こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

56話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 妹分
路地裏にある小さなブランチカフェ。
可愛らしいインテリアで飾られた店内には、大柄な男たちがぎっしりと座っていた。
皆剣を帯びているだけでなく、中には背中に巨大な大剣を軽々と担いでいる者までいた。
店主はひょっとして彼らが暴れだすのではと怯えているようだった。
レリアは緊張しながらも、怯えたように身をすくめた。
「レオは本当にいい奴だった……」
「かわいそうな奴。」
レリアはまた自分に向けられた褒め言葉を聞きながら、パンを口に押し込んだ。
友達に会えて嬉しかったが、お腹が空きすぎてもう我慢できなかった。
幼い頃から空腹にはとても弱かったレリアにとって、空腹を耐えるのは最も難しいことだった。
沈黙していた四人の男たちの中で、レリアだけが必死にフォークを動かしていた。
「聞いてみると、お前の人生もずいぶん悲惨だったんだな。」
カーリクスがレリアを見つめながら言った。
レリアは小さく微笑むしかなかった。
少し前まで友人たちから浴びせられていた質問攻めに――レリアは、自分についての話を打ち明けた。
それはペルセウス皇帝に関する話ではなく、幼い頃に王城を逃げ出した理由についてだった。
「レオ兄さんが死んで……悲しみに沈んでいた宮廷で反乱が起きたんです。ペルセウス皇帝は私を憎み、皇族たちも同じでした。……私は、年老いた貴族と政略結婚させられるのが怖くて、逃げ出しました。」
その話を聞いて、四人はしばし無言のままワインを飲み、そしてデミアン王族たちを罵った。
レリアが食事を終えた頃、考え込んでいたカーリクスが口を開いた。
「いいだろう。あの隊長が遺言にお前の名前を残したというのは、それだけお前が大事だった証だ。お前を守れ、という意味だったに違いない。」
「……」
レリアがそっと様子を伺うと、カーリクスは他の友人たちの表情を一通り確認した。
ロミオとグリフィス、オスカーまでもが小さくうなずいていた。
カーリクスは彼女の肩に大きな手をぽんと置いて、こう言った。
手があまりにも重くて、レリアの肩が少し沈んだようだった。
「レオの妹なら、俺たちにとっても妹だろ。俺たちのこともお兄様って呼んでいいからな。」
「……」
レリアは一瞬で頭が真っ白になった。
な、なにを……?今、なんて言ったの……?
友人たちと再会できた感動も束の間、レリアは頭を一撃されたかのような衝撃を受けた。
「そんなに感動することじゃない。俺たちはもともと、レオのためにここへ集まったんだから。」
「………」
レリアはぐっと言葉を呑み込んだ。
そうだ、感動は感動だけれど……。
「ほら、呼んでみろよ。兄さんって!」
「………」
カーリクスがからかうように言った。
他のメンバーたちはそんなカーリクスを『またか』という視線で見ていた。
レリアは震えながら、ゆっくり口を開いた。
「お…お兄様……?」
「よく言った!これからお前は俺たちの妹だ!」
カーリクスがレリアの肩をぽんぽん叩いた。
『私が隊長だったのに……。』
なぜかプライドがぐしゃぐしゃに潰れた。
レリアはもぞもぞと肉を飲み込み、残りの食事をなんとか終えた。
グリフィスはそんなレリアを静かに見つめていた。
その夜。
レリアは一日中、友人たちに引っ張り回されながら「レオ」の話をしなければならなかった。
昼間には本物の「レオ」が眠る墓地にも一緒に行くことに。
レオ皇太子が亡くなった後、ライディオス皇帝は王族専用墓地の最も良い場所に息子の遺体を埋葬した。
正確には、ライディオスはペルセウスによって殺され、遺体すら残らなかったが、幸いペルセウス皇帝はレオ皇太子の墓までは手をつけなかった。
墓参りを終えた後は、繁華街にある居酒屋へ向かった。
レリアの前にも、彼女の顔ほどの大きさの酒杯が置かれていた。
「……」
茫然としているレリアとは違い、四人の男たちは静かに酒をあおっていた。
レリアは友達たちと再会していたのに、また嘘をついてしまった自分が情けなかった。
『感動的な再会を夢見ていたのに……。』
心では、一人ひとり捕まえて夜通し話をしたかった。
レリアがつまみの果物を食べている間に、四人はこれからどうするかについて話していた。
もともとはレオの復讐のために集まったのだが、レオを殺した犯人がすでに死んでいたため、目的を見失っていた。
「俺はまあ、今まで通り傭兵として流れ者になるさ。」
