こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
116話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 誤解
アウラリア皇城。
宮廷の人々の間で、ある噂が静かに広まり始めた。
密かにささやかれていたその噂は、ついにはユリアナ皇女の耳にまで届いた。
「それはどういう話なの?」
ユリアナ皇女の繊細な眉間にしわが寄った。
「それが……」
「早く言いなさい!」
侍女はなかなか言い出せずにいたが、ユリアナが怒りをあらわにすると、ついに口を開いた。
「ルート卿とレリア皇女が結婚することになるかもしれないという噂が広まっています……」
「………」
ユリアナ皇女とルートが良い関係であることは、宮廷のほとんどの者が知っていた。
それなのにこれはまるで天が崩れ落ちるような話ではないか?
『誰と誰が結婚するって?』
ユリアナは目をぎゅっと閉じて、鋭い喉の痛みを感じた。
「皇女様!」
「大丈夫ですか?」
侍女たちの支えを受けながら、ユリアナは青ざめた。
ユリアナは大丈夫だと言い、もっと詳しく話すように侍女を促した。
そして聞いた話は――数日前、皇城の庭園へ向かう細い道で、誰かが二人が会話しているのを目撃したというのだ。
その噂はそこで終わるはずだったが、なんと昨夜、ペルセウス皇帝がルートの両親であるカストリル伯爵夫妻を呼び出し、ルートにまだ決まった婚約者がいないか、レリア皇女と婚約させる意思があるのかまで問いただしたという。
「はっ…!」
ユリアナ皇女は、その場でぱっと立ち上がった。
『ありえない!』
お父様がどうしてそんな……!
ペルセウス皇帝は、ユリアナ皇女とルートが互いに好意を持っていることを知っていた。
しかし、あまり快くは思っていなかった。
それでも、まさかこんなことをするなんて――。
もともと、あの子にすべてを奪われるかもしれないという不安を抱いていた状況だった。
どう考えてもおかしいではないか?
男装をして皇城に来たことも、自分にあんなにもしがみついて裏切ったことも、すべておかしかった。
『私が自分の立場を奪ったと思っているからだ。』
これは脅迫だ。
『でも今度はルートまで?ついに本性を現したの?』
今になって男装をして皇城に入り、ルートと親しくしていた理由が分かった気がした。
『私からルートを奪うつもりだったのね……!!』
裏切られたという思いに、歯が震えた。
まさに昨日、ユリアナ皇女は皇后を訪ねてこう言っていた。
「彼女にはどうしても申し訳ない気持ちが湧いてくるのです、お母様……」
それは本当だった。
ユリアナはレリア皇女のことを思い浮かべるたびに、妙な罪悪感を抱いていた。
自分は皇女として大切に育てられてきたが、あの子はそうではなかったからだ。
だが、父が気にかけている子である以上、実の姉妹のように仲良くしたかった。
幼い頃から皇女として育ってきた自分とは違って、あの子にはいろいろと不足しているのは明らかだった。
だからこそ、よくしてあげよう、うまく導いてあげよう、ちゃんと教えてあげようと思っていた。
しかし、皇后は彼女に対してきっぱりと言った。
「お前がそんなふうに考える理由はまったくない。持っているものをすべて奪われる前に、そんな考えは捨てなさい。」
母の毅然とした態度に反発していたが……今になってみれば、母はすべてを見抜いていたのだ。
フェルセウス皇帝は悔しそうな顔を浮かべていた。
昨夜、宮廷伯爵を呼び、彼の息子とレリアを結婚させる意志があるか尋ねていたのだった。
しかし、すでに婚約を進めている家門があるという返答が返ってきた。
カストリル伯爵は悩む皇帝のために、レリアと結婚させるにふさわしい貴族のリストを持参してきた。
「……」
フェルセウスは深刻な表情でそのリストに目を通した。
彼はレリアの侍女を通じて、彼女の一挙一動を報告させていた。
侍女たちが伝える話は特に問題はなかったが、結局彼女を訪ねてくる「友人」たちが怪しかった。
彼らはみなアウラリアではなく、別の帝国の者たちだった。
しかもその血筋は皇族だった。
重要なのは、予想以上にレリアと親しい間柄のようだった。
その事実を知った瞬間、不安感が押し寄せてきた。
せっかく見つけた娘が、別の帝国の皇族と結婚することにでもなれば…?
