ジャンル、変えさせて頂きます!

ジャンル、変えさせて頂きます!【145話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「ジャンル、変えさせて頂きます!」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【ジャンル、変えさせて頂きます!】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ジャンル、変えさせて頂きます!」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

145話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • キャッチボール②

こうやってボールを投げて受け取るの。わかった?」

「えっと……はい。」

私はルカを相手にお手本を見せたが、それをじっと見ていたダビは戸惑ったように返事をした。

ボールを投げたり受け取ったりすることにどんな楽しさがあるのか、全く理解できないといった表情だ。

一度もボールを掴んだことのないような不器用さが顔に現れている。

遊んだ経験はないのかな?

クロエは身体があまり丈夫ではなく、落ち着かない生活を送っていたからかもしれないが、それでもダビの反応には少し驚きがあった。

「思ったより面白いわよ。うーん……何か投げたことってある?」

「はい。石をよく投げました。」

「……。」

ボールを投げる楽しさを知らない彼女たちが、どうして石を投げていたのか……。

考えすぎても仕方がないと思いつつ、複雑な彼女たちの過去を深く掘り下げる気力はなかった私は、言葉を変えた。

「さあ、ルカと一緒にやってみよう。」

片手にグローブをはめたルカとダビが向かい合った。

ルカは小さく息を吐き、気を使っているような素振りでボールを握りしめた。

それでも、私やリューディガーと一緒にキャッチボールを続けてきた経験があるためか、投げるフォームは安定していた。

毎回正確にボールを投げるルカの姿勢は揺るがなかったが、ゆっくり飛んできたボールがダビのグローブの中に収まると、ダビは緊張で体を震わせながら大きな目をさらに丸くした。

