こんにちは、ピッコです。
「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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174話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ケイシー侯爵家②
ミルドレッドはお茶の杯を持ち上げて謙虚に語った。
「驚かれるようなことかは分かりませんが、恵み深い天使が授けてくださったものです。最善を尽くしました。」
「航海には宝石を付けるという言葉がありますよね。」
さすがケイシー侯爵夫人。
ミルドレッドはジェネビーブの情報力に軽く感心していた。
彼女がその話をしたのは一度だけで、それもダビナの衣装部屋でのことだ。
その話がすでにジェネビーブの耳に入っているということは、衣装部屋のスタッフの口から出たのか、ジェネビーブの情報収集能力が非常に優れているということを示している。
「航海にはさまざまな噂が立つものですね。」
ミルドレッドの返答に、ジェネビーブはじっと彼女を見つめた。
それは否定も肯定もしない曖昧な返事だった。
だからアイリスのドレスに宝石をあしらうつもりなのかどうかは分からなかった。
本心ではそれを確認したくて仕方なかったが、直接尋ねてしまうと、アイリスのドレスに対して過剰な関心を持っていると印象づけてしまうかもしれないため、ジェネビーブは話題を変えることにした。
「ウィルフォード卿も教会に用事があったそうですね。」
「偶然ですね。」
「この近くに素晴らしい彫刻家が住んでいると聞きましたよ。」
ミルドレッドはケイシー侯爵夫人と教会の別荘の使用人たちに、ダニエル・ウィルフォード卿が直接馬車を操り、バンス家の人々を送り届けたと話した。
そして、翌日の午後には別荘からバンス家の人々を迎えに馬車が来る予定だと続けた。
実際に4人が馬車に乗ったのは事実だが、その途中でダニエル自身が馬車を使って移動した。
そして翌朝にも再び馬車が来て、4人を乗せて移動する予定だ。
「馬車を提供する方法もあったでしょうに、わざわざ自ら馬車を操って送り迎えするなんて、ただならぬ関係のようですね。」
すでに社交界では、ダニエルとミルドレッドの関係が普通のものではないという噂が広まっている。
しかし、ジェネビーブは知らないふりをしていた。
それは彼女に関係のないことだった。
そもそも、ケイシー侯爵夫人とウィルフォード卿は少しぎこちない関係にあった。
だから、彼が他の誰かと交際したり結婚したりしても、ケイシー侯爵夫人としては知ったことではない。
しかし、ジェネビーブは、ミルドレッドが行動することで人々が彼女とウィルフォード卿の関係に問題を見いだした場合、ミルドレッドの肩を持つことを考えていた。
「卿の家が火事で修繕しなければならなくなり、私の家で滞在するよう勧めたことが感謝されたようですね。」
これに対し、ケイシー侯爵夫人は冷ややかに応じた。
今回も慎重に状況に深入りしていくミルドレッドの態度を見て、ワイングラスを持ち上げながら薄く微笑んだ。
ここでミルドレッドがダニエルと親しい間柄であることを認めるなら、彼女を助けるつもりでいた。
しかし代わりに、リリーを説得することを考えていた。
彼女がダグラスとの結婚を再び考えさせるように。
しかし、ミルドレッドは慌てる様子を見せず、出された暖かいお茶を一口すすり、それを置いて口を開いた。
「お茶をありがとうございます。よろしければ、子どもたちを見に行きたいのですが。」
「まあ、そうですか。バンス姉妹がいる部屋に案内するように言いますね。」
そう言って、ケイシー侯爵夫人がメイドに指示を出そうとすると、一人の侍女が近寄ってきた。
ミルドレッドは彼女に再度挨拶をして、立ち上がった。
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「さすが侯爵夫人。」
侍女の後ろをついて行きながら、ミルドレッドは小さく微笑んだ。
暑い日でも決して冷たいお茶を飲まないという話を思い出した。
だからだろうか、別荘の使用人たちは、ミルドレッドには温かいお茶を出したのだ。
侯爵家であれば、氷を使ってお茶を冷たくする余裕も時間もあっただろうが、そうすることはなかったようだ。
この別荘があまり東洋風でないとはいえ、もしそうでなければ少し奇妙に感じられたことだろう。
まさか、夏の暑い日でも暖かいお茶を飲むようにと、この別荘では最大限控えめにされているのか?
ミルドレッドがそんな風に思いを巡らせていたとき、一人の侍女が子どもたちがいる部屋の前まで彼女を案内してくれて尋ねた。
ミルドレッドは軽くノックをして慎重にドアを開けた。
蚊帳がつけられているベッドがいくつか並んでおり、その中には虫が入らないようにされていたのだろう。
「あら?」と戸惑った彼女が部屋に入ると、やっと窓辺に座っていたリリーが視線を向けて微笑んだ。
「お母さん。」
「大丈夫?横になっていてもいいのよ?」
どうやら到着したばかりで、子どもたちの顔にはまだ少し緊張が残っている様子だったが、彼らはすぐに賓客用の部屋に通され、少しずつ表情が和らいでいった。
案内されてからしばらくすると、リリーは黙ってじっと座っていた。
「景色がとても素晴らしいですね。」
そのとき、ミルドレッドはリリーの手にノートがあるのを見つけた。
いつもどこに行くにもノートと鉛筆を忘れずに持ち歩くリリーらしく、今回もそれを持参しているようだ。
「無理はしてない?少し休んだほうがいいんじゃない?」
「集中していると大丈夫になるみたいです。」
心配そうなミルドレッドとは対照的に、リリーは本当に平気そうに見えた。
横になっていたが、窓の外の景色に目を奪われずにはいられなかったようだ。
青々とした湖面が太陽の光を浴びて、まるで宝石のような輝きを放っていた。
その周囲には緑豊かな木々が立ち並び、どこまでも美しい光景が広がっていた。
「きれいね。」
ミルドレッドはリリーが書いたノートを見てこう言った。
「よく書けてるわね」と。
彼女はリリーが上手に書くことも、絵を描くことが得意なことも知っていた。
しかし、ミルドレッドが理解しているのはそれだけだ。
彼女にはその絵の真価を見抜く目がなかった。
「ダニエルならもっとよく分かるだろうな」と、ミルドレッドはそう思いながらため息をついた。
ダニエルだけでなく、フィリップ・ケイシーもリリーの才能を認めていた。
「自分にできるのは応援することだけね」と思いながら、ミルドレッドはリリーのノートをじっと見つめた後、それをリリーに返した。
「後爵夫人とのお話はどうだった?」と、リリーは母からノートを受け取りながら尋ねた。
ミルドレッドも少し緊張していたが、この美しい別荘の風景を見た瞬間、しばしその場の絵に没頭してしまっていた。
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