当然、一生会うことができなくなるのは明らかだ。
『どうにかしてでも、アウラリアに留まらせなければ。』
そこで皇帝は、首都に居を構える貴族たちの中から、適当な婚姻相手を探し始めた。
適度な財力と権力を持ち、出自も良く、統制しやすい――その程度で十分だった。
自分に対して裏切られたと感じているレリアを、結婚という手段ででも首都に繋ぎ留めるつもりだった。
顔を合わせ続けて過ごせば、いずれレリアも自分の気持ちを理解してくれるだろうと――
そのとき、侍従が入ってきて言った。
「陛下、いま双子の皇子殿下たちが… あの方をお探しになられたようです。」
「レリアを?」
「はい、陛下。」
「……」
実は、彼はしばらくの間、二人の皇子にレリアを探しに行かないよう命じていた。
だが、それももはや限界に達していたようだった。
『そうか、天倫の情をどうして止められようか。』
同じ母を持ち、同じ父を持つ兄弟だった。
彼らにとって母の記憶は幼い頃のかすかな記憶だけ。
妹が生まれると言って、妻の腹に耳を当てて喜んでいた息子たちの姿が思い浮かんだ。
彼らもまたレリアを切なく恋しがって、会いたがっているに違いない。
「…はあ。」
すべて自分のせいのように思え、ペルセウスは罪悪感に包まれた。
彼はため息をついて、壁にかかったエリザベスの肖像画を見つめた。
以前はマリアンヌ皇后のために飾らせなかったが、今は考えが変わった。
レリアが生きているこの世で、これからは誰の顔色も窺いたくない。
初めから気を遣うべき立場でもなかったのだから。
そのため執務室のあちこちにエリザベスの肖像画を飾った。
今は妻への恋しさも、レリアに対する罪悪感も、すべて隠したくはなかった。
一方そのころ。
レリアは彼女の部屋を訪ねてきた友人たちと会話を交わしていた。
雰囲気は冷ややかでぎこちなかった。
グリピスとレリアのせいだった。
「…二人、ケンカしたんでしょ?」
会話の途中で、ロミオが二人に向かって指を差しながら聞いた。
グリピスは口を閉じたまま小さく微笑み、レリアはぶっきらぼうな表情で答えた。
しかし、口を開こうとはしなかった。
「……」
カーリクスはいつになく静かにレリアを見つめていた。
かつては結婚まで考えたこともあったが……結婚しようというのは自分の思い違いだったと気づき、納得したのだ。
だが、心の奥底ではまだ疑問が残っていた。
『あのか弱そうな腕で俺を助けただと?あんなに弱そうなのに、俺のために狼に飛びかかったって?』
なぜだか分からないが、敬意と尊敬、そして切ない感情が湧いてきた。
正直に言えば、幼い頃のあの出来事はカーリクスの人生を根底から変えてしまった。
だからこそ、亡き隊長の仇を討ち、残された彼のために良いことをして生きていこうと考えたのだった。
…だが、その隊長は生きていたのだ。
どうしてもこの恩を返す方法が思い浮かばなかった。
結局、レリアのそばにいるしかなかった。
まあ、正直なところ結婚できるならそのほうがいいかもしれない。
けれども「結婚」の“け”の字を口に出すだけでレリアが拳を振り上げて怒るので、もう口にも出せなかった。
茫然とレリアを見つめていると、彼女と目が合った。
そのまぬけな表情がなぜか可愛く見えた。
だからつい、笑ってしまった……
「笑ったの?」
レリアがぶっきらぼうに尋ねた。
まるで困惑しているかのように。
「え、笑ったけど…?笑っちゃダメなの?でもかわいかったから……」
カーリクスはカップをいじりながら周囲を見回した。
雰囲気がかなり悪かった。
何か深刻な話でもしていたのだろうか?