「ルカがやったように、ルカに向かって投げてみて!」

私はボールを投げると同時にダビを励まし声をかけた。

私の励ましを受けて、ダビは戸惑いながらもボールを投げる。

ルカの動きを真似しながら投げたダビのフォームは少し不自然で、腰が後ろに引けていて、投げた腕は空中を不器用に振り回しているだけだった。

それでも、そのぎこちないフォームとは裏腹に、ボールの速度は悪くなかった。

ボールはルカのところまであと少しというところで少しそれてしまったが、ルカはすかさず手を伸ばし、冷静にボールをキャッチした。

私は驚きながらもダビを褒めた。

「初めてなのにすごいね!」

「でも、ちょっと遠くに飛びすぎた気が……。」

「いや、ルカが手を伸ばせば届く範囲だったよ。初めてでここまでできるのは簡単じゃない。とてもよくできたよ。本当に才能があるね。」

誰だって褒められるのは嫌じゃない。

グローブの端をつまむダビの耳たぶがほんのり赤くなっているのを見て、私は微笑んだ。

私がダビをしきりに褒めるのが気に入らなかったのか、ルカは不満そうに一言つぶやいた。

「僕が最初に投げたときの方がもっと上手だった気がするけど。」

「何を言ってるのよ。あなたのボールなんて完全に酷かったわよ。力がなくてボールが地面に直行してたじゃない?」

「いやいや、僕は完全に上手く投げたさ。3年前のことだから覚えてないんだろ?」

無知を装うルカの態度はどうにも子供じみていた。

どこからそんな自信が湧いてくるのか。

彼の嘘もここまでくると一種の才能だ。

ギャンブルに手を出したり、無駄遣いを繰り返したり、ルカはあらゆる場面で抜け目のない才能を見せていた。

それが養育者としては心配の種でもある。

「でも、あの頃は今よりずっと幼かったんだから、今のダビと比べるのはフェアじゃないわ。」

「比べてるのは叔母さんだろ。それに今のダビもどうってことないじゃないか?」

普段は大人ぶって承認を求めるルカだが、こうして時々子供っぽく拗ねる様子が見えるのは珍しいことではなかった。

完全に無計画な発言に続く沈黙を打ち破るために、私は軽く手を叩いて場を和ませることにした。

「さあさあ、最初から上手だったというルカさん。もう一度そのお手本を見せてください!」

「お手本って。」

ルカは小さく口元を歪め、ボールを握った手をそっと下げた。

そして再びボールを投げる準備を整えた。

ダビは先ほどよりも少し自信を持った様子でボールを投げ返した。

最初のうちは、二人とも緊張した表情でボールの動きを見つめていた。

ダビは失敗を恐れて集中していたし、ルカはどこか滑稽なポーズをとりながらも、ボールをきちんと投げた。

やがてボールのやり取りがスムーズになるにつれ、二人の間にあった緊張感はほぐれ、口元には笑顔が浮かび始めた。

見ている誰の目にも楽しんでいるのが明らかだ。

その様子を眺めていたクロイが、少し戸惑いながら私に尋ねてきた。

「これ……私には無理なんじゃないでしょうか?」

「そんなことないよ、クロイ。君だってできるさ。健康になったんだから、一度試してみないかい?投げるだけでもいいんだよ。」

積極的に挑戦する姿勢を見せたクロイの態度に、私はすぐさま笑顔で返事をした。

クロイが無理をして傷つくのではないかという心配が頭をよぎったが、少しずつでも成長していく姿を見るのは悪くないと思い、彼女の決断を見守ることにした。

『それでも今のところは問題ないから……。注意しながら見ていて、辛そうに見えたらすぐにやめさせるべきだ。』

私はそう考えながら、この機会を使って運動に楽しさを加え、健康を増進させることができればいいと思い、クロイにグローブを渡した。

「クロイ、一緒にやってみよう。さあ、ボールを持って……」

私は先ほどダビに説明したのと全く同じように、再度クロイに説明をした。

クロイは真剣な表情で説明を聞きながら、慎重にボールを握りしめた。

クロイがボールを投げた。

私はクロイが地面に向かってボールを投げてしまうのではないかと心配しつつも、彼女の動作一つ一つに注目し、心の中で褒める準備をしていた。

ところが、何ということだろう?

クロイは思っていた以上に上手にボールを投げたのだ。

それどころか、想像を超えていた。

本当に良いフォームだった。

力がまだ足りないせいでボールは少しフラフラしたが、バランス感覚が優れており、重心を移動させる方法をきちんと実践していた。

『もしかして……クロイは天才なのかもしれない?』

将来のソフトボールのエースの片鱗が見えた気がした。

しかし、私の心が浮かれる一方で、クロイの健康には注意を払わなければならないと思った。

「クロイ、もう一度投げてみる?」

「はい!」

「よし!それじゃあ……私のグローブの中を狙って投げてみる?グローブに入れる必要はないから、近くでいいよ!」

「え、ちょっと待って?」

クロイが投げたボールは見事に私のグローブの中に収まった。

感動が込み上げてきた。

私は胸が熱くなり、溢れ出る感情を抑えきれなかった。

「クロイ、君は本当に天才だよ!才能がある。こんなの、百年に一度の逸材じゃないか!」

百年に一人というのは少し大げさかもしれないが、それでもクロイの能力には驚かされた。

これまでソフトボールのテストを受けたこともないのに、感覚だけでこんなに素晴らしいプレーができるとは。

人生を賭けてバッティングするような選手に出会えたことに、私は感激して言葉を失った。

そして涙が溢れ出た。

もちろん、ダビが自分と比べてしまい、すねてしまうのではという心配が一瞬頭をよぎったが、それはすぐに忘れることにした。

「わあ、今グローブの中にボールを投げたの?すごいね!私は何回やってもできないのに。」

「君も練習すればできるよ。私も最初は全然できなかったけど、今はまあまあいい感じになったし。」

「ちょっと待って、さっき最初から上手くできたって言ったのは誰だっけ?」

視線を感じたけど、ルカがそっぽを向いた。

普段ならここぞとばかりに突っ込むところだけど、今はそういう場面じゃない。

私は熱い眼差しでクロイを見つめた。

その眼差しには、くすぶっていたソフトボールへの情熱が再燃した思いが込められていた。

褒められたことで少し照れくさそうにしているクロイに、私は優しい表情で問いかけた。

「こうやってやれば……私もダビやルカみたいにキャッチボールができるのかな?」

「もちろんだよ!」

「でも、私って力が弱いんじゃない?」

「そんなの関係ないよ。私だって隊長さんと一緒にやってるけど、私のほうが隊長さんよりも上手く投げてるよ。」

「奥様が隊長よりも上手に投げられるって本当ですか?」

クロイは信じられないというように大きく目を見開いた。

リューディガーと私の腕の太さがほぼ二倍近く違うのを見て、そう疑うのも無理はないと納得できる。

 



 

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