こんにちは、ピッコです。
「アゼルダ~精霊使いの契約結婚~」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

31話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 母親の痕跡
アジェルダはラウルの名前を呼びながらも、シェイドと一緒にいる時には見せなかった顔を出していた。
それは精霊のものと思われる、悲しげな表情だった。
「ふう、人間……どうして私が人間の表情なんか気にしなきゃいけないの?」
「ごめんなさい。人間の世界に親しい人もいないから寂しいでしょう?」
「寂しい?人間の感情なんて私に何の関係があるの?召喚士のそばにいるのは、あくまで心を置いているからであって、お前が死んでしまわないように見張っているだけ。」
「……そんなこと言わないでください。」
「人間はちょっとつまずけば死ぬものだって知ってるだろ?」
誰が死の精霊じゃないだろうか。
結局のところ、人間は死ぬ生き物なのに。
生きている習慣を捨てきれないだけさ。
【それで何を見つけたの?】
何か見つけられたらよかったのに。
彼女は気落ちして木箱を振る。
「やっぱり違うみたいですね。母が手紙を残したと思ったのは、単なる私の思い込みだったのかもしれません。本当に手紙が残っているのかどうかも分からないし……とにかくここには何もないみたいです。ほら。」
ラウルは彼女がベッドに座って毛布の上にばらまいた治癒の玉をじっくり見ていたが、その間に下に飛び降りた。
玉をかじってみたり、鼻を近づけて匂いを嗅いだり、前足で押したり転がしたりしていたが、ついには木箱をぽいと抜き取り彼女の隣に投げ捨てた。
アジェルダは期待感を持ってその様子を見つめていたが、ラウルがあっさりとすぐに興味を失って投げ捨てると、なんだか拍子抜けしてしまった。
「そんなに簡単に見て分かるの?」
[俺が誰だと思ってる?]
「……ラウルはもちろんすごいけど、それでもですよ。」
「こうして見ても分からないな。あそこに何かの仕掛けがあるとしても……。文字や声を録音したものがあったとしても、何かしらのきっかけや行動をしないと発動しないんじゃないか? それが分からない限り、これ以上こんなふうに目で見ただけでは何も分からないだろう。」
「……そうなんですか。」
アジェルダはラウルが一度興味を失うと、簡単には再び興味を持たないことを知っていた。
彼に再び興味を持たせようとするよりも、彼女は自分で治癒の玉を一つ一つ手に取って、何度も詳しく調べたが、やはりラウルの言う通り、特別な特徴を見つけることはできなかった。
「これ以外に、特に奥深い仕掛けはないみたいだけど……。」
【じゃあ、もう運に任せるしかないのかな。】
「はあ……また振り出しに戻るのかしら。」
未練を捨てきれず、彼女はしばらく玉をいくつか手に取ってじっと見つめた。
ラウルは特に彼女のことを気にかけず隣でぐったりしていたが、ぱっと立ち上がってドアの反対側の壁にぴょんと飛び跳ねた。
[人間、ちっ。次にしよう。]
「……あ……。」
シェイドが戻ってきたようだった。
アジェルダは結局手紙は見つけられなかった治癒の玉を片付けていた。
ほどなくして入ってきたシェイドは書類の束を抱えていて、彼女は彼がそれを整理している間に先に眠りについてしまった。
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シェイドは朝から会議に出席するために忙しく出かけた。
主要な大臣たちや、首都に集まった大公爵たちが参加する大きな会議だった。
皆、宴会を楽しみに来ていた者たちとは違い、やや疲れた顔で席を守っていた。
最後に王子が入ってきて、長い会議のテーブルを取り囲んで座っていた者たちは一斉に背筋を伸ばした。
「いい日に雰囲気壊さないで、笑って。」
王子がにっこり笑いながら席に着いた。
「私が調整している間は、金を出せと言うしかないのは分かっているが、食うにはやらざるを得ないだろう。そうか、南部はまた収穫量が少なくて、金を出すのが難しいと文句を言うだろうし、北部は支援金の問題だろう。さて、どんな会議か、何が話し合われているか、ちょっと覗いてみようじゃないか。」
まずはそんな軽口を叩きながらも、王子の笑顔とは違い、公爵たちの表情はあまり明るくならなかった。
一つ目の議題は、首都の防衛軍の大将であるラブロが切り出す。
「首都で最近失踪届がやけに多いという話は、皆さん耳にされたかと思います。ある程度、失踪届というものはいつもあるものですが、最近はその数が急激に増えています。そこで、東西南北の防備を担当しておられる公爵の皆様に、この場にお集まりいただいた次第です。」
失踪者が多いという話は、ただ北部への支援金を減らすための口実かと思っていたが、それは事実だったようだ。
シェイドは一部の必須ファイルを手元に取り、前に積まれた報告書を静かにめくってみた。
男女、身分を問わない失踪?
特に特定の要素はないようだった。
それをパラパラめくるシェイドの指先をじっと見つめていた王子は、机の上に両足を投げ出した。
顔が青ざめているように見えても、彼の胸中の不快感は十分に伝わってきた。
「だから何だ。」
「……はい?」
「それをここで話してどうするつもりだ、ラブロ。今お前は、自分が仕事をうまくできていないって自慢してるのか?あ?」
ラブロは王子の顔を見上げ、まだ読みかけの部分が残った報告書を机の上に置いた。
「……この案件は次の宮内会議の時にお話しします。」
「聞いたよ。分かってるって。もう耳が痛いくらい聞いたじゃないか?俺はな、君があの家から出て行った人たちを探し回ってる時間にやるべき仕事がたくさんあると思ってるんだ。」
「でも、その数が急増していて……。」
「聞こえないのか?」
「状況を見守ります。」
ラブロが席に座ると、その場の重苦しい雰囲気に誰も口を開けなかった。
進行順に次の発言者であるシェイドが席を立った。
彼は王子の顔色を気にせず、場の雰囲気に媚びることもせず、北部で起きている魔物事件の深刻さを自ら調査したデータを細かく示しながら誠実に説明した。
説明が終わると、ティルトがそっと手を挙げて公爵の発言を止めた。
すると王子は軽く体を傾け、目を閉じたまま沈黙した。
「……何だって?ああ、ごめん。ちょっとぼーっとしてたみたいだ。最初からもう一度聞かせてくれるか?」
王子は精霊師を見つけられないことで心がかなり苛立っており、さらにアジェルダだか何だかという北部公爵夫人と話す機会もろくに掴めず、宴会の席から半ば強引に引きずり出されて、ますます機嫌が悪くなっていた。
会議は長引く予定だった。











