こんにちは、ピッコです。
「悪党たちに育てられてます!」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

98話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 親友との再会③
「それにしても、なぜ今になってそんな話を?いいですか。私は殺人未遂について話していたのですが。」
いつの間にか殺人犯にされている。
「まさか、殺人未遂とは……私の息子がそんなことをするはずがありません!一体何をしたというのですか?」
「泣かせました。」
「……今、何と……?」
「あちらの息子が、私の娘を泣かせたのです。」
コリン公爵はまるで喉を詰まらせたように、しばらく何も言えなかった。
「……それがどうして殺人未遂になるのですか?」
「私の姫様は小さく、か弱く、愛らしくて、涙一粒でも流れたら身体が消えてしまうほど……命に関わることだからです。」
いや、お父さん、それは違う。
「私の息子はもっと大切で、愛しくて、か弱いですが。」
コリン公爵の言葉に、剣を握っていた父は力を少し抜き、柔らかく微笑みながら私をそっと地面に降ろした。
同時に、父の姿が消えた。
ドカン!バン!ゴゴゴゴ!
何度かの轟音とともに、舞い上がる埃が部屋に渦巻く。
整然と並んでいた可愛らしい人形たちが宙を舞い、壁が崩れ、本や食べ物が散乱した。
防護膜を張っていた私には被害はなかったものの、一瞬にして壁が吹き飛び、それまで穏やかだった部屋が悲惨な状況に変わってしまった。
「俺のベンベン人形!」
リヒャルトが慌てて叫んだ。
『俺の人形?』
首を回すと、床に無造作に転がっている人形たちが目に入った。
『……本当に出てきたのか。』
まさかとは思ったが、やはりそうだった。
吹き飛ばされた壁の間から、うっすらと埃が舞っていた。
水の障壁がリヒャルトとコリン公爵をしっかりと防いでいた。
完全に防がれた攻撃に、お父さんは肩をすくめながら笑い、私をそっと横に置く。
「惜しいな。」
低く呟いた彼は、冷淡な態度で私のそばに戻ってきた。
「これは一体何の罪なのか、エタム公爵!」
「殺人未遂罪の処罰だが?」
「泣いたことが殺人未遂になるというのですか?」
「そうだ。」
「それが殺人未遂なら、私の息子はすでに数十回は死んでいたでしょう!」
コリン公爵が言った。
「何をおっしゃっているのですか?」
「私の可愛くてか弱い息子が、あなたの娘のせいでどれほど泣いたかご存知ですか?」
「ですが、だからこそ強く育てるべきだったのでは?」
コリン公爵は、父親の身勝手で理不尽な言葉に呆れ、沈黙した。
「……この理屈でいえば、私もエイリンを殺人未遂の罪で裁いていいということですか?」
つまり、殺人未遂という前提自体が間違っているのです!
「……もちろん……」
コリン公爵の言葉に、父の口元が歪んだ。
「ダメだ。」
そしてお父さんはいつも通り、執拗なまでに理不尽な論理を振りかざした。
コリン公爵の眉間に皺が深く刻まれた。
「お父さん!」
私は急いでお父さんの足にしがみついた。
半壊した部屋を見渡していると、どうにかして戦いを止めようと考えている様子だった。
「どうしたんだ、お嬢様。」
「ねえ、ここをどうやって知ったんですか?」
「情報提供者がいたから。」
「情報提供者?」
私が首をかしげると、父は微笑みながら口を開いた。
「私の娘は、ずいぶんと珍しいペットを飼っているんだな。誰かにもらったのか?」
父は意味ありげに言った。
『誰かにもらった……?』
いや、父からもらったのだ。
ぎこちなく笑っていると、父は何かを期待するような表情で私を見つめていた。
まさか……。
「お父さんが……くださったんですよね……?」
「そうだ。」
父は満足げに頷いた。
「でも、お父さん、もう戦うのをやめてくれませんか?」
「どうして?」
「戦うのは嫌だから……。」
私は二人を止めるために、できる限り真剣に静かに言ってみた。
『普通、小説ではこうやって止めるんだけど……。』
私の言葉を聞いたお父さんは、剣を下ろした。
「そうか。なら、お嬢様はもうこのまま宴会場に戻っていなさい。兄たちに、もう一度お前から離れたら外に出して任務に行かせると伝えておけ。」
お父さんは穏やかに笑いながら指を弾くと、床に魔法陣がゆっくりと描かれ始めた。
「俺もすぐ行く。」
いや、戦わないで。
私を追い出すつもりじゃなかったのに。
コリン公爵は、こんな狂った男を見るのは初めてだと言わんばかりの目で父を見ていた。
しかし、その姿はまるで長い眠りから目覚めたかのように、あるいは久しぶりに皇帝陛下と顔を合わせた時のように見えた。
それにしても……ルシリオンが通報したのか!?
ルシリオンは一体何をしたんだ?
神力をこんなくだらないことに使ってもいいのか。
『それにしても、ルシリオンも宴会に参加していたとは思わなかった。』
普通、神官たちは宮廷の宴会には参加しないものだからな。
『ああ、ルシとエノシュが友達だから招待されたのかもしれないな。』
私が長い眠りについている間、ルシリオンはエノシュと共にずっと私のそばを守ってくれていたのだ。
『それはいいんだけど……。』
ドカーン!
ドン!
ガラガラッ!
私は、ほこりが舞い上がる部屋の中をぼんやりと見た。
お父さんとコリン公爵は、もはや目で追えないほどの速さで戦っていた。
水気が飛び散り、轟音が響き、続いて剣が交差する音が反響し始めた。
二人の公爵が宴会のことなど忘れて戦いに夢中になり、ここで一体何をしているのか分からなくなってしまった。
私が読んだ小説では、娘が「やめて」と言えば、普通は狂ったように戦うことはしなかったのに……。
ここにいるこの狂ったサイコパスの父は、私が「やめて」と言っても止まらない。
ファアアアーッ!
魔法陣がすべて描かれると、ついに光を放ち始めた。
「左腕はどこだ?左腕……。」
最後に見た光景は、瓦礫に埋もれたまま片腕がもげた人形の残骸を握りしめるリヒャルトと、今や廃墟と化しつつある邸宅、そして……。
「よくもまだ10歳にもならない私の娘に求婚するつもりか?」
まったくの大騒ぎだった。








