こんにちは、ピッコです。
「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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1話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- プロローグ
人々には必ず向き合わなければならない場所がある。
フィローメルにとって処刑台は今日のその場所であり、最後の居場所だった。
悪女の最後を見届けるため、多くの人々が処刑場に集まった。
フィローメルは死にたくないと懇願したが、両腕を縛られて看守たちの冷たい態度に従うしかなかった。
皇帝ユースティスは最も高い席から、かつて自分の娘だったその存在を無感情に見つめていた。
その隣には、青ざめた顔色のエレンシア皇女が父にしっかりと寄り添っていた。
「大逆罪人は聞け!」
処刑を取り仕切る者が前に出て、フィローメルの罪状を一つ一つ読み上げ始めた。
臣下を恐怖と驚愕に陥れ、十数年間にわたり皇女を脅かしてきた罪。
皇女の側近として信頼を得たにもかかわらず、皇女を操り、陰謀を巡らせた罪。
最終的に、マタブと帝国の関係を引き裂き、国家的危機を招こうとした罪。
さらに、数々の冷酷な犯罪が列挙された。
「よって、処刑を受け、罰を受け入れよ!」
処刑人の言葉が終わるやいなや、恐ろしい罵声と怒号が群衆から湧き上がった。
「早く死ね!」
「大胆にも神聖な血筋に触れた罪人を祝せ!」
「本当の母親と一緒に処刑されるべきだった!」
激怒した群衆が投げた月桂樹の枝や石が容赦なくフィローメルを打ちつける。
しばらくして、処刑を指揮する者が手を挙げて、激昂する人々を制止した。
「本来なら、あなたのような罪人には許されるべき権利ではないが、慈悲深いエレンシア皇女様が恩恵を施し、遺言を残す機会を与えられた。最後に残したい言葉はあるか?」
そう言われても、ただ下を向いていたフィローメルの涙に濡れた目が皇帝を見上げた。
「……お父様。」
かすれた声に、皇帝の目元が少し震えた。
「私は皇女を脅したりしていません。それだけは……本当に私があなたの娘であるという理由だけで……他の過ちによってではなく、死に値しない罪でさえ罰を受けるのなら、どうか命をお救いください。ただ、それだけを知っていただければ……。」
一筋の光も差し込まない独房に閉じ込められ、自分の考えを整理しようとしたときのことを思い出していた。
彼女に少しでも親しい態度を示したり、彼女の悲惨な境遇に同情したというだけで、多くの人々の首が容赦なく落とされた。
それでも、自分を育ててきた執着と未練が、今までの人生のすべてを虚しく感じさせた。
愛されようと懸命に努力しても報われず、ただ憎しみだけを受け取る日々。
結局、彼女の愛情も地位も、自分のものではなかったのだから。
ただ一つ。
数々の罪状の中で最初にして最大の罪を犯したことが真実ではないという点が苦しかった。
他の人に知られなくてもよい。
ただ一人、その人にだけは事実を理解してもらいたかった。
父。
ベレロフ帝国の皇帝ユースティス。
フィローメルを親娘として認識しながらも、十数年の間、彼女に少しの関心も示さなかった人。
それでも、自分の唯一の家族だと思い、愛されたいと願った人。
今となってはあまりにも遠い存在であり、彼の心を動かすことはもはや不可能だと分かっていたが、それでもせめて最低限の真実だけでも知ってほしいと願っていた。
最初から彼を欺くつもりはなかった、と。
自身の娘であるエレンシアが現れた後になって、彼もまたフィローメルが実の娘ではないと理解していたことを……。
考えてみれば、あまりにも当然の話だった。
フィローメルの乳母が娘と皇女を入れ替えたのではないかという疑惑。
その後、フィローメルは皇女として宮殿で生活し、エレンシアは乳母とともに平民として暮らしていたため、二人が出会う機会すらなかった。
それなのに、どうして乳母と共謀し、策略を企ててすべての人々を騙したと言えるのだろうか?
