こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
110話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 再び首都へ
「なあ、でも俺たちの首都にまた戻るって、どういうことだったんだ?」
「……!!!」
最初の野営地でのこと。
カーリクスが尋ねた。
レリアは手際よく天幕を張る近衛騎士たちを見ていて、驚いた目でカーリクスを振り返った。
『カーリクスが… 今、なんて言ったの?』
いや…出発してまだ一日しか経っていないのに、今になってそれを聞くの?
『それに出発前に、私が直接説明したよね?!』
考え込んでいたのは明らかだった。
レリアは拳を握りしめた。
彼女の隣にいたロミオもまた、衝撃を受けた表情でカーリクスを見ていた。
しかし「まあ、そういうこともあるよね」といった表情でそっと視線を逸らした。
「隊長、元気出して……。」
ロミオは気を取り直したようにレリアの肩を軽く叩き、さっと逃げるように去っていった。
レリアは途方に暮れて頭を抱えた。
カーリクスは本当に不思議そうな表情で彼女に近づいてきた。
「なんで首都に行くの?」
「言ったじゃない……皇帝が私の正体を知ったって?」
「…で、その“正体”って何なんだ?」
「私はイリス皇女の娘じゃなくて、ペルセウス皇帝と前皇太子妃エリザベスの娘なの。」
「えっ?」
カーリクスは初めて聞いたように衝撃を受けた表情を浮かべた。
逆にレリアの方が驚いた。
彼が口角を上げて笑った。
「でもさ……」
「………」
「お前、男じゃん。」
わあ……
世界で一番巨大で頑丈な壁と向き合ったら、こんな気分なのだろうか?
自分は到底その壁を越えられそうになかった。
あまりにも強固で頑丈で……もう諦めてその前で生きていきたくなった。
『本当に壊すか、乗り越えなきゃいけないの……? あまりにも大きすぎるんだけど?』
そのときだった。
「レリアが男の子だって?うちのレリアは女の子なのに?」
ちょうど通りかかったカリウスおじさんが軽く声をかけてから、水を取りに行くと外に出た。
ロミオは遠くから気配をうかがっていたが、おじさんを追っていった。
グリピスとオスカーはどこへ行ったのか、しばらく姿が見えなかった。
レリアを助けてくれる人は誰もいないということだった。
カーリクスは叔父の言葉にあっけにとられ、目をパチクリさせた。
「…女だって?」
「カーリクス。」
「えっ?」
「最初から説明するね……母は私が生まれたとき、私をイリス皇女の死んだ娘と入れ替えたの。私の命を守るために。」
「でもさ……お前、男じゃん?生まれたばかりのときはチ●コがついてただろ?そしたら息子だと思って騙されたってこと?赤ん坊だってチ●コはあるもんな。」
「…いや、私は女の子だから?そんなものはないって!」
「………」
カーリクスは驚いたように呆然とした表情を浮かべた。
『いや…一体これまで何を聞いてきたんだ?女の子だって何十回も言ったのに!』
レリアはぶるぶる震えていた。
カーリクスの表情が少しずつ険しくなっていった。
「でも… 俺、見たんだよ?お前… あったじゃん?」
彼は自分の腕を突き出し、レリアの下半身と自分の腕を交互に見比べた。
「つまり、錬金薬で作られた幻覚ってことか?…嘘つくな!そんなのどうやって幻覚で作るんだ!俺をバカだと思ってるのか?」
「はあ、イライラする!お前がバカじゃなかったら誰がバカなんだよ?」
レリアがパッと飛び跳ねると、カーリクスは彼女をじっと見つめた。
彼の目つきがだんだんと揺れ始めた。
そうやって一人で考えを整理するかのようにしばらく立ち尽くしていた。
グリピス、ロミオ、オスカーが近づいてくる頃になってようやくカーリクスは思考の整理を終えたようだ。
カーリクスは怒ったようにブツブツ言った。
「おい…お前。じゃあなんなんだよ?! お前、今まで俺たちを騙してたのか?!」
「えっ?」
「………」
友達は無表情の顔でカーリクスを見つめていた。
レリアはこのバカをどうして堂々と叱らずにいられるのかと思った。
本当に…本当にバカだ。
修復不可能なレベルで…。
カーリクスは友達たちを見回しながら叫んだ。
「おい!お前たち、ちょっと言ってみろよ!あ、待てよ…!じゃあ昔から女だったってことだよな?」
「………」
「俺たちの隊長が女だったってことか…女だと?」
カーリクスは目をぱちくりさせた後、突然大声を上げるように叫んだ。
「お前、くそっ!子どもの頃に俺のアレまで見たじゃないか!」
「……っ!!!」
レリアは眉間にしわを寄せた。
そんなこと覚えていたなんて思わなかった。
幼い頃、神殿で共に過ごした時期のこと。
一緒に湖で泳いで部屋に戻ろうとしたとき、カーリクスは時間がないから一緒に入ろうと言ってレリアを風呂場に引っ張っていった。
レリアは水を飲んでむせて、意識がもうろうとした状態だった。
風呂までついてきたレリアがようやく意識を取り戻したころ、「先に入ってて」と言いながら出ようとしたそのとき――カーリクスが服をすっかり脱いでいたのを見てしまったのだ。
その瞬間、レリアは衝撃のあまりしばらくカーリクスを見つめた。
その視線に気づいたカーリクスは、なぜか堂々とした表情で笑った。
「………」
あのときのことを思い出して、レリアの顔色がさっと青ざめた。
ほんの一瞬で忘れていたことをカーリクスが覚えているなんて…このバカがそれを覚えていたの?