「目は本当に大丈夫か?」
「大丈夫だってば。」
カーリクスは何事もないふりをして肩をすくめた。
『嘘だ。だんだん前が見えなくなってきてるくせに。』
レリアは口をぎゅっと閉じ、彼らの会話をじっと見守っていた。
「お前はどうするんだ?」
カーリクスがオスカーに向かって尋ねた。
「……俺は本国へ戻るよ。」
オスカーが答えた。
レリアはまだ、この人物があの「オスカー」だという事実を信じきれずにいた。
『もちろん原作で出てきて知ってはいたけど……。』
原作では、オスカーはまさにサイコパスと呼ばれる「血の皇帝」だった。
しかしそれは不幸な過去によるものであり、過去が変わった今、幼い頃のように明るく純粋に育ったはずだとレリアは思った。
「本国に?ああ、お前は皇太子だったな?」
カーリクスが一瞬忘れていたと言わんばかりにくすくす笑った。
「そうだ、本国に行ってやるべきことがある。」
オスカーは低い声で答えた。
レリアは思わずごくりと唾を飲み込んだ。
『そうだよね……本国に行けば、やることがあるはず……。』
原作ではオスカーは本国に戻り、皇帝である父親を殺す。
たぶん今回も、やるべきことはそれなのだろう。
「……。」
その瞬間。
レリアはオスカーと目が合った。
幼い頃に感じたかわいらしさとは違い、赤い瞳は鋭く力強くなっていた。
レリアはその視線を切なくそらした。
再会したら「子どものころみたいにまた毎晩悪夢を見て泣いたりしてたでしょ」って、抱きしめてあげようと思っていたのに……。
そんなことを言ったら、自分が悪夢を見ることになりそうだった。
「私も本国に行って、やることがある。」
グリフィスが言った。
グリフィスもまた、原作によれば、本国へ行って家族との縁を断ち、聖剣の持ち主となるために中立区域へ向かう予定だった。
「ロミオ、お前は?」
グリフィスが尋ねると、ロミオは少し悩んだ様子で黙り込んだ。
「俺は……特に。やることないし。」
当然だった。
『ロミオは無職だから……。』
皇位を放棄した後、ロミオの両親は彼に自由に生きられるよう何も強制しなかった。
だからやることがない。
原作では最終的に魔塔を建て、その主になるけれど、それはまだ後の話だった。
「君は?」
「え?」
ロミオがレリアに向かって叫んだ。
4人の視線が一斉にレリアに集まった。
「わ、私……?」
レリアは戸惑って目をぱちぱちさせながら彼らを見回した。
相変わらず彼らの頭上には、[!] のクエストマークと一緒に、好感度と思われる数字が表示されていた。
ただ、最初に全員が [-999] だったのとは違い、今は少し変化があった。
オスカーはあまり変わらず [-700]、グリフィスは [-520]、ロミオは [-200]、そしてカーリクスは [?] と表示されていた。
そのときだった。
【特別UIモード専用システムに最適化されました!(。•̀ᴗ-)✧ ボタンを押さなくても命令を指示できますよ!٩(´︶`)۶】
もともとの吹き出しとは少し違う感じのウィンドウが表示された。
半透明な四角いウィンドウに文字が浮かび上がっていて、おそらく専用UIモードだからそうなのだろう。
『ボタンを押さなくても命令を指示できるって?』
レリアはカーリクスの頭上に浮かぶ「[?]」をじっと見つめた。
すると文字が現れた。
【特別好感度はプラスに転じる数値から、クリスタルを使用するか、隠しクエストを達成するたびに確認できますよ!o(≧▽≦)o】
「………」
あのクリスタルか…。
レリアは心の中で深くため息をつき、口を開いた。
「私は……やることがあって……」
「何だよ?」
カーリクスが尋ねた。
レリアは一瞬視線を逸らし、もじもじしながら答えた。
「皇城で逃げる前に置いてきたものがあるんです。それを探しに行かないと。」
「皇城?どうやって入るつもりだ?もうずっと前から失踪状態だって聞いたけど。」
「……それは……これから考えます。」
ロミオの問いに、レリアは小さく笑いながら答えた。
正直なところ『錬金術で作った薬を使って警備を克服した後に中へ入ろうと思ってた――とは、さすがに言えなかった。
それに、もし錬金術のことまで知られてしまえば、また友人たちに疑われかねない。
「お前が過ごしていた、あの豪華な建物にいたってことか?」
「豪華……ってほどでもなかったけど。」
レリアが気まずそうに笑うと、ロミオが少し気後れしながら説明した。
『セドリックとデミアンがその塔を修理したんだな。』
レリアは寂しそうな顔で、自分がかつて過ごした塔が壊れたようだと告げた。