誰でもこの単純な事実を推測できそうなものだが、すべてがフィローメルを詐欺師と見なす形で進められた。
その間にフィローメルには悪名が積み重ねられていった。
それでも彼女は希望を持っていた。
たとえ周囲の者たちが信じなくても、理性的で聡明な皇帝なら真実を見抜いてくれるのではないかと。
もちろん、それは儚い希望だった。
「今すぐ糸を持ってきて、あの者の口を縫え。」
皇帝の命令に礼賛を叫ぶような声がしばしこだました。
「万歳!」
「陛下の命令に従え!」
「縫え! 縫え!」
侍従たちは慌てて罪人の口を縫うための糸を探しに走り、日差しがますます強くなる中、エレンシアは父親の腕にしっかりとしがみついていた。
フィローメルの乱れた灰色の髪とは対照的に、美しい金髪を持つエレンシア。
亡き皇后にそっくりで、皇帝に愛される娘。
フィローメルの瞳は絶望に沈んでいた。
(一体何を期待していたの?)
こうなることは分かりきっていたじゃない。
どうやら長い間苦しんでいたせいで、頭がおかしくなったようだ。
(ただ静かに死を受け入れよう。)
それが、残りわずかな自尊心を守る唯一の方法だ。
そう。何と言われようと、自分はかつて大ベレロフ帝国の皇女だった。
(それだけが……私の唯一の誇りだ。)
「陛下!」
明らかにそうするつもりだったのに……。
フィローメルは自分でも気づかないうちに跳ね上がるように立ち上がった。
何日もパン屑のように扱われたにもかかわらず、不思議なほど大きな声が響いた。
ユースティスの冷徹な視線が向けられると、思いがけない言葉が口を突いて出た。
涙は一滴も流れず、唇だけが震えた。
「私が、一度でもあなたに娘だったことがありますか? 少しでも娘らしく扱われたことがありますか?」
そう、ずっと彼に問いただしたかった。
エレンシアが現れる以前、自分が彼の本当の娘だと思っていた時でさえも。
なぜいつもあんな冷たい目で見られたのでしょう。
私はあなたの子であることに間違いはなかったはずです。
私を愛せなくても、子として接してくれることはできなかったのですか。
返ってくる答えが怖くて、しばらく何も聞けなかった。
しかし、死を目前に控えた奇妙な勇気が湧き上がった。
「……。」
「お父様、もう……これ以上は……。」
答えをする素振りもなく口を閉ざしていた皇帝は、娘の懇願の声に顔をそらした。
心優しいエレンシアは、どんなに自分を害しようとした悪女であっても、フィローメルの処刑を直視するのは辛かった。
皇帝はこの場を早く離れようと、愛おしそうに娘の肩をそっと抱きしめると、「処刑は予定通り進めるように」と指示し、処刑場を立ち去った。
残されたフィローメルは冷たく無視されたままだった。
「……せめて答えるくらいはしてくれてもいいじゃないか。」
フィローメルは最後の遺言を絞り出すように吐き出した。
こうして、誰からの同情も受けることのない死を迎えることとなったのだ。
幸いなことに、皇帝が早く事を終わらせたため、彼女の口が縫われることはなかった。
それが悪女に与えられた最後の幸運だった。
安楽死を与えることはできないという理由で、斬首ではなく執行人の無骨な刃による処刑により、苦痛の中で死に至った。
彼女の唯一の決断は、無数の悪行の中に埋もれてしまい、ついに日の目を見ずに終わった。
まるで悪役にふさわしい……。
・
・
・
「キャアアア!」
悲鳴を上げながら、フィローメルは読んでいた本を投げ出した。
「こんなのありえない! 私じゃない、本の中のフィローメルが少し間違えただけで、死ぬなんてことはないでしょう!」
少女は小さな体で足をドンドンと踏み鳴らしながら抗議したが、本の内容が変わるわけではなかった。
9歳の皇女は庭で拾った怪しい本を手に取るんじゃなかったと後悔した。
どこかの作家が実在の宮廷を舞台に書いたという小説で、興味本位で読み始めたものの、読後には怒りと困惑だけが残った。
そもそも名も知られていない平民の女性を皇帝の実の娘に仕立て上げ、このフィローメルを偽物だと断じる内容など、一体どこからそんな発想が湧いたのか理解できなかった。
「すぐにお父様に報告して、この本を書いた者を見逃さないわ!」
宮廷を冒涜する内容が盛り込まれた本だった。
大ベレロフ帝国の唯一の後継者を偽物扱いするなんて!
