こんにちは、ピッコです。
「ちびっ子リスは頑張り屋さん」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

106話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 始まりと終わり⑦
「っ……」
華やかな装飾が施された寝台。
金糸を織り込んだ刺繍が施された東大陸の高級布団が儀式用に敷かれた二重枕の下。
白い布をぎっしりと巻いたまま、寝台の枕元に体をもたれさせた国王が、かすかにうめき声を漏らした。
「陛下……」
その傍で直接付き添っていた第二王妃が、不安げな表情を浮かべた。
国王の額に汗はにじんでいなかったが、怒りで上がった熱を少しでも冷まそうと、第二王妃は水に浸した小さな布巾を国王の顔へと運んだ。
しかし、その心遣いが無駄であるかのように、国王は第二王妃の手を払いのけ、焦燥感のにじむ口調で口を開いた。
「まだ連絡はないのか?」
「陛下、それは……。」
「裏切り者め、この恩知らずどもめ!私が育ててやったというのに、恩義も知らぬとは!」
怒りを抑えきれずに吐き捨てる国王を、第二王妃は冷ややかな目で見つめていた。
「近衛隊?いつもは些細なことにも心臓が飛び出そうなほど騒ぎ立てるくせに、いざ本当に必要なときには何の役にも立たぬ捨て犬どもめ!」
カン、カン!
さらにもうひとつ、国王の手から投げられた銀の盃が大理石の床にぶつかり、不吉な音を響かせる。
盃の中に残っていた水が飛び散り、絨毯を濡らした。
本来なら家具のように静かに壁際に控えているはずの王宮の召使いたち。
しかし、最近では耳にしてはならぬ話が頻繁に飛び交うようになり、国王の寝室にはもはや誰ひとりとして侍る者はいなかった。
その結果、状況は刻一刻と絶望へと向かっていた。
高級カーペットは、まるで今の王宮の状況を映し出しているかのようだった。
「ふっ……」
徐々に滲んでいく水の染みが、カーペットの色を変えていくのを見ながら、リテラは考えた。
『近王派を自称していた貴族たちも、さすがに気付いたか。』
今、流れが向かっている先はどこなのか。
あの宴会の後。
国王は、まるで貴族たちを落ち着かせるために前代未聞の公開裁判という手を打った。
しかし、国王が引き起こしたことは、次第に手がつけられなくなり、逆に「初代の誓約」なるものまで、町の子供の口に上るほど広まってしまった。
その後、ゆっくりとアスラン家から要求された公開裁判が開催されれば、国王に下される「処罰」が何であるかについての具体的な推測が、貴族たちの間でささやかれるようになった。
そして、「近王派」という言葉が王宮の中でささやかれるようになり、特に賑やかだった貴族たちは身を潜め始めた。
召喚に応じる貴族の数は次第に減少していった。
打開策を探すどころか、今なぜ自分が王宮に出席できないのかという弁明ばかりが積み重なっていくのを見て——
「うわああああ!」
国王は怒りを抑えきれず叫びを上げると、ついには心臓の発作を起こして倒れ込んだ。
健康が優れず、心の安定が必要だという名目で、あの忌まわしい公開裁判を拒否できるかもしれないと考えながら。
しかし、とうとう政務を見ることもできないまま、寝台に横たわるしかなかった。
「大臣!どうしてこのように役立たずばかりなのだ!側近に誰一人としていないとは、どういうことか——!」
「父上。」
そうして不満をこぼしながら横たわるも、結局何の返答も得られず、国王は本当に心臓の病を患ってしまった。
冷たい空気をまとった国王が再び声を荒げようとしたその瞬間、リテルは素早く口を挟み、それを封じた。
『この老人の無駄な叫びを、兵士たちにまで聞かせる必要はない。』
「リテル?」
思考とは裏腹に、わずかに関心を含んだ表情を浮かべたリテルに向かって、国王は片方の眉を上げながら口を開いた。
「陛下の近くにお仕えするお前が、まさか私に対しても余計な問題を起こすつもりではないだろうな?」
「当然です。」
「まさか何の用もなく、こんなに堂々とやってきたわけではあるまい?今、このくだらない話に付き合っている暇など一秒もないのだ。」
「お心配をおかけするつもりはありません。私がどうして、父上の時間を無駄にしたり、問題をさらに増やしたりするでしょうか?」
苛立ちをぶつけるような国王の態度に対し、リテルは微動だにせず、むしろ従順な声を出して話しながらも、その唇にはどこか意味深な笑みが浮かんでいた。
