シンデレラを大切に育てました

シンデレラを大切に育てました【207話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【シンデレラを大切に育てました】まとめ こんにちは、ピッコです。 「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介...

 




 

207話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 娘の成長

ダニエルがビヌに関する独占販売権を得た頃、私はアシュリーと一緒に人々へビヌを分け与えていた。

訪ねてくる人は多いのに、私が作れるビヌの量は限られていて、受け取れずにそのまま帰らなければならない人が非常に多かった。

これはどうしようもなかった。

最初は片手に収まるほどしか来なかった人たちが、今では何十倍にも増えてしまったのだから。

「ものすごく多いですね。」

アシュリーが、下人たちにもう帰るようにと案内を受けている人々を見ながら言った。

私は腰に手を当てながら答えた。

「石鹸の値段がものすごく上がったんですよ。」

「どのくらいですか?」

「普段の価格の五十倍まで上がったそうです。」

アシュリーの口がぱっと開くのが見えた。

一番安く売る店でも普段の五十倍と聞いた。

一番高く売るところでは十倍だったか二十倍だったか。

そのせいで私は気が急いていた。

近くでゴホゴホ咳き込み、息苦しそうにしている人たちが見えたからだ。

この状況で伝染病にでもかかれば終わりだ。

「無料だからこんなにたくさん来たと思っていましたが、とても高かったんですね。」

「無料だから来た人もいるでしょうね。」

考えてみれば、今私がしていることはサンプルを配っているようなものでもあった。

少しの間、小包を整えて上のビヌ作りを始めれば、ここでビヌを受け取って使った人々の
十分の一ほどは使わなくなるのではないだろうか。

その時、少し離れたところで騒ぎが起きた。

「ただ帰れって?ここまで来たのに?」

振り返ると、ある男が怒っているのが見えた。

男の怒鳴り声に驚いたアシュリーが私の腕を引き寄せた。

こういう人もいる。

自分が受け取れないとなると、それが無料であろうと有料であろうと構わず怒り出す人だ。

まるでその男の怒りが引き金となったかのように、周囲のほかの男たちも怒り始めた。

「ひどすぎる!人をからかってるわけじゃないだろう!」

「これ持って来るのが簡単だと思ってるのか?」

それぞれが大きな容器を一つずつ持っていた。

使わない油を持ってくれば石鹸と交換してくれるという話を聞いて来たようだ。

しかし、あれはちょっと多すぎる。

普通の家庭であれほどの油を集められるものだろうか?

そう考えているうちに、ルインが男たちをなだめるために近づいていくのが見えた。

「入ろう、アシュリー。」

私はもっとひどい光景を見る前にアシュリーを急かして家の中に入ろうとした。

しかし、ルインが怒鳴る男たちに近づく前に、その周囲にいた人々が一言ずつ言い返し始めた。

「やめなよ。一部に渡さないのは、無いから渡せないんでしょ?」

「そうだ!それが不満なら他に行って買えばいいじゃないか!」

周囲の人々が一言ずつ言うと、不満を吐き出していた男たちの勢いが少し弱まった。

彼女の顔を一度見上げ、それから一緒に家の中へ入った。

「こういう人たちもいますね。」

「どこにでも不満を持つ人はいるものだ。」

「そうじゃなくて、私たちの味方をしてくれる人たちのことです。」

ああ、そっちか。

私は肩をすくめてみせ、冗談めかして言った。

「人類が存続している理由じゃないかな?」

アシュリーの目が丸くなった。

何のことか分からなかったのか、一瞬考え込んだが、やがてにっこり笑って言った。

「そうですね。こういう人たちがいるから希望が持てるんだと思います。」

アシュリーがそこまで理解してくれるなんて。

私は胸が熱くなり、彼女をぎゅっと抱きしめた。

助けを求めてよかったと思った。

実際、アシュリーでなければ助けてくれる人はいなかっただろう。

アイリスは他の家の少女たちと慈善活動に行っており、リリーは腰を痛めたフィリップの看病をしていたのだ。

「奥様、ご主人様がお戻りになりました。」

その時、執事が近づいてきてダニエルが戻ったことを知らせた。

知らせに来たというより、一緒に来たのではないかと思うほど近かった。

私が屋敷のすぐ後ろに立っているダニエルを見て目を見開いた。

「ただいま戻りました。」

今日は国王と独占販売権について最後の面談をすると聞いていた。

私が期待を込めた表情で見上げると、ダニエルはあの特有の余裕ある笑みを浮かべて言った。

「取れました。」

「いくらで?」

ダニエルなら当然、独占販売権を取っただろう。

彼なら十分可能だと言っていたし、それだけの実力もある。

問題は、その期間がどれほどかということだ。

彼は私の顔色をうかがうような表情を浮かべた。

こういう場合、普通は10年程度だと聞いている。

この国で自分だけが販売できるのだから。

「せいぜい10年ですか?」

「30年です。」

――何だって?