「……ただの子犬だと思えば楽だよ、レリア。」
ロミオの言葉にカーリクスは眉をひそめた。
「おい、誰が子犬の話してるんだよ?」
カーリクスがロミオとやり合うのを見ながら、レリアは額に手をやった。
「………」
さっきまで彼女はグリフィスとロミオと一緒に、かなり真剣な話をしていたのに——
会話の話題は、おばあさんを治した認知症の治療薬に関する内容だった。
数日が過ぎたせいか、グリフィスへの怒りは少し和らいだ。
だから共に暮らす者としての理性的な気持ちでグリフィスに頼んだ。
「あなたの名前を借りて、その薬を配布したい」と。
薬は自動で製造されるよう設定しておき、一定量が蓄積されるたびにグリフィスがいる場所に薬が届くように設定しておいた。
グリフィスはにっこり笑いながら、あっさり承諾した。
「………」
しかし、楽しそうなグリフィスの様子を見ると、胸の中がもやもやした。
まるですべてがグリフィスの手中のように感じられた。
実際はすべて自分の功績だったにもかかわらず。
どうにもみみっちくて卑しい考えだ。
だがそれでも、グリフィスのあの無邪気で幸せそうに見える表情は本当に…あまりにもあどけなく感じられた。
「………」
レリアの予想どおり、実際にグリフィスは幸福を感じていた。
グリフィスは自分を見上げるレリアを見て、目を細めて笑った。
数日前、あの出来事が厄介事になってしまったときとは全く違う気持ちだった。
正直その時は…本当に…過去の情などどうでもよくて、オスカーを殺してしまいたかった。
不死の体だから殺せはしないだろうけれど。
まるで昔の恋のように執着していたのをずっと我慢していたのに、結局騒ぎになってしまったのだ。
だが、オスカーが突然姿を消してからというもの、世界中が美しく見えるようになったのだった。
彼が姿を消した朝。
あの日、オスカーはグリフィスを探し出して殺すかのように殴った。
正直に言うと、かなり危険だった。
どんなに刺してもグリフィスは再生能力で治癒できるとはいえ、痛みを感じないわけではない。
オスカーは自分の怒りが収まるまで、彼を容赦なく殴りつけた。
すぐに再生能力で回復したとはいえ、あの日感じた痛みを思い出すと歯が食いしばられた。
全身で怒りを表すオスカーは、その存在自体が相手にするには難しい相手だった。
再生能力でもどうしようもない怪物のような男だ。
むしろ、自分が受けた傷を治さずそのままにしておいて、その後に訪ねてきたレリアに見せてあげればよかった…と、後悔もした。
『でも、あの日の後で気づいて消えてくれたんだね…』
オスカーが消えたという事実だけで、あの時感じた肉体的・精神的な苦痛が癒えるような気がした。
苦痛を耐え抜いた報酬は、とても甘美だった。
『それに見合うだけの価値と見返りがあったんだな。』
しかも今日、レリアが苦労して導き出した提案を通じて、とても良い考えさえ浮かんだ。
今回は誰にも成果を奪われないという自信もあった。
幸せな想像をしていたグリフィスは、ふとレリアと目が合った。
「……」
そのとき、レリアの表情がぐしゃりと歪んだ。
グリフィスが片目をつぶってウィンクしたのだ。
『狂ってる……』
狂ったのか?
生まれつきのように自然にウィンクをするグリフィスに、レリアは呆然とした。
『突然おかしくなったのか、それともずっと演技して隠していたのか、分からない……』
領地で過ごしていたとき、自分を慰め、祖母を治療してくれたグリフィスを思い出すと、胸が詰まった。
一体どれが本当のグリフィスなのか――どんな姿なのかも分からない奇妙な情景だった。
『今思えば、あの時見せてくれた姿は全部演技だったのか。』
いや、もしかしたら今のあの姿も演技かもしれない。
演技であのレベルなら、レリアはそれ以上考えるのをやめて、ため息をつきながらペンを勢いよく回した。
その時だった。
コンコン。
侍女が入ってきて困った顔で言った。
「姫様……」
「何かあったの?」
「その……あの……ユ、ユリアナ皇女様がお見えになりました。」
その名前を聞いた瞬間、胸のどこかがずしんと重くなった気がした。
現在、レリアのストレスは極限に達していた。
こんな状況でユリアナ皇女にまで会わなければならないの?