「心配しておられる問題を解決できるかもしれません。」
「!?」
それを聞いた国王の濁った目が大きく見開かれた。
「お前、解決策を見つけたというのか?」
「その前に、関連して先に確認しておきたいことがあります。」
直接答えを求める国王の言葉を軽く流し、リテルが尋ねた。
「父上、今『王家の遺産』はどれほど残っていますか?」
「……何?」
国王の顔色が一瞬で変わった。
苛立った声の中には、自分のものを狙う者に対する本能的な警戒と不安が入り混じっていた。
「なぜそれを聞くのだ。」
「非常時ではありませんか、父上。」
疑いの目を向ける国王の視線を受けながらも、リテルは穏やかに微笑みを浮かべながら言った。
「王国の危機に備えて残された遺産なのです。この国で最も貴重な白い蛇が、混乱の中にある今こそ、それを使う時ではありませんか?」
「ふむ……」
「もちろん、遺産がどれほどの価値を持つのかは存じております。しかし、それでも父上の名誉を損なうわけにはいきません。」
久々に耳に心地よい言葉を聞き、国王の眉間がわずかに動いた。
「確かに……非常時ではあるな。」
「ええ。そのように英明な父上が、まさか大したこともないことでこれほど大騒ぎし、牙を剥くとは誰が想像したでしょう?」
「……!」
「忠誠を示すことに変わりはありません。」
「ふむ、ふむ。なるほど。」
「ここまできた以上……ある程度の損害は覚悟するとしても、根本的な問題を解決する方がよいのではありませんか?」
国王がしばらく考え込むようにしていると、そばにいた第二王妃がそっと手を伸ばした。
「聡明な我が息子の言葉を聞いてくださいませ、陛下。」
「ふむ……。」
評価するかのような蛇のような視線が、一瞬たりとも微笑を崩さないリテルの顔へと向けられた。
まるで自分を映し出したかのような顔立ちをしげしげと見つめた国王が、突然ぶっきらぼうに口を開いた。
「何をしようというのだ?」
それが国王の許可であることを知っている第二王妃は、目元をわずかに綻ばせた。
リテルは迷いなく、自信に満ちた声で言葉を発した。
「まず、今逃げ回っている獅子たちを抑えなければなりません。」
「ふん!もっともらしいが、あの傲慢な奴らが育て上げた小癪な策士どもを見てみろ。俺を幼い愚か者のように思って好き勝手させるつもりか?当然、あのアスランの連中を捕らえてこいと近衛隊を送っただろうが……」
果たして近衛隊が黄金獅子の騎士団に勝てるのかという戦力的な問題を除いても、王国の騎士たちがアスラン家を攻撃するのを王国民が目撃した場合の反発も考慮しなければならなかった。
それほど長年にわたり、アスラン家は確固たる信頼を築いていたのだ。
「必ずしも兵力だけが解決策ではありません。」
「ふん!あの化け物のような連中には、毒さえ効かないことを忘れたわけではあるまい?」
王室の秘密記録に記されている確実な事実だった。
何代か前の公爵が、直系の食事に猛毒を混入することに成功したものの、それはまるで馬鹿げたことであったかのように効かなかったのだ。
一週間も経たずに戦闘の火蓋が切られ、あっという間に形勢が決まった例がある。
自分の想像の中でさえ、どう考えても策略を巡らす気配のない獅子たちの姿に、国王は顔をしかめた。
『しつこくまとわりつくアスランの奴らめ!』
「父上。」
「……。」
「どんなに強固な糸も、弱い糸があれば切れるものです。」
興味を含んだ国王の視線を感じながら、リテルは口元を持ち上げた。
「私には良い方法があります。」
にっこりと微笑んだリテルは、かつて突然の嵐のように降り注いだ日のことを思い出した。
膝をつき、身を地面に押し付けながら、心から屈辱を味わったあの日――
『アテレ、お前が浴びせた侮辱を、そのまま流せるとでも思っているのか?』
「そして、この方法は我々の家族を裏切り、王室の権力を根こそぎ引きずり下ろすことに協力した兄上も一緒に捕らえることができる一石二鳥の計です。」
「一石二鳥の計?」
「ええ。」
その日、慎重に彼の異母兄弟が反応したことを思い出したリテルは、微笑をかすかに浮かべた。
「兄上の弱点……私、それが何か分かる気がします。」
「ふむ。」
目を細めた国王は、満足げに鼻歌のような声を漏らした。
耳を傾ける彼に向かって、リテルはしばらく前に思いついた方法について説明した。
「まず最初は……」
「ほう。」
「そして次に……」
「ふむ、ふむ。」
