ニセモノ皇女の居場所はない

ニセモノ皇女の居場所はない【84話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【ニセモノ皇女の居場所はない】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介と...

 




 

84話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 母との面会③

カトリンの話は終わらなかった。

「それに細かな習慣も変わったの。明らかに前に話していたことも覚えていないし、首都に遊びに行くってお金をくれって言ったりして……」

フィローメルが口を開いた。

「味の好みですか?前からエレンシアは辛い食べ物が好きでしたか?」

「わっ、その話を聞いて思い出したわ。前に一度、あの子が『辛くしてもらえない?』って聞いてきたの。前は辛いものなんて全然食べなかったのに。料理に唐辛子粉をかけたらすごく喜んでたわ。」

彼女は眉間にしわを寄せた。

「それから、なんだったかしら……私が作る料理は味が濃すぎるって?す、酸っぱい? よく分からないけど、そんなことも言ってたわ。」

その後もフィローメルはカトリンにエレンシアについていくつか質問した。

カトリンは誠実に答えたが、これといって新たに判明した事実はない。

エレンシアはある日突然変わった。

まるで別人のように。

今のところフィローメルが分かることはこれだけだった。

『これでは特に進展がないな……』

フィローメルの目に陰りが差すのを見たカトリンが言葉を切り出した。

「エレンの日記でも見てみる?」

「日記があるんですか?」

「うん。昔、誕生日プレゼントで日記帳を買ってあげたの。たまに書いてたわ。変わったあとも書いてたみたい。考えてみると……むしろその前よりもよく机に向かってた。すごく真剣な様子で。」

その日記帳が、エレンシアの秘密を解く手がかりになるかもしれない。

少なくとも、本心は垣間見えるだろう。

「日記帳は今どこにありますか?」

「特に何もなければ、私たちが住んでた家に残ってるんじゃない?エレンがあなたを急に連れて行って、私も荷物だけ持って逃げてきたから。もしかしたらエレンがあとで自分の荷物を持ってここに来たのかもしれないけど。」

「それはないと思います。」

エミリーの報告によると、そんな内容はなかった。

エレンシアは皇宮に来て、すべてを新しく整えたという。

『今すぐエレンシアの故郷に行って日記帳を探さなきゃ。』

フィローメルは席から立ち上がり、カトリンに最後に尋ねた。

「日記帳が正確に家のどこにあるか知ってますか?」

「エレンが隠したから私も分からない。突然あの子が変わった後、心配になって家の中を探したけど、結局見つからなかったの。」

それなら自分で行って探すしかない。

「フィローメル……」

扉へ向かうフィローメルの足音を、カトリンは聞き届けた。

「前にも言ったけど、本当にごめんなさい。あなたに一生かけて謝っても償えない罪を犯したの。図々しく許してほしいなんて言わないわ。」

フィローメルは振り返ることなく答えた。

「もういいです。今さらそんな話をして何になるんですか。これからここでどうやって生きていくかを考えてください。」

ぴしゃりとした返事。

ここはただの牢屋ではなく、真の意味での牢獄だ。

一生独りで閉じ込められるべき牢獄。

気が狂いそうなほどの孤独感に、この部屋に閉じ込められた者なら誰でも、いつかは正気を失ってしまうだろう。

それでも、不遇にも今この部屋に閉じ込められている彼女は落ち着いて言った。

「私は大丈夫。私が犯した罪に比べたら、軽い罰だよ。それに、こうして君が訪ねてきてくれただけでも本当にうれしい。もう君の顔を見ることはできないかと思ってたから。」

「………」

唇をかんだフィローメルは、その言葉に対する返事の代わりに別の言葉を口にした。

「エレンシアが来ても、今日あったことは秘密にしてください。捨てられた娘のために、そのくらいはお願いできますよね?」

「もちろんだとも!それに今のあの子は、私が知っていたエレンじゃない。」

「信じます。それでは、さようなら。」

フィローメルは扉を開け、外へと出て行った。

「面会はうまく終わりましたか!」

開いた扉の向こうから、警備兵の挨拶の声が聞こえた。

キーッと耳をつんざくような音を立てて扉が閉まった。

静寂の中でカトリンが言った。

「ルグィーン様は行かないのですか?」

すると、それまで壁にもたれていたルグィーンが彼女を振り返る。

「君に言いたいことがあって。」

「何ですか?」

カトリンは少し震えながら尋ねた。

人間よりも爬虫類に近いあの金眼を見て、思わず彼女の体が震えた。

実際、彼女はフィローメルに対してあまりにも協調的な男を見て、戸惑いを感じていた。

実験のために一緒に過ごした時間は短かったが、カトリンはその男の本質を少しだけ見抜くことができた。

逃げるモンスターさえも容赦なく倒していたその時、彼は笑っていた。

あの男は、命を心に留めることができる存在ではなかった。なのに、なぜフィローメルには夢中になった猫のように振る舞っていたのだろうか。

娘だから?それとも他に特別な理由があるのか?

