こんにちは、ピッコです。
「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

101話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- この世界は③
そのキツネは、あっという間にフィローメルの鼻先まで近づき、鼻をクンクンと鳴らした。
「バグ?」
今度は反対側から声が聞こえた。
「プレイヤー?」
妖精はしばらくその動作を繰り返した。
「バグ? プレイヤー? バグ? プレイヤー? バグ? プレイヤー?」
妖精の声はまるでぬいぐるみのようにとても可愛らしかったが、フィローメルはなぜか不安になった。
特に「バグ」という言葉を発する時の顔が、まるで亡霊のようで非常に恐ろしく感じられた。
『“バグ”と“プレイヤー”が具体的にどういう意味なのかは分からないけど、とにかく“バグ”だと判断されるのはマズそう。』
フィローメルは反射的に口を開いた。
「プ、プレイヤーです!」
その瞬間、キツネの顔が晴れた空のように明るくなった。
「プレイヤー様、ショップへようこそ!」
その声と同時に、辺りを覆っていた霧がすっと晴れていった。
そして、まるで絵のように美しく可愛い建物が一軒姿を現した。
フィローメルは看板に大きく書かれた文字を声に出して読んでみた。
「……星の光ショップ。」
淡いピンク色の外観が特徴的なショップだった。
中がよく見えるオープンな造りで、カウンターには商品が並べられ、販売されているようだった。
「いらっしゃいませ!」
ついさっきまで彼女の隣に立っていた妖精は、いつの間にか店の奥にいた。
『……もしかして、あの子が店員?』
フィローメルは警戒しながらゆっくり近づいたが、妖精は相変わらずにこにこ笑っていた。
彼女は台の上にあった物をさっと片付けると、くるりと背を向けて店の奥へ向かった。
後ろから調べることに決めた。
あの妖精と正面から向き合うのが怖くて避けたわけではない。
その時、何もない店の奥から、ぼんやりしていたフィローメルの耳に声が聞こえた。
妖精以外に誰かがいた。
「プレイヤー様、ご来店ありがとうございます。」
フィローメルに向かって、いつもと変わらない挨拶をするキツネに、誰かが叫んだ。
「惑星期の販売禁止って、いつ解除されるの?」
フィローメルは息をのんだ。
それはエレンシアの声だった。
少し前、「真実の涙石」が見せてくれたエレンシアの記憶がよみがえった。
最後に湖のほとりで、彼女が周囲を見回しながら言った言葉。
「“ここは、ここは……!”」
私は書いた小説でもないし、〈皇女エレンシア〉でもない。
「“戻ってきた皇女様のドキドキ宮廷ライフ”じゃないの!」
場所は星明かりの商店の前。
確証を得ようとしながらエレンシアに向かって問い詰める妖精に、妖精は慎重に答えた。
「申し訳ございません。回答できないご質問です。より詳細な内容をお知りになりたい場合は、Q&A掲示板をご利用ください……」
「掲示板なんて作っておいて!その掲示板って一体どこにあるのよ?」
「申し訳ございません。回答できないご質問です。……それについてもっと詳しく知りたいなら……」
「うわああ!このクソゲーめ!」
「不適切な言葉の使用が検出されました。正しい言葉遣いで健全なゲーム文化を……」
「クッソ!」
「不適切な言葉の使用が検出されました。不適切な言葉の使用が累積50回に達するとペナルティが課されます。」
「なに?ダメなの!?」
「キャラクターたちの好感度がランダムで減少します。」
「私の好感度!クッソ、やめてくれ!」
「不適切な言葉の使用が検出されました。正しい言語生活を通じて……」
「Xみたいな妖精のクソッタレ!」
「卑猥な言葉の使用が検出されました。警告を……」
「きゃっ!」
エレンシアはしばらくの間、怒りを抑えきれずブツブツ言っていたが、ようやく妖精に罵倒以外の言葉を投げかけた。
「……もういいわ、中級知恵の秘薬でもちょうだい。」
「何個ご入り用ですか?」
「一つ!」
「3ゴールドになります。」
チリン、と硬貨がぶつかる音がした。
「ご利用ありがとうございました!」
狐の挨拶に代わって、鋭い足音が聞こえてきた。
フィローメルはかなり長い時間待っていたが、エレンシアが完全に消えたと確信が持てたとき、店の裏から出てきた。