リテルの話が進むにつれ、機嫌が良くなった国王が満足げに言った。
「よし、いいだろう!」
「では、このための道具をいくつか貸していただけますか?」
「うむ……。」
この計画のために「王家の遺産」に関する検討を提案したリテルの説得を受け、国王は不満そうな表情を浮かべながらも、あっさりと了承の言葉を発した。
「いいだろう。許可しよう。」
「ありがとうございます、お父様。」
「フン。それくらいは当然だ。」
腕を組んだ国王は、数年前の出来事を思い出しながら眉をひそめた。
かつて王宮が崩壊した際に失われた数々の秘宝を考えると、今でも悔しさが込み上げてくる。
「陛下……。それでも、あなたの賢明さのおかげで大切なものは見つかったではありませんか。」
「フン……。」
国王の険しい表情を見た第二王妃が、そっと彼の腕を握りしめ慰めたが、国王はその瞬間、消えてしまった遺産のことを考えながら、惜しむ気持ちを抑えきれなかった。
『それでも、私が使えるだけの量は確保できたが……。』
これからは、長く保存される歴史的遺物としての価値はあるが、もはや実用できる量は残っていなかった。
「ところで、お父様。神聖帝国との取引の件ですが。」
別の考えに沈んでいた国王は、突然鋭く割り込んできたリテルの言葉に咳払いした。
「あちらが提示した対価はすでに受け取られたのですか?」
「……お前がそれをなぜ気にするのだ!」
国王は険しい表情をし、大きく息を吐いた。
するとリテルは、一瞬目をゆっくりと大きく開いた。
「あ、私はただ……。」
まるで突然の父の怒りに驚いたように、国王の視線を避けて目を伏せたリテルが、言葉を詰まらせながら口を開いた。
「その……、もし役に立つものならば、『王家の遺産』を無駄にするのではなく……計画に活用できないかと……そんな考えが浮かんで……。」
「ふむ。」
怒った父の目をまともに見ることもできず、恐る恐る話すリテルを見つめる国王。
国王は自分の権威に注意を払う息子の姿に満足したのか、ゆっくりと自分の顎を撫でた。
「それならば。」
「……父上?」
慎重に国王の顔色を伺うリテルの様子に、国王は突然豪快に笑い声を上げた。
「ハハ!何をそんなに恐れているのだ、我が息子よ。」
「おお……。」
「さあ、肩をしっかりと伸ばせ。高貴な白い吸血鬼の血を引く者は、どこにいても堂々としていなければならない。」
重々しい父親の様子に少し戸惑いながらも、リテルの肩を軽く叩いた国王は、機嫌が良くなったのか、自信に満ちた声で言った。
「そうか。私に似たお前だ、頭の回転が速いのだから、そんなことを気にするのも無理はないな。」
「あ、それじゃ……。」
「ふむ!だからといって、それを許すというわけではない。このようなことに使うのは、いささかもったいない。」
国王がきっぱりと断ると、リテルの淡い黄金色の瞳が微かに揺れた。
一瞬、わずかに警戒心を緩めたかのような微笑みを浮かべたリテルは、ようやく納得したかのように小さく頷きながら言った。
「ああ、そうなのですね。でも、わざわざ厄介ごとになりかねない取引を受け入れるほどでしたら……。きっと父上がご判断なさるに値する、大きな利益になることでしょうね。」
「では、それでいいのか!」
まるで本当に深い意図もなく尋ねただけのように、リテルはそれ以上質問を投げかけることなく、父への賛嘆の言葉で話を終えた。
息子の顔に浮かぶ敬意の光を確認した国王は、満足そうに口元を上げながら小さく頷いた。
「むしろ奇跡に匹敵する力を手に入れたのか?」
「!」
リテルは驚愕の表情を隠せなかった。
その顔を見た国王は、満足げに頷きながら静かに呟いた。
「それは神の力だった!」
「神の力……?」
「そうだ、それは……。」
リテルは、果実を好む副王の性格をよく理解していた。
だからこそ、副王が警戒して口を閉ざす代わりに国王が自らの功績を誇れるように、巧妙に誘導したのだ。
国王が長々と話を続ける間、リテルは「父を尊敬し、感嘆する息子」という役割を忠実に演じ、表情を保った。
「果たして。」
「ふふ、分かったか? 余の知恵とはどれほどのものか。」
「はい。実に素晴らしいです。」
リテルは望んでいた通り、意味のないお世辞を国王の口に乗せた。
副王が満足そうに盃を傾けている間、驚きと感嘆を装い、口元を覆うリテルの手の下では、
『これは、覚えておく価値がある。』
満足感に軽く牙を噛み合わせるように、吸血鬼の口元がわずかに持ち上がった。