それだけでなく、残忍な最後を迎えさせた。
たとえ死を免れたとしても、終身刑にされる運命だったのだから、こんな話は許されない。
「はあ。」
いますぐ駆け出したい衝動に駆られたフィローメルだったが、力なくソファに倒れ込み、そのまま身動きが取れなかった。
この行動を他人が見たなら、冗談にもならないと呆れるだろう。
浴びせられた叱責の声に打たれたが、その後の罰則を受けてから彼女は一人きりだったので、特に気にしていなかった。
そもそもこの突拍子もなく侮辱的な小説『皇女エレンシア』をほとんど最後まで読んでしまったことが、さらに彼女の気分を沈ませた理由だ。
日に2回庭を散歩する時間を除いて、部屋の中に閉じ込められていなければならなかった。
仮に罰則が解かれたとしても、父親に会えるかどうかはわからなかった。
ユースティスは娘にまったく興味を示さない冷淡な父だった。
顔を合わせて話をした回数さえ数えるほどしかなかった。
誰かを通じて食事やティータイムを共にしたいと申し出てもほとんど無視され、もしフィローメルが無作法に近寄ろうとしたら、逆に厳しく叱られて追い払われた。
そもそも罰則を受けることになった理由は、皇帝が彼女に会おうともしなかったことに腹を立てたフィローメルが、皇帝の執務室に押しかけて騒ぎを起こしたためだった。
「すぐにあの者を連れ出せ。」
自分に会いに来ない理由を問いただし泣き叫ぶ娘を見て、皇帝はさらに冷たい表情で侍従たちに命令を下した。
結局、すごすごと部屋に戻るしかなかった。
こうした皇帝の冷淡な態度が10年近く続く中で、他の人々も皇女をひそかに見下すようになった。
皇帝がフィローメルを「本物ではない」と感じていたため、周囲の人々も徐々にそうした目で彼女を見るようになった。
この優れた子どもを認知した後に皇位を継ぐのではないかという噂が、彼女への傲慢な態度をさらに助長する。
亡き皇后を深く愛していた皇帝が、自分の命を犠牲にして生まれた娘を欲していると公然と言われるほどだった。
さらに、皇女は母親にはまったく似ておらず、どこか突出した特徴もなく、口数ばかりが多いため、愛情が湧かないのは当然とも言えた。
落胆したフィローメルは壁にもたれながら前に進んだ。
「そんなに似てない?」
鏡に映ったフィローメルは、灰色の髪と淡い瞳を持つ少女だったが、その見た目はどこにも非の打ちどころがなく美しかった。
しかし、それは肖像画の中で見た母親の面影ではなかった。
それに、父とも似ていない気がした。
皇帝は黒髪で、皇后は金髪だった。
単純に髪色や瞳の色だけを比べても一致する部分はなかった。
それでも幼い頃、フィローメルの髪色は今よりも金髪に近かったように見えた。
もう少し金色に変わるよう毎晩祈り続けたが、成長するにつれて逆に色が抜け、今ではただの平凡な灰色になってしまった。
まあ、髪色は昔の誰かの特徴を受け継いでいるとしても、この明るい黄色の瞳は一体どこから来たのだろう?
本当に自分は両親の実の子ではないのではと、少女は憂鬱な気持ちになった。
「小説の中の私は……いや、そんなはずない!」
そんな悲惨な結末を迎える悪役が自分だとは認めたくなかった。
ただ名前が同じだけだ。「フィローメル」という名前は珍しくはないが、それほど一般的でもない。
しかし、フィローメルは小説の中の「フィローメル」が本当に自分と似ているのではないかと少しずつ感じ始め、怖くなった。
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