幼馴染が私を殺そうとしてきます【４９話】ネタバレ

「ペルセウス皇帝は養女に夢中になっています。王位までも譲りかねない勢いですよ。」

「情けないやつめ…最初からエリザベスをあんな奴に送るべきじゃなかった！」

老公爵の目には怒りと恨みが宿った。

カリウスもまた、あごが飛び出すほど歯を食いしばった。

「その通りです、父上。ペルセウス皇帝には父親としての資格がありません！レリアを見抜けなかっただけでなく、逃げ出させる羽目にまで……」

「まさにそれだ！」

「あの子が皇城でどんな目に遭ったかご存じですか？」

「……レリアが君に話してくれたのか？」

公爵の眉間がひそんだ。

彼は分かっていた。

レリアが自分にあの時受けた傷のことを話さない理由を。

年老いた祖父がそのことで心を痛め、体まで悪くしてしまうのを心配しているのだろう。

わずか十歳そこそこの幼さに似合わず、彼女は心の深い子だった。

だからこそ胸が痛んだ。

あまりにも早く大人になってしまった。

世界を知ってしまったから。

「はい。すべて話してくれました。ですが父上には決して申し上げません。」

「……なんだと？」

公爵の表情はさらに険しくなった。

カリウスは小さく咳払いをして言った。

「レリアが父上に話さないでくれと言ったんです。心が痛むだろうからって。」

「それなら最初から話を持ち出すな。今さら私をからかうつもりか？」

「ただ、そういうことです。レリアもわかっています。姉さんが一番大切にしていた家族が私だということを。」

「このバカ者が……」

カリウスは父親にしばし驚いた表情を見せた後、すぐに真剣な声で言った。

「今、それは重要なことではありません。父上、レリアには錬金術の才能があることをご存じですか？」

「……錬金術だと？」

公爵の表情は険しくなった。

錬金術は異教徒の所業という認識が広まっているが、すべての人がそう考えているわけではなかった。

クロイツ教に深い信仰心を持たない者たち──つまり、神を信じない人々は、錬金術を別の観点で捉えていた。

妻を治すために錬金術について調べたことのある公爵も、まさにそうだ。

錬金術で妻を治すことはできなかったが、それでも錬金術に対する認識自体は否定的ではなかった。

むしろ肯定的な側に近かった。

二人は険しい表情でその件について議論し始めた。

もしレリアが望むなら、二人はその子がやりたいことを思う存分やらせてやろうと考えていた。

ただし、子供の安全のためには慎重にならなければならない。

しばらく錬金術について話していた途中、カリウスはぐっと拳を握りしめ、テーブルをバン！と叩いた。

突然、またレリアが受けた仕打ちが思い出されたのだ。

「考えれば考えるほど怒りが湧いてきます！フェルセウス皇帝も皇帝ですが……セドリック、デミアンのあの奴ら……」

カリウスが歯ぎしりをすると、公爵は目を閉じて言った。

「まさか！あの連中がレリアをいじめたというのか？」

「……」

「いや、違う。十分すぎるほど苦しんでいるな……」

公爵は、自分が何も考えずにいたことが愚かに思えてきた。

カリウスは、少し迷った末に言った。

「それだけではありません。あの連中も私の父と同じです。新しくできた妹にすっかり夢中になって……三兄弟がまるで腕に抱え込んだみたいに、大騒ぎになりました。」

「……」

二人は深くため息をついた。

痛ましい出来事だった。

あの有様を見たくないからと、『レリアは本当はお前の娘だ』と事実を告げると、ペルセウス皇帝が黙っているはずがなかった。

エリザベスの娘が生きていると知ったら……彼はどんな手を使ってでもレリアを皇城へ連れ戻そうとするだろう。

「レリアを絶対に皇城へ戻すわけにはいきません。」

「同意する。」

「セドリックとデミアンにも知らせてはいけません。あいつらが領地に押しかけてくるかもしれないので、父上、必ず阻止してください。」

「……わかった。」

セドリックとデミアンは二人にとってとても大切な存在だった。