カーリクスはレリアに向かって叫びながら駆け寄った。
「あり得ない!お前!その…くそっ!お前、ふざけるな!俺のアレを見たって?女なのに見たって?こ…この!!!!!」
ロミオとグリピスが両側からカーリクスを取り押さえて落ち着かせた。
オスカーはそんなレリアを自分の背後に隠した。
レリアはオスカーの背中の後ろに隠れながら、顔だけそっとのぞかせて言った。
「…そんなことで騒がないでよ。どうせ子どもの頃のことなんだから!」
あまりの苛立ちと怒りと焦りで、レリアはつい言ってはならないことを口にしてしまったようだった。
「な、なに?」
カーリクスの顔は真っ赤に染まった。
赤くなったかと思えば青ざめ、次に彼は大声を張り上げた。
「お、お子様だと!?子ども!?こ…これはマジだぞ!脱げ!脱げよ!誰が子どもサイズのアレだって!?お前、見たら絶対びっくりするぞ!俺の上腕二頭筋も見てみろよ…おい!見ろって!放せよ!見せてやるから見ろって!」
カーリクスは狂ったように暴れ回った。
まるで筋肉の塊である猛獣が暴れているようだった。
結局、ロミオとグリピスはやむを得ず、魔法と神聖力で対応した。
しばらくして、透明な光の縄で体をぐるぐる巻きにされたカーリクスは、床に倒れ込んだ。
「この変態野郎!あり得ない…!間違いなく男だったのに…。おい、レオ!脱いでみろ、こっちに来て脱いで見せてみろ!あるだろ!アレあるだろ、お前!」
「………」
「アレ出せ!アレを出せ!」
「こいつ、狂ってる…。」
カーリクスはしばらく暴れたあと、疲れてぐったりした。
彼の目には涙がいっぱいにたまっていた。
あり得ない。
「女だって?本当に女だって?」
ただの変わり者だと思ってた。
男と結婚しなきゃいけないという事実にショックを受けるかと思って……だから女だって言って私を安心させようとしてるんだとばかり思ってた。
そのたびに、なんてこった…って感じだった。
『どうせ男でも気にしないけど?』
心の準備はすっかり終わっていたので、気にもしなかった。
だから、無理やり自分を「女」だと名乗るレリアが、かえって可愛く見えてきた。
『でも本当に女だったなんて……?』
カーリクスは今まで一度も女性の手すら握ったこともなく、会話すらまともに交わしたこともなかった。
なのに、レオが女だって?