「お前だよ。気に入らないんだ。」

彼は机に座っていたカトリンに近づき、彼女の肩をつかんだ。

「君が余計なことをしたからこそ、俺がフィルの存在に気づくのが遅れたんだ。」

「……ごめんなさい。」

「契約通り、子どもを産んですぐ俺に知らせていたら、こんな面倒なことにはならなかったのに。」

男の目が細くなった。

この場で殺されるかもしれない。

カトリンはその考えがよぎり、目を閉じた。

だが、彼女の予想に反して、ルグィーンは穏やかに手を放した。

「まあ、いいさ。君はフィルを産んでくれた人でもあるし……俺もちょっとムカついただけで、君をどうこうしようとは思ってない。これからはあの子の計画に従って静かに協力するよ。」

カトリンは冷たい手を当てていた壁を撫でた。

「……どうして面倒だと言いながらもフィローメルを助けてくれるんですか?」

たった一言を尋ねるのにも、大きな勇気が必要だった。

荷物をまとめていたルグィーンが答えた。

「俺はあの子のこと、かなり気に入ってるから。」

「どうしてですか? 特別な理由でもあるんですか?」

「ん? さあ、どうしてかって聞かれても、特に考えたことないけど……。」

男は頭をかいた。

「ただ見守ってるだけでも面白いよ。感情表現も豊かで……まあ、泣くのは嫌だけど。とにかく、しばらくはずっと見ていたいんだ。」

うっすらと笑みを浮かべた男は、光とともに姿を消した。

カトリンはなぜか安心した。

あの人と一緒にいれば、フィローメルが危険な目に遭うことはないだろう、そんな気がした。

「……フィローメル。」

彼女は自分が産んだ子どものことを思い出した。

初めてその子を持つと決めた時の記憶が蘇った。

『自分の子どもを産んでくれる女性を募集中だよ。君も応募する? 応募者は多ければ多いほどいいからさ。』

モンスターの群れから自分を助けてくれた魔法使いはそう言った。

当時、カトリンはひどい自己嫌悪に陥っていた。

自分自身を、何の価値もないゴミのように感じていた。

皇后の侍女の座を追われたカトリンを、家族は非難した。

もし皇帝の怒りを買って追い出されたと知っていたら、兄であるウィリアムの手によって命を奪われていたかもしれない。

そんな時、カトリンの前に現れたのが魔塔主だ。

世界で最も偉大な魔法使い。

『偉大な魔法使いの子どもなら、やっぱり偉大な存在になるんじゃない?』

カトリンはその男の子どもを持ちたかった。

偉大な子どもを産めば、自分の価値も一緒に高まると思ったのだ。

だから実験に志願した。

自分自身が価値ある存在になるよりも、子どもを通して満たされたいという、弱い心から。

当然のことながら、この子が立派な人になったとしても、彼女自身が立派になるわけではなかった。

その事実に気づいたのは、妊娠してからだった。

カトリンの自己嫌悪はますます深まっていった。

『わあ、本当に久しぶり!カトリン、会いたかったよ!』

イサベラが現れたとき、自己嫌悪に情けなさまで混ざっていた。

自分はなぜあの子のように純粋に友達と接することができないのか?

『赤ちゃんの名前?二つの中で迷ってるけど、たぶんエレンシアになると思う。そうね、お花の名前でもあるし。私たち、それもいいって。』

なぜあの人に愛される女性は自分ではなくイサベラなのか?

問題のあの日、理性を失って自分の子と友人の子をすり替えた後だった。

やはり自分は救いようのないクズだった。

友達の死を悲しむよりも、欲望に目がくらんでいた。

自分の子どもでもいいから、その人に愛されたかったという欲望に。

それも一種の代替満足だったのだろうか。

『実は……私も、子どもの名前として考えていた名前があったのに。』

カトリンは少し前までここにいた子どもの顔を思い浮かべ、涙ぐんだ。

「でも、その子には必要なかった。」

フィローメル。

哀れな母親が考えた名前を受け継ぐ必要のない子。

劣悪な環境の中でも、堂々と肩を張っていた子。

—ーああ、お前が私に似ていなくて本当に良かった。

 



 

 

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