こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

83話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 戻ってきた日常②
暖かい日差しが降り注ぐある日。
ルビー宮の門前に立つアリスは深呼吸を一つした。
背が高くてほっそりした女性を見つめた。
白い顔に真っ黒な髪を持つ女性。
アリスはその女性を知っていた。
でも、なぜだかわからなかった。
「私が知っていた姿と随分変わっているけど、一群の王女たちの中で一番美しいと言われているグレイス・レビジュアン・ド・アズベリアじゃない。」
つまり、アリスの腹違いの姉だ。
しかし言葉だけの姉妹であり、アリスとグレイスには何の縁もなかった。
年に数回、同じ集会場にいたことがあるだけだった。
そのたびにグレイスは最も明るい席で人々に囲まれ笑顔を見せ、アリスは人々の視線を避けて最も隅の席に座っていた。
笑っているグレイスを見ながら、アリスはこう考えていた。
「ふん、みんなそんなに美しいって騒ぐほどなの?」
[腕は木の枝のように痩せ細っているのに。うんざりする。]
遠くで縮こまるように座っているアリスを見つめながら、グレイスはこんなことを考えていた。
[どれほど友達もなく、まともに世話をする人もいないとしても、王女がこんなみすぼらしい格好で現れるなんて、恥ずかしくないのかしら。]
結局、互いに好感情というものは微塵もない二人だった。
今さら違うわけがなかった。
アリスは怒りを隠さず尋ねた。
「招待もしていないのに、ここに何しに来たんですか?」
そっけないアリスの言葉に、グレイスは目を細めて答えた。
「あなたを見に来たんじゃないわ。シアナを見に来たのよ。」
アリスは目を細めて言った。
「お姉さんがどうして私の侍女を見たいなんて言うんですか?」
「その子が中級侍女試験の教育中に私に大きな助けをくれたのよ。久しぶりに挨拶したいと思ったから、その子をちょっと呼んでくれない?」
「嫌です。」
「何?」
「私は自分の侍女を他人に見せるのが好きじゃないんです。だからお帰りください。」
アリスの無愛想な言葉に、グレイスはハハと笑った。
「可愛いことを言うじゃない。」
「可愛いだなんて一言も言ってないんですけど?」
ピリピリとした緊張感が二人の間を流れた。
その時だった。
向こうから現れたシアナが目をぱちくりさせた。
「グレイス王女殿下、どのようなご用件でここに……」
グレイスに向かって知り合いのように話しかけたシアナが、目を大きく見開いた。
「チュチュ、どうしたの?泣いてるの?」
「……?!」
「……?!」
その言葉に、アリスとグレイスは同じ方向に視線を向けた。
そのときアリスは、グレイスの後ろに立っていた侍女が誰なのかを認識した。
大柄でがっしりした体格、怯えた表情のパルトゥク。
シアナの親しい友人だったチュチュだ。
チュチュの素朴な顔には涙がこぼれていた。
3人の視線を受けて目をしきりに瞬かせたチュチュが、アリスに腰をぺこりと曲げて謝った。
「王女殿下、突然お邪魔したことをお許しください!実は、私がシアナに会いたいと言ったせいで、グレイス王女殿下がこちらまでいらっしゃることになったのです。」
チュチュは体を回してグレイスにも頭を下げた。
「私のせいでここまでお越しいただき本当に感謝しておりますが、これ以上はお帰りいただいた方が良いかと思います。私のせいで、微妙な姉妹関係にヒビが入るのではと心配でして。」
謝罪をしても何の効果もないような状況の中で、大柄な侍女が縮こまりながら許しを乞う様子に、アリスとグレイスは何も言葉を発することができなかった。
そして、少し離れた場所に立っていたシアナは、今目の前で起きている状況を一瞬で理解した。
この状況をどう解決するべきかも。
シアナは真剣な顔つきでチュチュに歩み寄り、話しかけた。
「そうね。チュチュ、君が悪かったよ。」
冷たいシアナの声に、アリスとグレイスの目が大きく見開かれた。
二人の視線の中で、シアナはさらに言葉を続けた。
「どれだけ友人に会いたいとしても、こんな風に訪ねてくるのはダメよ。あなたも私もただの侍女なのだから。主催者も知らずにお招きしていない方々の気分を害してしまうなんて、どうすればいいのかしら。」
アリスとグレイスは当惑した。
『いや、そこまで深刻に考える必要はないけど。』
しかし、それは完全に王女たちの立場から見たものでしかなかった。
シアナとチュチュから感じられる雰囲気は、到底抗えないほど重かった。
まるで大罪を犯してしまったかのようだった。
この状況を無難に収めるために最初に口を開いたのはアリスだ。
アリスは明るく笑いながら言った。
「ほほ、さっきの話は冗談だったんです。お姉様が私に会いに来てくださるなんて、どれだけ嬉しいかわかりません。」
グレイスも笑顔を浮かべ、すぐに応じた。
「そうなのね。やっぱり私の妹はすることが本当に愛らしくて驚かされるわ。」
「せっかくいらしたのですから、お茶を一杯飲んでいってください。」
「いいわね。」
二人は何事もなかったかのようにハハと笑いながら腕を組み、宮殿の中へと入っていった。
その様子を見たチュチュは、目を大きく見開いて驚き、シアナを見つめた。
『なんで急に仲良しみたいになってるの?』という視線だ。
真剣な顔をわずかにほころばせたシアナが、柔らかい笑顔で言った。
「王女お二人とも、本当に心優しい方なのね。」
その言葉には、周囲の侍女たちの目を意識させる意図が込められているようだった。