エリザベスが残した子供たちだったから。

カリウスはますますもどかしさを感じていた。

本物の兄弟たちはレリアを見抜けず、むしろ彼女を苦しめていた。

そのことがたまらなく腹立たしかった。

『目の前にいたらぶん殴って叱り飛ばしてやるのに……』

──そんなことを思っていた、そのとき。

ドン！

突然、シュペリオン公爵がカリウスの頭をげんこつで殴った。

カリウスは思わず痛みに頭を抱えた。

「うわっ！　何するんですか、お父様！」

「だが見てみろ……お前はあんなにもレリアをかばって、今ここに戻ってきたじゃないか！」

「もう叩かないでください！　いい年して何やってるんですか！」

「この野郎！」

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一方、カリウスが帰った後、レリアはすぐに錬金復元の画面を開き、クリスタル充填を押した。

『久しぶりの現実世界だな…。』

元々彼女は、ゲームにおける「花」は農場だと考えるタイプだった。

しかし現実世界も、ゲームにおいて欠かせない魅力のひとつだった。

充填を押すと、すぐに錬金道具が次々と線が引かれた。

【クリスタルをチャージしますか？ (•̀ᴗ•́)و 】

「うん！」

【どれくらいチャージしますか？ (ﾟ▽ﾟ) 】

レリアは万が一に備えて緊急資金として金貨を一枚、10万シリングだけを残し、残りすべてをテーブルの上に並べる。

「これで全部。」

【キャッ！充電を進行します！✧.٩(ˊᗜˋ)و✧*.】

レリアは目を細めた。

錬金道具がやたらと嬉しそうなんだけど…気のせいかな？

しばらくして、錬金道具の吹き出しとシステムウィンドウが次々と現れた。

【ご主人様！4,000クリスタルのチャージが完了しました！٩(๑❛ᴗ❛๑)۶ ボーナスクリスタル400個が追加されました！】

【system：4,400クリスタルチャージ完了！】

同時にテーブルの上に置かれていた金貨たちが、跡形もなく消えた。

レリアは目を瞬きすることもできず、その光景を見つめた。

「……」

なぜか胸が詰まり、もったいない気持ちになったが、今必要なのは材料を集めることだった。

お金は惜しいけれど、パンパンに満たされたクリスタルを見て気持ちが引き締まる。

『よし…投資した額以上にたくさん稼がないと。』

レリアは気合を入れ、インベントリを開いた。

そして一般材料を取り出した。

特におばあちゃんの認知症を治せる魔法薬の材料、炎の花の材料を真っ先に活性化させた。

ポロロン！という効果音と共にゴールドドラゴンが現れて飛び回った。

材料を集め始めたのだ。

『よし。今日から狂ったようにレシピをクリアして材料を集める。』

カリウスが少しでも彼女に対する疑いを捨て、過去の傷を癒してくれたからだろうか？

以前よりも少し気分が晴れた気がした。

インベントリを拡張して、材料を解放すると、クリスタルはほぼ底をついた。

『何を作って本編を探そうか……？』

とはいえ、アイテムを作れば現実で引き出すことができるので、ここに投入したお金を取り戻せる可能性もあった。

レリアは材料に余裕があったので、たくさん作れるアイテムを探し始めた。

そして制作を開始した後、ゲーム画面の構成をちらりと確認した。

もともと『年金復権』というゲームのストーリーはくじ引き屋を運営していたが、やがて錬金薬屋に業種転換する内容だ。

一言で言えば、錬金薬や道具を販売する商売ゲーム。

しかし今は商売システムが封鎖されていた。

ゲーム内で取引していたお客たちは村の住民たちだったが、動物の住民もいれば、エルフや人間などもいた。

いつも配達のようなクエストを受けたりもしたが、それでも好感度によって得られるものは結構嬉しかった。

今はその住民たちとの縁や好感度システムも封鎖されていた。

『問題は特殊材料だけど……』

特殊材料を得る方法も商売報酬や好感度システムだった。

『これ、いつ解放されるんだろう？』