「幸い、私が探しているものはそこにはないんです。」
「俺たちが探してきてやろうか?」
「……いえ、私が直接行かなきゃいけないんです。」
その奥深くの小さな塔は、以前と変わらずそこに残っているだろう。
フェルセウス皇帝にとっては何よりも大切な場所だから。
「じゃあ、こうしよう。」
カーリクスが整理がついたように手を振って周囲を集中させた。
「よし、オスカーとグリフィス、お前たちは本国(皇城)に戻って、ロミオ、お前は俺と一緒にこの子を助けよう。」
カーリクスが指した「この子」とは、まさにレリアだった。
レリアは慌てて目を丸くした。
そんなレリアの頭を、カーリクスがトントンと撫でながら言った。
「皇城に行くんだって?レオの復讐の代わりに、遺志を守るために俺たち兄貴たちが助けてやるよ!」
「……い、いえ、私は大丈夫ですけど……」
「まあ、いいさ。」
レリアの意思とは関係なく、ロミオは勝手に決定してしまった。
「じゃあ、俺も本国に行ってからまた戻ってくるか。」
グリフィスが言った。
一方、オスカーは何も言わず、ただレリアをじっと見つめていた。
「……」
レリアは目の前がクラクラするような感覚に襲われた。
これまで綿密に立てていた計画がすべて台無しになるような気分だった。
友達と再会するのが一番大事な目的だった。
だが、それは聖物を見つけて禁言を解いた後の目標であり、今は違う。
『とりあえず……まずは落ち着こう。』
レリアは頭の中で再び計画を巡らせた。
第一の計画であり、最も重要だった計画――皇城に潜入する際にカーリクスとロミオが協力してくれるかどうか……。
レリアは、自分でも気づかないうちに神に祈りながら、お酒をちびちび飲んでいるカーリクスとロミオを見つめた。
レリアのわずかに苛立ちと落胆が混じった視線を、グリフィスが静かに見守っていた。
こうして、グリフィスとオスカーは出発を急ぐことになった。
「気をつけて行ってきて。」
カーリクスとロミオは、旅立つ二人に軽く別れの挨拶を交わした。
レリアもまた彼らと握手を交わそうとした。
いや、交わそうとしただけだった。
グリフィスは震えるような表情で握手に応じたが、オスカーは違った。
彼は冷淡なまなざしで仲間たちに軽く別れの挨拶を交わすと、そのまま立ち去ってしまった。
レリアとは一度も目を合わせなかった。
『オスカー……』
レリアは心の中で彼の名を呼びながら、密かに別れの挨拶を送った。
グリフィスも特にためらうことなくすぐに立ち去った。
グリフィスとオスカーは一か月後、『レオ』の誕生日にまた戻ってくることにしていた。
四人はその時再び集まり、レオの墓前で別れの挨拶を交わし、その後はそれぞれ別の道を歩むことにした。
これからは、各自の人生を生きていくのだ。
『二人が戻ってくるまでに聖物を見つけないと。』
一か月もあれば十分だ。
『問題は……』
レリアは茫然と、ロミオとカーリクスを見つめた。
二人は「オスカーとグリフィスが戻るまで、首都に残って君を助ける」と言った。
助けどころか、むしろ足手まといになりそうな状況だったが、レリアには選択肢がなかった。
もし断れば、彼らはまたレリアを疑い出すだろうから。
──その夜。
レリアはカーリクス、ロミオとともに、宿の近くのレストランで食事をした。
食事が終わるころ、カーリクスは一息つくと、ためらいなくレリアに向かって言った。
「どうせお前一人じゃ、皇城に入る方法もないだろ?だから俺たちが助けてやるって言ってるんだ。俺たちの妹なんだから。」
「……」
カーリクスの言葉に、レリアは仕方なく頷いた。
錬金術について隠す手段はもはやなかった。
カーリクスとロミオの助けを得て、皇城へ入るしかない。
その時、ロミオが不安げな表情でカーリクスに尋ねた。
「なあ……でもお前、何の根拠があってそんなに自信満々なんだ?誰だか知らないって言って連れて入ろうとして、もし顔がばれたらどうするんだよ?」
カーリクスはそこまで考えていなかったらしく、ぱちぱちとまばたきをした。
「……そんなこと、考えてなかった。」
ロミオが呆れたようにため息をつきながらカーリクスを睨みつけた。
「皇帝にさえ見つからなければ、私を知っている人なんていませんよ。」
「そうか?」
レリアの言葉にロミオはしばらく考え込んだが、やがて手のひらで自分の胸をぽんと叩いて言った。
「仕方ないな。とりあえず俺の婚約者ってことにしよう。」
カーリクスの提案で一緒に行くことになったレリア。
ロミオの婚約者として潜入しても、皇帝たちにバレてしまうのでは?









