こんにちは、ピッコです。
「悪党たちに育てられてます!」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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6話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- プロローグ⑥
「……面白いね。」
エルノー・エタムは窓越しに、ゆっくりと歩いている子供の後ろ姿を眺めていた。
用事があってたまたま廊下を通りかかった時に聞こえた声は、彼の足を止めるには十分だった。
『あの子は間違いなく……』
今回はミレル公爵の秘密の計画をしっかりと掴んだ子供だった。
『図書館まで来て、古書の目録を見ていた時から気になっていたが……』
エルノー・エタムは低く笑みを漏らした。
普通、エタム家に生まれたなら、どうやってもエタム家の末端にでもつながろうとする者たちは多い。
エタム家は高貴で、だからこそほんの端役でも与えられればと願う者たちが多いのだ。
それでも、端役の子供があえて家を出て、古書の目録を見ている姿を見たとき、彼は少し興味を引かれた。
小さな好奇心が湧き、エルノー・エタムはその好奇心を逃さなかった。
それで一部わざと指輪を落としてみた。
もし、子供がその指輪を持ち帰らなければ、それで彼の好奇心は終わっていただろう。
子供には行く場所がない。
誰にも助けを求めず、机に頭を伏せながら文字を静かに読み続けていた。
去っていく子供の後ろ姿は、そう語っているようだった。
だから、あの子供が落とした指輪を拾ったら、その小さな存在に一時的な帰る場所を与えてやろうと考えた。
指輪を拾いに来なければ、それで終わりにしようと思っていた。
どこまでも遊び半分の軽い興味だった。
「ひょっとして、まさか本当に家を出る準備をしていたなんてことはないよな。」
彼はくすくすと笑った。
『それにしても、あの指輪から感じられる雰囲気は確かに……』
一瞬ながらも頭を打つような痛みを伴うほど印象的だった鮮烈な清涼感が、その存在を確信させるかのようだった。
勘違いかもしれないが、自分の好奇心を無視しない理由がそこにあった。
今年もなかなか面白いことを仕掛けようと思っていたが、その途中で興味を失った。
エルノー・エタムは、空っぽのベンチをじっと見つめた。
「おい、お母さんやお父さんがいない奴とは付き合うなよ、レベルが落ちるからさ。」
「お前、親もいないし家もないし姓もないし、挙げ句の果てには友達もいないのか?いったい何があるんだ?」
「お前が俺を殴ったら、金を払えよ。わかるか?俺の母さんが殴られたら、損害賠償を払えって言ってたぜ。」
時には子供たちの言葉がさらに鋭く、胸をえぐるように痛かった。
子供たちは相手の気持ちを考えることなく、正直すぎるがゆえに悪意を隠そうともしないものだ。
顔をすっぽり隠したその子供は、意気消沈しているように見え、今にも泣き声をあげそうだった。
「くっ……」
彼は軽く壁を叩きながら笑みを漏らした。
まさかそこから自分の顔ほどもある岩を持ち上げ、後ろにドスンドスンと歩きながら、それを手放す日が来るとは思ってもいなかった。
「まあ、興味もあるし、ちょっと覗いてみるか。」
彼はゆっくりと止まった足を再び進めた。
「子供の教育もまともにできなかったやつらには罰を与えないとな。」
膝を抱えてうずくまっていた小さな背中と、顔を隠していた頭がどうしてかひときわ痛々しく感じられた。
・
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新年の会議が再び開かれたのは、会議が中断された日から正確に一週間が経った後だった。
「お前だ。」
「はい!」
「出てこい。」
私は緊張しながら唾を飲み込み、慎重に階段を下りて、ミレル公爵の前で姿勢を正した。
「そうだ、その時お前の計画については聞いていたな。なぜ行くのか、その理由を聞かせてみろ。」
「秋生の秘密です……。」
「そうか、それを一度言ってみろと言っているのだ。」
なぜか今日は観覧席……いや、会議室がいつもより熱気を帯びているように感じられた。
『人が少し増えたように感じるのは気のせいか?』
まるで一連の面白いドラマの終幕を見るために集まった観客のような雰囲気が漂っていた……。
頭の中に浮かぶ皮肉な考えに私は苛立ちを覚えた。
『それでも家を出る準備の半分は済ませておいたからだ。』
もし人間関係がこじれた場合に備え、馬車に持っていける宝石類をいくつか隠しておいた。
万が一追い出されるようなことがあれば、その宝石を全部持ち出し、包みに詰めて出ていくつもりだった。
「私が……。」
その時だった。
背後に人影が長く伸びた。
「実は、その子供は私の娘です。このように明かす時が来たようですね。そうでしょう?」
「はい、間違いありません……。彼は私の娘……ということですよね……?はい?」
突然の緊張の中、聞こえてきた言葉をぼんやりと繰り返していた私は、後になってその違和感に気づいて動揺した。
音がした方に顔を向けると、エルノー・エタムが特有のゆっくりとした足取りでこちらに向かってくるのが見えた。
目の前の草原を横切るその大きな背中は、いつ食べられるかわからない餌を前にした動物のような気持ちを呼び起こした。
「おい、ちゃんと話せよ。お前が俺の父親だと言ってな。」
彼は柔らかな声で、全く予期しない内容を口にした。
えっと、それを言うと明日の朝、私はまだ太陽を見ることができますか?
私は今にも口から飛び出しそうな言葉を必死に押さえ込みながら、涙を堪え、目だけをぐるぐると動かした。
「さあ。」
本当に言えと?
彼の鋭い視線と抑えた態度に私は目をそらせずいられなかった。力なく、私は言葉を絞り出した。
「はい、私はあなたの……父親です……。」
「くっ、ははは!」
私の耳をかすめる声に続いて、彼の笑い声が大きく響き渡った。
顔が一気に熱くなっていくのを感じた。
「悪ふざけするな。さっさと消えろ。今が自分の立場だとでも思っているのか?」
エタムが言った。
「私の20年の夜食経験から言わせてもらうと、あれは間違いなく100%相手を打ち負かすものだ。」
ロマンスファンタジーに例えるなら、優雅で品格のある社交界の魔法だ。
さっき言ったことを記憶力が悪いと言って振り返るのは……、
「エルノー・エタム……!」
「それと、明確には申し上げませんが、私の能力はなかなか優れています。家主様の基準で判断されても構いません。」
「それに、君には分からないかもしれないが、私は君のように無駄なことはせず、賢く行動しているんだ。」
ミレル公爵の握り締めた拳の上に、静かに力が入り、彼は場を立ち去った。
ぽつんと緩んだ力の上を、勢いよく沸き上がる溶岩のように流れる何かがあるように感じた。
エルノー・エタムは、まさに「狂った奴」という言葉が似合う人物だった。
笑顔を浮かべながら、柔らかな声で相手の言葉をすべて受け止めるのだが、それには必ず裏がある。
「また始まったな。この前の新年の会議、なんで静かだったんだ?」
「途中で中断されたからです。」
「そうだな、これがなければ新年の始まりとは言えないだろう。エルノー様は毎年ああして奇行を繰り返されるんだ……。」
「今回はあの子が標的になったようだな。」
「そうみたいだ。」
「あの子だけが気の毒だよ。また1年も経たずに疲れ切るだろう。」
「1年どころか、半年もったらラッキーだな。」
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