カウンターの前に立った狐は、今回も同じ挨拶をした。
「プレイヤー様、ショップへようこそ!」
フィローメルは直感した。
彼女がかねてから気になっていたエレンシアの秘密の一つがここにあると。
『知る必要がある。』
彼女は、エレンシアと狐が交わした会話の内容をじっと聞きながら狐を見つめた。
フィローメルは慎重に口を開いた。
「……あの、こんにちは?」
「こんにちは!」
「ここはどんな場所ですか?」
「星光商店です。」
店名だけでは何をするところなのか見当もつかなかった。
フィローメルの視線はカウンターの上へと向かった。
一定の間隔で区切られたケースの中に商品がひとつずつ並んでいた。
おまけに商品のおよそ半分が黒く濁っていた。
とりあえずは無難な形の商品の方から見ていくことにした。
食品、装飾具、秘薬、それに一見するとガラクタのような奇妙な物まで。
『商品構成がなんか…中華雑貨店みたい……あれ、秘薬?』
どこかで見たことのあるような物体が彼女の視界に入ってきた。
星型のガラス瓶に入った黄色の液体。
『エレンシアが飲んでいた魔法の秘薬じゃない!』
フィローメルがその秘薬を詳しく見ようと手を伸ばした瞬間――
「ティリン」と音がして、目の前に四角いウィンドウが開いた。
確かに何もなかった空間に、である。
彼女はそのウィンドウに表示された文字列の中で、最初の一文を見つめた。
【■■ ■■■■ ■■ (■/■■)】
エレンシアの日記にあったあの文章だ。
まさに次の瞬間、窓がジジジッと音を立てて震えた。
正体不明の文字たちが徐々にフィローメルに馴染みのある文字に変わっていった。
ベレロプ帝国の文字だった。
『もしかして、見る人にとって一番なじみのある文字に変わるのか?』
先ほどから驚きの連続だったせいか、フィローメルは奇妙な窓の前でも素早く平然とやり過ごした。
すると窓の文字がすべて帝国語に変わった。
彼女は再び、最初の一文を読み返した。
[中級 知恵の秘薬 (3/20)]
文章は以下のように続いていた。
[説明]服用時、使用者の知能ステータスを上昇させる。
持続時間:30分
価格:3ゴールド
知能ステータスの上昇、効果までもがエレンシアの秘薬と一致していた。
『出処はやっぱりここだったのね!』
フィローメルは隣の棚へと視線を移した。
中級知恵の秘薬とよく似ているが、サイズが少し小さく、より淡い光を放つ薬があった。
その薬に手を近づけると、ためらいなく空中にウィンドウが現れた。
【下級 知恵の秘薬(7/30)】
説明:服用時、使用者の知的能力値を少し上昇させる。
持続時間:10分
価格:2ゴールド
中級との違いは、説明文に「少し」と記載されており、持続時間と価格にも差があることだった。
『中級と下級があるなら、上級もあるんだろうな。』
しかし上級があるだろうと考えられる中級の隣には、黒い物体が置かれていた。
パチッ!
フィローメルがその物体に触れようとしたが、知られざる力に阻まれた。
それでも説明ウィンドウは開かれた。
[上級 知恵の秘薬(?/?)]
まだ解禁されていない商品です。
条件を満たして商品を手に取ってみてください。
解禁条件:好感度200以上
『好感度? それはまた何?』
それで思い出したが、エレンシアが暴言によるペナルティを受けた時、好感度が下がったと言っていた。
フィローメルは、もしかしたら教えてもらえるかと思い、狐に尋ねた。
狐はさっぱりと答えた。
「好感度とは、攻略キャラクター3人とサービスキャラクター1人がプレイヤー様に対して感じている好感の程度を数値化した指標です。」
攻略キャラクター?サービスキャラクター?
意味がわからない言い回しだった。
狐は続けて説明した。
「好感度を蓄積するほど、多くのショップアイテムが解禁されます。また、全キャラクターの好感度の状況は、ショップ右側の案内板で確認できます。」
その言葉通り、商店の右側の壁に小さな案内板が貼られていた。
小さく描かれた4人の顔の横には、それぞれの名前とバーグラフが表示されていた。
すべて知っている人物だ。
- ユースティス(家族):82%
- ナサール:0%
- ジェレミア:0%
- キリオン:76%
総合好感度:158
フィローメルはぼんやりと4つの赤い棒グラフを見つめた。
正確に言うと、そのうち2本は棒グラフというよりは実線に近かった。









