
「・・・うん。」
「変ですか?」
「恥ずかしいです。」
「恥ずかしい?」
リューディガーが恥ずかしいと言うなんて。
何がそんなに恥ずかしいのかと戸惑う私に、彼はうつむきながら控えめに言った。
「ユディットさんが不満を感じているのでは、と思いまして・・・。」
こんな素晴らしい体を持っていて、不満を感じるなんてとんでもない。
むしろ、感動して大満足です!
私は積極的にその思いを伝えることにした。
「本当に、リューディガーさんの体は素晴らしいですね。」
「大丈夫ですか?」
「はい。私が見た中で、最高の男性ですよ。」
「光栄です。」
リューディガーがぱっと笑った。
その笑顔には本心からの満足感が滲み出ていた。
どうしてそんなに嬉しそうなのだろうか。
他の男性と比較されることが気に障ったのではないかと思ったが、彼は自分への自信が溢れているためか、特に気にしている様子はなかった。
さて・・・そろそろ本題に入ろうか。
私は悪戯っぽく微笑みながら、彼の胸筋に手を置き、そこからゆっくりと指先を滑らせた。
指先はそのまま腰のラインに到達し、私は彼の腰帯を軽く掴みながら微笑みを浮かべて言った。
「体は確認しましたので・・・次は他のことも確かめてみたいですね。」
そう言って私はそのままリューディガーの腰を掴んでベッドの方へと引き寄せた。
本来であれば、私の力だけで彼をベッドに押し倒すのは不可能に近いことだった。
しかし、私の意図を察したリューディガーは、全てを委ねたように私の動きに従い、そのままベッドに身を沈めた。
大柄な彼が沈み込むその勢いで、ベッドが少し揺れた。
自分のベッドだったらマットレスの状態が気になるところだったが、今日は一夜限りのベッドだし気にすることもないだろう。
そもそも最初からこんなに大きくて広いものを用意してくれたじゃないか?
私はベッドに横たわるリューディガーの体に身を寄せた。
リューディガーは私を引き寄せながら、まるで忠実な臣下が誓いを立てるような真剣な顔で答えた。
「ユディットさんのご期待に応えられるよう、全力を尽くします。」
その様子に私はほほえみを浮かべた。色々と期待が高まる夜だった。
期待以上、いや、それ以上の夜だったと言っても過言ではない。
例えるなら、命を懸けた戦地へ向かうくらいの緊張感を伴った夜だった。
最初は何をどうすればいいのかも分からず、少しぎこちないところもあったが、そんな不慣れさが逆に新鮮で微笑ましかった。
しかし、その新鮮さも長くは続かず、最後には私のほうが圧倒されるほどだった。
学びの速さもさることながら、その体力もどれほどのものなのか・・・私も体力では負けていないつもりだったが。
考えてみると、軍人を甘く見ていたようだ。
疲れ果てた私が「もうやめて」と懇願しても、彼は涙目になりながらも未練たらたらな視線を私に向けるばかり。
はあ・・・。
遅れて覚えた楽しみのために時間を忘れるとは、まさにそれだった。
彼はまるで初めて運転ハンドルを握った人間のように、自分の限界を試すかのように全力で突っ走っていた。
燃料(体力)も十分に満たされており、勢いも申し分なかった。
あとは燃料が尽きるまで待つだけだったが・・・。
(その前に私が死ぬ、死ぬわ。)
そんなふうに夜通し振り回された私は、夜明けに聞こえた鶏の鳴き声で目を覚ました。
運動部の生活が長かったせいか、体がどれだけ疲れていても簡単に目が覚めてしまうのだ。
ぼんやりと差し込む朝日を見ながら、少しの間じっとしていた。
おそらく、普段起きる時間を二時間ほど過ぎた頃だっただろう。
ふと後ろを見ると、私を後ろからしっかり抱きしめているリューディガーが、深い眠りに落ちているようだった。
起きたのか、ベッドから起き上がったのか、それともまた眠りに落ちたのかはわからない。
ただずっとその状態でいる彼を見て、私はリューディガーにそっと話しかけた。
「もう起きないといけませんよ、リューディガーさん。」
「嫌です。」
「おや。」
「ずっとユディットさんにくっついていたいんです。」
リューディガーはまるで拗ねたような声で言った。
朝陽が降り注ぐ中、その言葉に戸惑う私がいた。
光の下で彼の存在は一層、眩しく圧倒的だった。
「まだ信じられません。」
「昨日の夜、信じられないって何度も確認したじゃないですか。それでもまだ納得できないんですか?」
私は小さくため息をついた。
昨日のリューディガーに振り回されたことを思い出し、この男性にはどれほどの欲求があるのかと呆れるばかりだ。
それでも彼は、私の心を察するどころか、腕に力を込めて私をさらに引き寄せ、頑固に言い放った。
「新婚夫婦が多少遅く起きたとしても、誰も不思議には思わないでしょう。」
「不思議には思わなくても、邪魔にはなりますよ。」
「起きて!朝だよ!」
「・・・わかりました。」
ときおり、部屋の扉の向こうから聞こえてくるルカの叫び声に、リューディガーの顔がわずかに曇った。
「まさか、ルカが毎朝こんなふうに押しかけてくるわけではないでしょうね?」
「これが、長男がいる家で次男を持つのが難しい理由です。時と場合を考えず、長男が押しかけてくるのを止めるのは簡単ではありませんから。」
私は肩をすくめた。
とはいえ、ルカが朝から押しかけてくることは予想外だった。
しかし、彼の行動パターンをこれまで見ている限り、全くの予想外というわけでもない気がした。
私たちが小声で話している間に、ルカは待ちきれない様子で再び大きな声を上げた。
「まだ起きてないの?一体いつ起きるつもりなんだ!」