私は思わず驚いてダニエルを見た。

彼は涼しい顔をしている。

いったいどうやって?と私は近づいて尋ねた。

「どうやったんです?」

「アイリスのおかげですよ。財団を設立して、収益の一部を慈善活動に使うと約束したんです。」

「それだけで?」

もし私たちがそう言っておきながら、財団を設立しなかったらどうなる?

いや、もちろん私たちは確実に慈善活動のための財団を立ち上げるつもりだけれど、口先だけで実際には作らない人だっているじゃないか?

私の驚いた反応に、ダニエルは懐から書類の封筒を取り出した。

「財団の許可も一緒に取りました。」

なんと用意周到なことか。

国王も納得して、三十年もの許可を与えたのだろう。

私は笑みを浮かべてダニエルを引き寄せ、その頬に口づけた。

「代表はアイリスの名前にしたんですが、構いませんか?」

自然な動作でダニエルは私の腰に腕を回しながら尋ねた。

どんな代表?と私は目を細めて聞き返す。

「慈善財団の代表ですか?」

「はい。」

「よくやったわね。」

私の記憶では、王妃も慈善財団の代表として名を連ねていた。

それは、天災や被害に遭った貴族を助けるための財団だったと覚えている。

なぜそれを覚えているかというと、オーガストが亡くなったとき、財団の名で花が送られてきたからだ。

もっとも、フレッドの葬儀には来なかった。

彼は貴族ではないからだ。

「アイリスは王太子妃の試験中なのに、財団の代表になってもいいんですか?」

隣にいたアシュリーが尋ねた。

私はダニエルの腰に手を回したまま彼女を振り返り、再びダニエルを見てから答えた。

「うん。慈善財団は労働をするわけじゃないからね。」

寄付を受けたり、自分の収益から得た利益を使って慈善活動をするだけだ。

それは王妃だけでなく、父にも余裕のある財産を下賜された貴族の女性の中で、慈善活動に関心の高い者は、そのように財団を設立し、自分の領地の領民たちを支援することもある。

「そうですね。」

アシュリーが少し躊躇いながら口を開いた。

何だろう?

私が黙って次の質問を待つと、彼女は慎重に尋ねた。

「では、工房はどうですか?その社長は誰が務めるのですか?」

今回も私はダニエルを一度見やった。

財団の話が出るまでは、私はダニエルに信頼できる人物を紹介してもらい、その人を社長に据えるつもりだ。

その考えのまま進めるべきだろう。

慈善財団の代表になることと、工房の社長になることは別だ。

ダニエルが妖精の泉を所有してはいるが、運営は別の人に任せているように。

この国には少し変わった仕組みがある。

貴族は労働ができないため、店の店主のような立場にはなれない。

しかし、ダニエルのように洋装店の店を所有していても、運営は別の人がしている場合は問題ない。

もちろん、運営を任せる人が信頼できる人物でなければならないという条件がある。

そして、その信頼できる人物は必ず紹介を受けなければならない。

使用人を雇うときに紹介状や推薦状が必要なのもそのためだ。

女性貴族が店を所有するのが難しい理由は、お金の問題ではなく、このように運営を任せられる人物を見つけるのが難しいからだ。

財産を増やすのは男性貴族の役割であり、「お金を稼ぎたい」と思う私のような女性貴族に手を貸してくれる者はいない。

改めて私は運が良かったと思った。ダニエルがいるのだから。

私は微笑みながらダニエルを見た。彼もまた微笑んでいた。

彼は私を見つめていた。

「奥様。」

そのとき、ジムがこちらへ歩いてきて、リリーが戻ってきたことを知らせた。

「リリーお嬢様がお戻りになりました。」

「ただいま戻りました。」

ジムの後ろから、どこか表情の変なリリーが近づき挨拶をした。

どうしたのだろう?

私はすぐにダニエルから離れ、リリーに歩み寄って尋ねた。

「何かあった?」

リリーの表情はこわばっていた。

その瞳は夢を見ているようにも見えた。

フィリップと何かあったのだろうか?

ふと、以前フィリップが我が家を訪れたとき、リリーについて何か言おうとしてやめたことを思い出した。

彼がリリーに悪いことをしたとは思わないが、私は不安を覚えた。

リリーの手を握りながら、もう一度尋ねた。

「どうしたの? ケイシー卿と何かあったの?」

「そういうわけじゃなくて……」

リリーの瞳が、まるで夢から覚めたように私を見つめた。

彼女は私と、その背後にいるダニエルを交互に見て、さらにアシュリーを見た後、再び私に視線を戻して小さくささやいた。

「お話があります、お母様。それから旦那様も。」

以前にもこんなことがあった。私は不安な表情でダニエルを見た。

「とにかく執務室へ行こう。」

ダニエルの提案で、私はリリーとともに一階の執務室へ向かった。

アシュリーに「一緒にいていいのかどうかわからないけれど、とりあえずあなたは自分の仕事をしていなさい」と伝えた。

しばらくして、ジミーが車を持ってくると、リリーが口を開いた。

「今日、フィル…いえ、ケイシー卿の屋敷に行ってきたんです。」

え?今この子、ケイシー卿をフィリップと呼ぼうとした?

