こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
62話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 犯人は誰?③
チュチュは研修期間を終え、正式な侍女となった後、グレイス皇女の宮殿に配属された。
正確に言えば、皇女の宮殿でチュチュの世話を任されることになったのだ。
侍女として正式に任命されたばかりの下級侍女が、特にこれといった裏付けもなく皇女の宮殿に配属されるなど、奇跡に等しいことだった。
チュチュは茶色の制服を身にまとい、幸せそうな表情で宮殿に向かう。
「侍女チュチュ、挨拶申し上げます。一生懸命勤めます!」
熊のように大きな声。
その日は、初めて宮殿にやって来た下級侍女を一目見ようと集まった侍女たちが、耳が痛くなるほどの大声に眉をひそめる様子だった。
グレイス皇女の宮殿に仕える侍女であるビビが、興味津々の表情で中を覗いていた。
「なるほど、噂に聞いた通りだね。力が溢れているよ。」
チュチュの力が優れているということは、すでに皇宮の侍女たちの間で噂になっていた。
そしてそれはチュチュ自身も認める部分である。
だからこそ、チュチュは「違います」と謙遜する代わりに、静かに言葉を続けた。
「はい、力には自信があります。ですから、何でもお命じください。」
新米侍女らしからぬ堂々とした態度に、ビビは目を細めて彼女を見つめた。
「グレイス皇女様をお世話するには少し格が足りないけれど・・・まあ、いいでしょう。どのみち君には力が必要な仕事をさせる予定だから。」
ビビは手を挙げ、他の侍女たちに指示を出した。
少し後、侍女たちが何かを抱えながら現れた。
長い木製の幕の上に、二つの重そうな布が天幕のようにかけられていた。
ビビが言った。
「これはグレイス皇女様専用の養蚕よ。」
チュチュは目を大きく見開いた。
通常、貴族が使う養蚕というと、小柄で軽い蚕が一般的であった。
しかし、二人の侍女が手に持ってきたのは、そのような蚕とは程遠いものだった。
まるで巨人が使うかのような巨大な養蚕だった。
チュチュが何を考えているのかは分からないが、ビビが説明を続けた。
「あなたもグレイス皇女様については聞いたことがあるでしょう。」
皇帝の三番目の娘。
そして、七人の皇女の中で最も美しいとされることで有名な公主。
だが、その美しさは簡単に手に入れられるものではなかった。
「私たち侍女の役目は、グレイス皇女様の美貌を維持することよ。」
侍女たちはグレイス皇女が立ち上がると、全員が息を飲むかのように見守った。
手作りの化粧水を顔に塗り、長い髪を1時間かけて丁寧にブラッシングし、夜にはミルクを入れた湯で入浴させ、仕上げには最高級のオイルで全身をマッサージしてあげるのが日課だった。
ビビは蚕を指し示しながら言った。
「この蚕もその役割の一つよ。日差しに少しでも当たれば、雪のように白い公主様の肌が焼けてしまうでしょうから。」
「そ、そうですね。」
チュチュは口を開いたまま呆然としていた。
そんなチュチュに向かい、ビビがさらに言葉を続けた。
「そして、これからその蚕を扱うのはあなたよ。」
「・・・!」
チュチュは目を大きく見開いた。
皇族が何かを手に持って歩くことは到底ありえない行動と考えられていたため、そのためだけに専属の侍女がつけられる場合が多かった。
その役割は名誉あるものではあったが、公主に仕える責任は重く、厳しいものだった。
控えめに言っても名誉ある役職だろう。
「もちろん、普通の蚕を扱う仕事とは違うけれど」
グレイス皇女専用の蚕は非常に重かった。
二人がかりでようやく持ち上げられるほどの重さだ。
しかし、それでも耐えられないと侍女たちは全員、別の部署に移してほしいと泣きつくか、侍女の職を辞めてしまった。
そんな困難な状況の中、ビビはチュチュという希望を見つけ、急いで連れてきたのだ。
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ビビは冷静な口調で言った。
「でも、いくらあなたでも、一日中これを一人で持ち続けるのは無理でしょう。だから、交代できる侍女を一人つけてあげる。」
もちろん、それでも大変な仕事であることには変わりなかった。
だが、どうにかしてやり遂げるしかない。
(できないと言って泣きつくなら、その場で侍女の職を解任すると伝えればいい。)
しかし、ビビはそんな脅しをする必要はなかった。
チュチュがあまりにも軽々と蚕を持ち上げていたからである。
蚕を持ち上げたチュチュが言った。
「思ったより軽いですね。交代する侍女はいらないと思います、侍女長様。」
「・・・」
ビビも、その背後に集まっていた侍女たちも、信じられない顔でチュチュを見つめた。
(重くないの?)
いや、そんなはずがない。
あの蚕の重さはどれほどか!
長い木製の軸と二重の布が巻かれた蚕の重量は驚異的だった。
ビビは目を細めながら言った。
「気のせいよ。少しの間だからそう思うだけ。これをずっと持ち続けたらどうなるかしら?」
「おそらく、木の枝一本を持っているのと同じように軽く感じると思います。」
片手で蚕を持ち、もう片方の手で爪をいじるチュチュを見ながら、ビビは悟った。
チュチュの力が本物であることを。
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うしてチュチュはグレイス皇女の唯一の蚕担当侍女となった。
チュチュが皇女に会ったのは、その日の午後だった。
皇女が庭園を散策しようとしたためだ。
ビビがチュチュに言った。
「皇女様は騒々しいのが嫌いだから、無駄なことは言わずに静かに蚕を持っていなさい。」
チュチュは軽く頭を下げる。
少ししてグレイス皇女が現れた。
チュチュは目を大きく見開いた。
白玉のように白い肌、烏の羽のような黒髪、そしてその下に輝く鮮やかな紫色の瞳。
噂通りグレイス皇女は美しかった。