こんにちは、ピッコです。
「悪党たちに育てられてます!」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

93話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 家族会議⑤
「はっ、それは……!」
アクレアが突然立ち上がった。
「“ハート”が出した5体限定のエイリン・ヘアリング版人形!私でも買えなかったのに、お母さんがどうして持ってるんですか?!」
「コネがあれば、買えないものなんてないだろう?」
「……え?」
何だって?
私のヘアリング版?
私ですら見たことがないのに。
その冬、一度も見ることができなかった。
それなのに、アクレア・サパイルはなぜそれを知っているのだろう?
私がこまねいていると、彼女は怯えたようにすっと身を引き、悲しげに席に座った。
それでも彼女の視線はデバンヌに向けられていた。
正確には、デバンヌが持っている人形に、だ。
『…あれ、私も欲しいな。』
遠目に見ても品質が素晴らしかった。
私が目をきらきらさせているのを見たのか、エルノー・エタムが微笑んだ。
「欲しい?」
「え?もらえるんですか?」
「じゃあ、すぐ持ってくるね。」
すると、父がいきなり剣を抜いて立ち上がろうとした。
私は驚いて、彼の腕にしがみつく。
それにしたって、それは違うだろう!
「まさか、おばあちゃんのものを奪おうとしてるんですか……?」
「それがどうした?」
「おばあちゃんのものですよ……?」
「坊や。パパがもしママを殺したとしても、それは“家族の問題”だろう?」
彼はまるで国語の教科書を読むかのように淡々と笑った。
とはいえ、私はパパのことが好きだけど、正直、あなたの人生って“家族の問題”そのものじゃない?
破滅に向かってる、ダメなパパ。
やりすぎだよ!
「足は二本あるんだから、一本くらいなくてもいいだろう?」
「はぁ、相変わらず手に負えないわね、孫娘。」
「え?」
「この子の幼い頃の写真が見たければ、いつでも言ってくれ。私が種類別、年度別にきちんと整理しておいたから。」
父が話し終わるや否や、無表情で剣を抜いて冷たく笑った。
満面の花が咲いたような微笑みとは異なり、気迫が漂った。
すると、デバンヌが冗談めかして笑いながら言った。
「さあ、お母さんを一度斬ってみたらどう?」
「やめてください、お父さん。」
和やかな家族の崩壊を、私は見たくなかった。
もちろんデバンヌは冗談めいた言葉を言っただけだったが、謝罪も受けたのでもう終わったことだ。
「すぐ戻ります。」
すでに気分が高揚しているパパが私の頭をそっと撫で、隣をすり抜けるように通り過ぎた。
「もしケンカしたら……パパもおばあちゃんも、2週間は会ってあげないからね!」
私は頬をぷくっと膨らませながら言った。
その瞬間だった。
すでに鞘に収めようとしていた彼の剣が、軽やかに円を描くように振られ、再び鞘にカチリと収まる。
デバンヌの印章は、彼女の手の中から完全に消えていた。
「……それは、ちょっと違うんじゃないか?」
「チッ、私の育て方が悪かったか。」
彼女は肩をすくめ、くるりと身を翻した。
「坊や、次は美味しいお菓子を用意しておくから、絶対に来るのよ。こいつらの写真も全部あるから。」
彼女の指先が円卓をさっと撫でた。
やや冷めたその表情を見ても、彼女は淡々と会議室を後にした。
「あれが写真として残っているとは……。」
「この件に関する対策は後ほど決めるとして、とりあえず… ハタールの件はこれで終わらせてもいいのか?」
チャルニエルが私を見ると、私は肉をかみしめた。
一旦、ハタールと吸収した製品を作って出すことが重要だ。
次は……。
『犯人が頻繁に現れる場所が賭博場だと言っていたな……。』
〈小説〉の内容をざっと思い浮かべてみたが、賭博場に関する記述は多くはなかった。
「では、次の議題に移ろうか。」
「えっ、次の議題もあったの?」
「そろそろ私たちの当主についていつ公表するのか決めるべき時が来たと思うんだ。」
チャルニエルの言葉に、父は目を細めた。
「今、明かすべきなのか?」
「そうしないと、無駄に食い下がる者が出てくるでしょう。今回の当主は特別なケースだからね。」
チャルニエルは涼しげな笑みを浮かべながら言った。
すると、ネリア・ジャルダンが口を開いた。
「この件については専門家がいるわよね、レイア。あなたはどう思う?」
「……え? 何が?」
「何って……話聞いてなかったの? まさかまだお母さんが持っていた人形のことを考えてたんじゃないでしょうね?」
「人形だって!?あれを手に入れるのがどれだけ大変だったと思ってるの!私はむしろ糸や列に並んでも手に入らなかったんだから!」
いや、私の人形ってそんなに人気なの?なのにどうして外で売られてるの……?
この混乱した状況を説明してくれる人はいないの?
「会議中だから……?」
ネルリア・ジャルダンのペン先がコツンと円卓の上に落ちた。
アクレア・サファイルがようやく口を開いた。
「わかった、わかったってば!」
面倒くさそうに答えながら、アクレアが私をじろりと見た。
「私の考えでは、少なくとも二度ほど社交界に顔を出してから公表するのがいいと思うんだけど。」
「社交界に?」
「うん。まず、姪様が本当に存在するのか疑う者も多いし、何よりも今や姪様が当主なのだから。」
アクレア・サパイルが言った。
賛否を問うように数回まばたきをしながら皆の反応をうかがう。
「今回は、皇城の社交界にも一緒に参加してみようか。」
「それが一番いいだろう。」
「そうだな、それがよさそうだ。」
シャルニエル・エタムが私を見た。
私は再び肉を噛んだ。
「その前に、混乱した仕事も片付けないと。家主の話が出れば必ず血統の問題も議論されるだろう。」
「……それは後で話すことにしよう。」
「まあ、群れが増えるのは悪いことじゃないからな。」
アクレア・サファイルと父の会話を最後に、ひどく長引いた会議が終わった。