私は視線を再びダニエルに向けた。

そして、ダニエルが驚いた表情を見せないのを確認し、気持ちを落ち着けた。

「私のことをフィリップおじさんと呼べって言ってました。」

ん?ただのフィリップじゃなくてフィリップ“おじさん”?

私が戸惑っている間に、ダニエルが口を開いた。

「親しい間柄なら、そのくらいの呼び方が妥当だろう。ケイシー卿は少しかしこまった呼び方だからな。」

「はい。それで、あの……」

リリーとフィリップの関係は、彼をおじさんと呼ぶほど親しいものになっていたらしい。

二人が仲がいいのは知っていたが、まさかおじさん呼びを勧められるほどとは思わなかった。

私は黙って座り、リリーが話し出すのを待った。

彼女は戸惑いを浮かべた表情で私とダニエルを交互に見やり、再び口を開いた。

「階段を降りているときに思い出したんです。あの時、あの方が言ってましたよね。私があの旦那様の甥御さんと結婚してくれたら嬉しいけど、お金のために結婚してほしいとは思わないって。」

頭の中に、フィリップがダグラスとリリーの仲を応援していたことがよみがえった。

競馬場にリリーを招待したのが始まりだった。

しかし、リリーとダグラスが結婚することを望まない理由がお金だなんて――フィリップが再びそう口にしたのだ。

彼は本当に良い人だが、リリーのことをとても大切に思っているのが感じられた。

「それで、えっと……」

リリーがまた言い淀み始めた。

私は、それが何かを伝えようとしてなのか、それともただ迷っているだけなのか判断できなかった。

リリーが続けて告げた。

「おじさんが、私に……つまり、私に財産の一部を相続させたいって言ったんです。」

私は思わず目を見開いた。

相続させたいって?自分の財産を?リリーに?

もちろん、そういう話がまったくないわけではない。

親戚が亡くなって財産を相続し、突然裕福になったり、爵位を得たりする話は時折耳にする。

でも、まさかリリーがそんな状況になるとは思わなかった。

私が何も言えずにいると、リリーは不安げな表情で尋ねた。

「断ったほうがいいでしょうか?」

「いいえ。」

幸いなことに、私より先にダニエルが口を開いた。

彼は「そんなことあるはずがない」という表情でリリーを見つめながら続けた。

「ケイシー卿には子どもがいないんだ。だから、その財産の一部を君が受け取ったとしても、何の問題もないよ。」

「でも、ケイシー卿には後継ぎがいるじゃないですか。」

「後継ぎだって、ケイシー卿が自分の財産を君に少し分け与えたところで、不満を言うとは思えないけどね。」

ダニエルの言葉を受けて、リリーが私を見た。

そのとき、私はようやく彼女が何を気にしているのか悟った。

――ケイシー卿の後継ぎが、彼女のことをよく思わないのではないかと心配しているのだ。

私は彼女を安心させるために、ひとつ息をつき、こう言った。

「ダニエルの言う通りだよ。子どもがいない人が、自分の財産を甥や親しい友人に分け与えるなんて、珍しいことじゃないんだ。」

「侯爵家から何か言われたりしないでしょうか?」

「そのくらいはケイシー卿も考えているはずよ。」

私は肩をすくめてそう言い、まだ不安そうな表情のリリーを見て慌てて付け加えた。

「私がケイシー卿と話してみるわ。」

リリーの顔に少し安心の色が浮かんだ。

フィリップがリリーを娘のように可愛がっているのは確かだろうが、母親として一度は話をしておくべきだ。

本当にありがたい申し出だが、それを受けるべきかどうかは直接話してから決めるのが良い。

財産を譲る代わりに、何らかの条件が付く可能性もあるのだから。

 



 

シンデレラを大切に育てました【208話】ネタバレ こんにちは、ピッコです。 「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介...
【シンデレラを大切に育てました】まとめ こんにちは、ピッコです。 「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介...
【ジャンル、変えさせて頂きます!】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ジャンル、変えさせて頂きます!」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...
【夫を味方にする方法】まとめ こんにちは、ピッコです。 「夫を味方にする方法」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となってお...
【ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。 ネタバ...
【影の皇妃】まとめ こんにちは、ピッコです。 「影の皇妃」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっております。 ...
【メイドになったお姫様】まとめ こんにちは、ピッコです。 「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となって...
【愛され末っ子は初めてで】まとめ こんにちは、ピッコです。 「愛され末っ子は初めてで」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっ...
【政略結婚なのにどうして執着するのですか?】まとめ こんにちは、ピッコです。 「政略結婚なのにどうして執着するのですか?」を紹介させていただきます。 ネタバ...