幼い頃、レオと気軽に過ごしていた日々が思い出された。
「俺、女と……会話できる人間だったんだ」
それもそうだが、一番衝撃的だったのは——
『じゃあ、あの時俺を背負って走ってくれたのが女だったって?女の体で俺を背負ったって?それに俺より三つも年下の子が?』
衝撃で言葉も出なかった。
頭を一発殴られたように呆然とした。
あの時、レリアが助けてくれなかったら……自分は片腕のないまま生きることになっていただろう。
夢の中で見たその感覚がどれほど苦しくて残酷だったか、はっきりと覚えていた。
『なのにその子が女だった…?しかも俺より三つも年下!どうしてそんなことがあるんだ?』
傭兵時代のカーリクスを教えてくれた師匠はいつもこう言っていた。
「男は命を懸けてでも女の安全を守り、保護しなければならない。だからと言って、イカれた男が自分の女を殺してくれなんて頼んできたら、たとえ莫大な金を積まれてもそれを受け入れてはいけない。わかったか?」
「わかりました、師匠。」
だから女性は男性よりも弱いと思っていた。
もちろん、戦争を経験し、男性よりも強い女性がたくさんいることも知っていた。
光竜との戦いで功績を上げた英雄たちの中には女性もかなり多かった。
それでも傭兵時代、上官に殴られながら叩き込まれたその言葉は、骨の髄まで刻み込まれていた。
だから――知らず知らずのうちに、女性は自分より弱いという偏見を持っていたようだった。
いや、初めの頃のカーリクスは、すべての生命体が自分より弱いと思って生きてきた。
武力で誰にも負けたことがなかったからだ。
ただし、幼い頃に自分を救ってくれたあの英雄だけは別だった。
『でもその英雄が……俺を救ったレオが女だったなんて。どうやってあのか細い体で。俺より三つも年下だったあの小さな体で……どうやって俺を助けたんだ?』
カーリクスは呆然とした表情で地面に横たわるレリアを見つめた。
肩も、腕も、手首もすべて華奢に見えた。
触れれば壊れてしまいそうだというのに……。
「ありえない……」
そんな英雄が近づいてきた。
まるでとても失望した者を見るような表情で。
ちょっと待って。
ところでなんで私のことをそんなに失望したように見るの?私が何したっていうの?
疑問に思っていたとき、レリアが警告するように言った。
「しばらくは、こうやって縛られて過ごして。何をしてもダメよ。」
「なんで、なんで?」
……その前にちょっと…!
「レオ!じゃあ、それって……」
「何?」
カーリクスは急いで尋ねた。
「え、結婚?私たちの結婚は?」
今一番大事なのはそれじゃないか?
約束したのは事実だから。
しかしレリアはあきれたように乾いた笑いを漏らした。
「…いや、最初に私があなたと結婚するって言ったことあった?結婚って何よ、結婚って!」
「…え?」
レリアはロミオとグリピスを見ながら言った。
「とりあえず、首都に着くまで黙らせる方法ってないかな?」
「ある。」
答えたのはオスカーだった。
首を振り返って見ながら。
オスカーは剣鞘を取り出して持ち、動かしていた。
「いや、いや。殺すなんて言わないで、お願い…!」
レリアはなだめるように手を差し出しながら、オスカーの方へ近づいていった。
遠くに皇城の建物が見え始めた。
「………」
レリアはなんともいえない気分に、眉間にしわを寄せた。
つい最近、レリアはあの風景を見つめながら一人で逃げ出したのだった。
あとからわかったのだが、オスカーがこっそりと後をつけてきていた。
帰ってくることはないと思っていたのに、自分の足で戻ってくるとは。
『でも一度は必ず必要なことだ。』
フェルセウス皇帝に直接会って縁を断ち切ること。
そうしなければ、シュペリオン公爵家が被害を被るかもしれない。
だからこそ、必ず直接行かなければならなかった。
自分のそばに友達がいて幸いだった。
千軍万馬を得たかのように心強かった。
『私が何をしても、いつも応援して支えてくれるやつらだもん。』
レリアはそうして固い決意を胸に、首都城郭を通過した。
だが首都の境界線を越えるとすぐに表情がこわばった。
皇帝直属の親衛騎士団の騎士たちが彼女を迎えたからだ。
「皇女様。これからは我々が皇女様をお守りいたします。」
団長と思しき人物が片膝をついてそう言った。
その言葉に同行していたシュペリオンの騎士たちは表情を硬くした。
皇帝の意図が垣間見えた。
「首都の国民全員に見せるため、というわけか。」
だが、どんな意図があるのかは理解できなかった。
理解したいという気持ちも特に湧かなかった。
「ご厚意はありがたいですが、結構です。」
レリアは淡々と拒否したあと、それ以上は何も言わなかった。
こうしてシュペリオンの騎士たちが先頭に立って一行を皇城まで案内した。
拒否された皇帝の直属騎士団は仕方なく後ろについていかなければならなかった。