レリアはペンを置く。
「今は会いたくない。後でまた来るように伝えて……」
だがその言葉を侍女に伝えるや否や、バタンと扉が開いた。
怒りをにじませた表情のユリアナがずかずかとレリアに向かって歩いてきた。
『許可もしていないのに部屋に入ってくるなんて。』
カーリクスのような行動を一国の皇女がするなんて、到底信じられなかった。
どれほど自分を無視しているのかとも思えた。
レリアは極めて冷静な表情を浮かべたまま、彼女を見つめた。
「…どうしてこんなことができるの?」
ユリアナはぷるぷる震えながら彼女に向かって叫んだ。
両拳を固く握った様子は、今にも飛びかかりそうな気迫だった。
「何が起きてるのかはわからないけど……」
「わからないって!?全部あなたの仕業でしょ!この陰険な蛇みたいな小娘!」
「…え?」
「どうして妹の婚約者を奪えるのよ!それって、姉妹間でもしてはいけないことよ!」
「……」
そのとき、友人たちが皆立ち上がり、彼女のもとへ駆け寄ろうとしたが、レリアが手を伸ばして制止した。
「私はあなたを……実の姉のように受け入れようとしたのに!大切にしてあげて、ちゃんと面倒を見て、何でも分かち合って教えてあげようとしたのに!」
はあ……。
レリアは目を閉じて額を押さえた。
どこから指摘すべきかわからないほどだった。
最も理不尽なのは、実の姉のように受け入れようとしていたという彼女の主張だ。
レリアは彼女と家族になるつもりなんて微塵もなかった。
そんな気持ちは全くなかった。
なのに何?姉妹の婚約者を奪ったって?
ユリアナの婚約者がルートなら……私がルートを奪ったってこと?
「ユリアナ皇女、何か勘違いしてるみたいだけど……」
レリアの態度が気に障ったのか、一瞬ユリアナの目に火花が散った。
そして突然手を伸ばしてきた。
しかしレリアの方が一枚上手だった。
彼女はすばやく両手でユリアナの手首を掴んだ。
ユリアナの瞳はかすかに揺れていた。
『まさか皇女がこんなふうに先に手を出すとは思わなかったわ……?』
レリアは暴れるユリアナの腕をそっと押し返して離した。
その勢いでユリアナは鉄の床にお尻を打ちつけた。
「わ、私を押したの?私を……!!」
「ユリアナ!」
突然聞こえた声に、レリアは首を巡らせた。
いつの間にかドアが勢いよく開き、セドリックとデミアン皇子が入ってきていた。
二人はレリアとユリアナを交互に見つめ、すぐにユリアナのもとへ駆け寄った。
「お兄様!うっ… 私、これからどうすればいいの?お父様が…お父様がルートとあの子を……!」
「落ち着いて、ユリアナ。うん?」
「全部大丈夫だよ。だから泣かないで。大丈夫だから。」
レリアはユリアナを慰める二人の皇子を虚ろな目で見つめていた。
『どうして私は今こんな目に遭わなければならないの?』
まるで世界一の悪女になった気分だ。
ユリアナは恨みに満ちた悔しげな目でレリアをにらみつけており、セドリックとデミアンは気まずそうにレリアの視線を読み取り、ユリアナを連れて行った。
「デミアン、お前が連れて行け。」
「……わかった。」
デミアンはレリアの顔をしばらく見つめた後、すぐにユリアナを連れて出ていった。
「少し話がしたいのだが。」
「………」
レリアはセドリックを見つめた後、友人たちに視線を移した。
「ちょっと席を空けてくれる?」
「大丈夫?」
ロミオが心配そうに言うと、レリアは無理に笑顔を作りながら顎を引いた。







